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2018-05-07 10:00:39

著作権を譲渡する契約書での注意事項

著作権を譲渡する契約書での注意事項

「著作権」は、作品(著作物)を創作した人(著作者)が保有します。ただ、著作者は、その作品の著作権を譲渡して、第三者(企業など)が著作権を保有することができます。ビジネスの現場では、著作権の譲渡は一般的に行われています。

ちなみに、「譲渡」というと「タダで渡す」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、「タダ」とは限りません(むしろ、対価が伴うことが通常です)。法律用語で「譲渡」というと、権利を「移転させる」という意味合いだと思って下さい。

たとえば、ライターが書いた記事の著作権がメディア運営会社に譲渡されたり、作曲家が作曲した楽曲の著作権がJASRACに譲渡(信託譲渡)されたり、外部アニメーターが描いたキャラクターデザインの著作権がアニメ制作会社に譲渡されたりしています。もっとも、もともとの著作者が、著作権を保有し続けることもあります。小説やマンガの出版の場合、一般的に、出版社は、出版の許諾を受けるのみで、「著作権」の譲渡を受けるわけではありません。この場合、小説やマンガの「著作権」は作家・マンガ家が保有しています。

さて、著作権を譲渡するときは、口約束ではまずいですよね。大きなお金の動くビジネスになりますので、きちんと条件を書いた契約書を締結しておくことが必要です。

たとえば、アニメーターのAさんが描いたキャラクターデザイン(キャラデザ)の著作権を、アニメ制作会社のB社に譲渡する場合を想定しましょう。

著作権を譲渡する契約書での注意事項

この場合、「Aは、Bに対し、下記記事の著作権を以下の条件で譲渡する。」というような条項を置くのですが、ここで注意があります。

「著作権を譲渡する」と記載しても、譲渡されない権利があるのです。

著作権法第61条第2項で、「著作権を譲渡する契約をしても、特別に定めない限り、著作権法第27条と第28条の権利は留保されていると推定しますよ」と定められているのです。簡単にいうと、著作権法第27条は、著作物の内容の一部を変更したり、または、小説をアニメにしたり、マンガをテレビドラマにしたりする等して二次的著作物を創作する権利です。第28条は、その二次的著作物について、もともとの著作者がもつ権利の条項です。これらの権利は、たとえ「著作権を譲渡する」という契約書を締結しても、譲渡されず、Aさんが保有していることになるのです。

B社が、Aさんの記事の内容を全く変えずに、そのままメディアで掲載するだけなのであれば、問題ありません。
しかし、記事の内容を変えたり、または記事を元にマンガ化したりするのは、「翻案」や「二次的著作物」の創作になってしまうので、その権利はAさんが持っています。別途Aさんから許諾を受けなければならないのです。このような問題が発生しないように、契約書では、「著作権(著作権法第27条及び第28条記載の各権利を含む)を譲渡する」と記載する必要があります。

ところで、たまに、「著作権(著作権法第27条及び第28条記載の各権利を含み、これらに限られない)」と書いてある契約書を見ることがあります。これは、英文契約書の”this includes, but is not limited to…”の直訳で、けっこう日本語の契約書でも見る表現なのですが、先ほどの説明のとおり、著作権譲渡で特掲しなければならないのは第27条と第28条だけなので、「これらに限られない」と書く必要はないですよね。ですので、間違いではないのですが、「著作権法のことはあまり知らない人が書いた契約書なのかな」と思ってしまいます。

著作権に関する契約書は、他にも注意すべき事項があります。また改めて、他の注意点についても説明しようと思います。

以上

ここに紹介したい人物の写真を入れて下さい
弁護士
高木 啓成

映像・音楽事業、メディア事業、デザイン事業など、主にエンターテイメントに関わるクライアントに、
法律顧問のご依頼を受けています。
顧問先より労務の相談も多く受け、労働事件についても豊富な経験があります。
Web:https://axiomlawoffice.com/

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所属団体・活動等

2007年 第二東京弁護士会環境保護委員会
2008年 第二東京弁護士会法律相談員(現職)
2012年 日本司法支援センター相談員(現職)

取り扱い案件

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