DX 認定
政府が急ピッチで推進しているDX。その推進の一環として、「DX認定制度」が2020年11月にスタートしました。
中小企業がDXを検討するとなった時、一番初めの段階から「どうして良いかわからない…」という壁にぶつかることも多いです。
そのような企業にとって、「DX認定制度」は一つの指針になるかもしれません。
そこで今回は、DX認定制度の内容や申請方法、認定されるメリットについて解説します。
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1. まずは確認! DXとは?
「DX」とは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。
DXは、2004年スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授がその概念を提唱したことで発祥しました。
日本においては、2019年7月に経済産業省が『「DX 推進指標」とそのガイダンス』の中で以下のように定義づけています。
このように、変化の激しい世の中において、新しい価値を与えるようなビジネスモデルの変革を起こすだけでなく、
業務そのものやプロセス、企業文化・風土までも変革して、企業として安定した収益を得られるような仕組みを確立することがDXであるといえるでしょう。
DX認定制度とは?
DX認定制度とはどんな制度なのか?
知っておきたい「デジタルガバナンス・コード」や「DX認定レベル」と併せて解説します。
2-1 DX認定制度の概要
DX認定制度とは、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律(情報促進法)の一部を改正する法律」に基づいて設けられた制度です。
申請をした事業者に対して、DXに関する優良な取り組みを行っているかどうかを国が策定した指針をもとに判断し、「DX-Ready」に認定します。
この指針とは、「情報処理システムの運用及び管理に関する指針」のことで、企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方を示したものです。
DX認定制度事務局は情報処理推進機構(IPA)が行っています。情報処理推進機構での審査が行われた後、最終的な認定は経済産業省にて行われます。
・対象
DX制度の対象となるのは、個人事業者や公益法人等も含む全ての事業者です。
・申請期間
1年間を通していつでも申請できます。
申請が受理されてから認定結果が通知されるまでの期間は60日程度(土曜日・日曜日・国民の祝日に関する法律の休日及び12月29日から1月3日を除く)です。
認定は経済産業省が行いますが、認定結果はIPAから通知されます。
・認定基準
デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえ、デジタル技術を活かした経営ビジョンやビジネスモデルの方向性、体制・組織などの戦略について公表しているか、対外的にメッセージを発信しているかなどによって判断されます。また、方策を示すだけでなく、推進状況を管理する準備ができている必要もあります。
準備ができている状態を認定するものですから、売上や利益といった結果は問われません。
その他、戦略の実施の前提となるサイバーセキュリティ対策が行われているかも審査の対象です。中小企業の場合は、SECURITY ACTION制度に基づき自己宣言(二つ星)を行っていることで、その証明が可能です。
SECURITY ACTION制度は、DX認定制度の事務局でもある法人情報処理推進機構(IPA)が実施している、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。
SECURITY ACTIONの宣言は SECURITY ACTION自己宣言ページから行えます。
認定基準の詳細はDX認定制度の申請ガイダンスに記載されていますので、ご確認ください。
・認定期間
一度の申請で認定される期間は2年間です。
2年ごとに更新の手続きが必要です。
2-2 デジタルガバナンス・コードとは?
デジタルガバナンス・コードとは、企業が経営において求められる企業価値向上に向けて、デジタル技術による社会変化への対応を捉え、ステークホルダーとの対話を基盤として、実践すべき事柄のことです。
このデジタルガバナンス・コードの 「(1) 基本的事項」が、DX認定制度の申請書の項目と対応しており、この内容を申請書に記入することになります。
DX認定制度の申請書の項目と対応しているデジタルガバナンス・コードの項目は以下のとおりです。
(2)戦略
1. 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
2. ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
(3)成果と重要な成果指標
(4)ガバナンスシステム
2-3 DX認定レベルとは?
DX認定制度で認定されるのは「DX認定事業者(DX-Ready)」ですが、他にもDX認定レベルが存在し、DX認定事業者も含めて4つに分かれています。
それぞれの段階について、銘柄基準検討WG 成果報告の資料を参考にご紹介します。
・DX-Excellent企業
DX認定事業者の中から、ステークホルダーとの対話(情報開示)を積極的に行っていて、優れた事例となることに加え、優れたデジタル活用実績も既に現れている企業がDX-Excellent企業に選ばれます。
またDX-Excellent企業は、「DX銘柄企業」を想定しています。
・DX-Emerging企業
DX認定事業者の中から、ステークホルダーとの対話(情報開示)を積極的に行っていて、優れた事例となる(将来性を評価できる)企業がDX-Emerging企業に選ばれます。
また、DX-Emerging企業は「DX注目企業」を想定しています。
・DX認定事業者(DX-Ready)
ビジョンの策定や、戦略・体制の整備等が既に行われており、ステークホルダーとの対話を通じて、デジタル変革を進め、デジタルガバナンスを向上していく準備が整っている企業が認定されます。
申請のガイダンスによれば、DX-Readyの状態にある企業のレベル感は、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」とされています。
・DX-Ready以前
ビジョンの策定や戦略・体制等の整備にこれから取り組む事業者は、 DX-Ready以前のレベルとなります。
3 . DX認定制度で認定されるメリットとは?
DX認定制度に認定された場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
3-1 DX推進に向けた論点の整理(準備)の役に立つ
どのようにDX推進をしていったら良いのかわからず、やらなければいけないと分かっていても、何もできずにいる中小企業の経営者の方は多いと思います。
DX認定制度の申請に向けて準備を進めることで、論点の整理を進めることができます。
3-2 DX認定事業者として公開される(社会に認知される)
DX認定事業者として認定されると、社名が公開されることになります。現在、DXへの注目度は非常に高まっているので、DXへの取り組みが社会に認知されることは、信用力やブランド力の向上に繋がります。
3-3 DX関連重要施策の応募条件になる
東京証券取引所に上場している企業が対象とはなりますが、「DX銘柄」として選定されるにはDX認定が必須です。
「DX銘柄」では、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を紹介しています。
その他、中小企業にも関連することとして、「DX投資促進税制」の要件となっていることが挙げられます。
2021年3月26日の通常国会で可決された、2021年度税制改正法案で盛り込まれた「DX投資促進税制」では、ソフトウェアや繰延資産などのDX関連の投資に対して税額控除か特別償却の優遇措置が設けられており、DX推進に向けてぜひ活用したい制度です。
今後、このようなDX関連重要施策の応募条件になることが考えられるので、DX認定を取得しておくことは大きなメリットになるでしょう。
4. DX認定制度の申請方法
実際にDX認定制度を申請するときの流れについてご紹介します。
4-1 申請要項を確認する
まずはDX認定制度の申請ガイダンスにて、申請要項を確認しましょう。
申請ガイダンスをよく読んでもわからないことがあった場合は、IPA社会基盤センターDX推進部運営・経営DX推進グループのDX認定制度事務局へメールで問い合わせができます。
メールアドレスはIkc-dxcp@ipa.go.jp、
窓口応対時間は10:00〜18:00(土日祝日、年末年始期間(12/29~1/3)を除く平日 月曜日~金曜日)です。
なお、電話での問い合わせは受け付けていません。
4-2 「認定申請書」及び「申請チェックシート」のダウンロードと記入
情報処理推進機構(IPA)のDX認定制度案内ページより、「認定申請書」及び「申請チェックシート」ダウンロードし、記入しましょう。
DX認定制度の申請書の項目は以下の通りです。
(1) 企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定
(2) 企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策 (戦略)の決定
① 戦略を効果的に進めるための体制の提示
② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
(3) 戦略の達成状況に関わる指標の決定
(4) 実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
(5) 実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、 事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
(6) サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施
(DX認定制度 申請要項より抜粋)
4-3 Web申請システムで申請及び、必要書類の提出
DX推進ポータルより申請と必要書類の提出を行います。
スマートフォン端末やタブレット端末からは申請できませんので、必ずパソコンからアクセスしてください。
DX推進ポータルの利用には、gBizID(GビズID)アカウントが必須です。
gBizIDは経済産業省が提供しているもので、DX推進ポータルだけでなく、このIDがあれば補助金申請などの様々な行政サービスにログインできるようになります。
gBizIDアカウントの取得までには、2021年6月時点で3週間以上かかると案内が出ており、問い合わせ電話も繋がりにくい状態が続いているようです。
gBizIDアカウントがなければDX認定の申請もできませんので、まずは先に申請書を送付しておきましょう。
gBizIDアカウントは、gBizIDのサイトから申請できます。
DX認定制度の申請の際には、申請書の提出に加えて、「戦略に関する補足資料」「課題把握に関する証跡資料」など補足資料の提出ができます。必要に応じて準備しましょう。
ただし、申請書の項目(5)については、原則として補足資料の追加提出が必須です。
※経済産業省が発表している「DX推進指標」を用いた課題把握を適切に行い、結果を提出した場合を除きます。
申請後、審査段階で申請内容の不備が判明しても、すぐに不認定の通知が届くわけではありません。
もし申請内容に不備等があった場合は、事務局から不足箇所や対応方針などについて連絡(メールなど)が入ります。
事務局とコミュニケーションをとりながら、申請を進めましょう。
4-4 認定結果の受領
認定結果は、事務局よりメールで通知されます。
メールが届くほか、IPAの認定制度HP上にて認定事業者一覧として公表されます。
もし不認定となってしまった場合は、不認定の理由と不認定の決定日が記載された「不認定通知メール」が届きます。
4-5 延長申請
DX認定制度は、2年ごとの更新が必要です。
認定後2年を経過する日の60日前までに、認定更新申請書を提出しましょう。
2021年6月時点では、 情報処理推進機構(IPA)のDX認定制度案内ページから「認定更新申請書」をダウンロードし、認定申請と同等の内容を記入して更新申請をすることになっていますが、更新時点で方法が変更になっている可能性もあります。更新時期がきたら、必ずその方法について確認してください。
5. DX認定ロゴについて
2021年4月に、経済産業省がDX認定制度のロゴマークを作成しました。
認定事業者になると、ホームページや名刺等で、DX認定事業者であることについての発信を目的にDX認定ロゴを利用することができます。使用するときは、経済産業省が別に定める「DX認定ロゴマニュアル」に従いましょう。
また、認定事業者以外の企業、団体等であっても、広報活動などのDX認定制度の普及に繋がる目的であればDX認定ロゴを使用できます。その際には、事前に情報処理推進機構(IPA)の利用許可が必要です。
6. まとめ
DX認定制度は、認定社数に制限があるわけではありません。
基準を満たしていれば、認定を受けることができます。
既にDXへの取り組みを始めている中小企業であれば、DX認定はそれほど難しいことではないでしょう。
また、まだDXへの取り組みが進んでいないという中小企業であれば、申請項目などを確認することで、自社が今後どのように進めていけば良いかというヒントが見つかるかもしれません。
ぜひ、申請を検討してみてくださいね。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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