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2021-09-22 14:00:24

中小企業向けDX特集⑫経理・決算業務もDXで効率化!取り組むメリットや事例について解説 (経理 DX)

中小企業向けDX特集⑫経理・決算業務もDXで効率化!取り組むメリットや事例について解説 (経理 DX)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「IT技術の浸透で人々の暮らしをより豊かなものに変革する」という、
2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン大学教授が提唱した言葉です。デジタルシフトとも同義ですが、
日本でも、2018年に経済産業省がDXに関するガイドラインを公表しています。

ガイドラインによると、DXを「デジタル技術を活用して業務や組織のあり方を抜本的に変革し、
競争力の優位性向上やビジネス環境の変化に対応すること」と定義づけられています。
IT技術が日進月歩で進化し、社会や一般家庭での高速大容量通信が当たり前となった現代社会では、
企業は競争力を強化するためにも、DX化は必須といえる時代になったのです。

1. 経理におけるDXの現状

各企業においてDX化を推し進めていく中で、経理部門でも当然DX化へのチャレンジは行われているのですが、
思い通りに変革が進まないケースも多々あります。

一般社団法人日本CFO協会が2020年3月〜4月に各企業のCFOや経理・財務部門の幹部を対象に
「新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査」を行ったところ、約75%の企業が、
コロナ禍が決算業務に影響があり、約71%の企業が財務業務にまで影響があると回答しました。
また「50%以上の経理業務プロセスがデジタル化・自動化されている」と回答した企業は、わずか14%に留まりました。
他部門に比べて、経理・財務部門のテレワーク実施における課題がくっきりと浮きぼりになったといえるでしょう。

この結果から、経理・財務業務における現状のDX化の課題は、経営数字の把握や開示といった従来からの経営課題の他、
リモートワーク化への対応が後手になっていることがわかります。

また、「2025年の崖」と呼ばれる問題もあります。
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に公表したDXレポートに出てくる言葉です。
DX化を速やかに実施しなければ、「レガシーシステム」により発生するブラックボックス化などにより、
日本経済全体で12兆円もの経済損失が発生する可能性があると警鐘を鳴らしました。

経理の仕事は本来、企業の経営状況を正しく把握、認識し、企業経営に役立てる改善を行うことであるはずです。
しかし、実際には多くの経理部門において、経費精算や決算締めの業務だけで疲弊してしまい、
色々な数字の比較や検証がなされないままになっています。経理システムのエラーに振り回され、
財務観点での議論は後回しになってしまっている、こんな本末転倒の状態からは脱却する必要があるのです。

2. 経理・会計・財務処理の課題

2-1 紙文化が根強く、ペーパーレス化が進んでいない

中でも、DX化の遅れが明らかになったのが経理部門です。
電子化、ペーパーレス化だけではなく、デジタル変革を起こして業務改善を実施することがDX化の要諦ですが、
経理業務では、このご時世でもいまだに紙ベースでの契約書や請求書を発行、保管するというルールを
踏襲しているケースが多く、業務そのものが属人化しているという課題もあります。
紙文化であるために請求書を印刷、郵送で顧客へ送るという作業に費やす時間やコストも、
実は企業にとって毎月の大きな負担になっているというのが現状です。

「紙の書類が多い」という課題解決のためには、
経理システムを導入してペーパーレス化及び業務の自動化を目指すことが近道だとされています。
しかし、一足飛びにすべてをペーパーレスに移行するには、ユーザーとして社員がシステムに慣れ、
外部ベンダーとの関係性をいち早く構築する必要があるため、すぐに改善というのは難しいでしょう。

2-2 承認にハンコがいるというシステム

前例通りのルールで運用されている契約書、請求書の取り交わしでは、どうしても押印のために経理部門の担当者が出社し、
印鑑を押すという本質的にはたいした意味のない作業を強いられ続けることになるのです。
上長の承認印を必要とするルールであるが故に、間引き出社でその上長が出社する日までは
業務が滞るという事態も発生していました。これも、本来は改善すべき悪しき風習なのです。
出張交通費の仮払いや精算では、逐一起票して記載し、上長の承認印を必要とする場合がよくあります。
給与計算ソフトなどを使って給与管理を行っていても、仕訳日記帳や総勘定元帳などの必要書類については、
すべて印刷して分厚い資料のまま管理しているケースが多く見られます。それぞれの書類には、
上長なり責任者の押印が必要であり、ここでも承認のための押印、という作業がDX化のネックとなるのです。

2-3 属人化してしまって、代わりがきかない

企業によっては、請求書の発送は毎月固定化しており、それぞれの顧客毎に少しずつ要望に合わせたカスタマイズを
行っているため「経理担当者にしか正しい作成手法がわからない」パンドラの箱化してしまっている業務もあります。
汎用化、マニュアル化し誰でも業務を行えるようにするためには、シンプルなルール作りを推進し、
それを顧客にも周知徹底していきフォーマット化する必要があるでしょう。
これまで通りの手法を望む顧客への説得、周知ができなければ、ここでもDX化への第一歩さえ踏み出せないままになってしまいます。
既存の古いITシステムが、技術面の老朽化、システムの肥大化や複雑化、
ブラックボックス化を引き起こすこのような状態を「レガシーシステム問題」と呼んでいます。
担当者が体調不良で会社を休んだとしても、他の人が臨時で対応できるような性質の業務ではなくなってしまっていると、
業務は止まってしまいます。仕入れや売上管理、現金出納などの仕訳と記帳、給与計算や年末調整など、
お金の動きを一手に引き受けている経理部門がストップしてしまうことは、
企業にとってライフラインが止まるに等しいリスクとなってしまうのです。

2-4 部門や人によって使っているシステムが違ったり、管理方法が異なったりする

同じ企業内であっても、場当たり的に部署毎によかれと判断しツギハギで色々なシステムを導入していたり、
酷い場合には担当者の好みによって使われているシステムが異なったりします。
こうなると管理方法も属人的になっており、一定のマニュアルに落とし込むことなど不可能でしょう。
少なくとも、ひとつの企業としてどの手法を是とするのか、ルールを一本化することは最低限必要な作業です。
よくある事例としては、給与システム(人事)、購買システム(購買)、販売・受注システム(営業)、
入金システム(財務)が乱立し、それぞれが互換性を持たないまま運用されているようなパターンです。
このような状況下では、それぞれのタスクが属人化されたまま、
「**部のことはその部署にしかわからない」という状態になってしまっているのです。

2-5 Withコロナ・Afterコロナの時代でもリモートワークができない

上記の観点から、これだけリモートワーク化の必要性が叫ばれている現状でも、
経理担当者のみ出社を余儀なくされる企業は山のようにありますし、改善される目処もついていません。
具体的に変えていくためには、先述の通り自社内での使用システムの統一化、マニュアル化を進めることはもちろん、
取引先など外部の関連事業者に対してもルールの変更をのんでもらう必要が生じます。
強い意志を持って業務改善を実現しようとするリーダーが舵取りをしないことには、
旧態依然とした手法からはいつまで経っても抜け出せないままになるでしょう。

電子化、ペーパーレス化だけではなく、デジタル変革を起こすというのがDX化の定義です。
しかし、経理業務ではさまざまな課題がボトルネックとなり、遅々として変革が進んでいないのが実際のところです。

3. バックオフィスの代表、経理・決算業務をDX化するメリット

3-1 業務自動化により業務効率化が実現できる

その壁を乗り越え、DX化を実行できた暁には、企業はどのように進化することができるでしょうか。
まず、経理業務の多くは、実は単純作業の積み重ねで成り立っているケースがほとんどです。
それらの業務を棚卸しし整理して自動化できれば、圧倒的に作業効率は改善され、
またヒューマンエラーもなくすことができるのです。
業務スピードを大幅にアップすることで、これまで手付かずで後回しになってしまった業務に取り組むことも可能になります。

3-2 システムの一元化により業務効率化が実現できる

青レガシーシステムを一掃し、新たなシステムに一元化することで、
業務を完全にマニュアルに落とし込むことができるようになります。
属人化していた作業もすべてオープンになり、特定の経理担当者でなければ行えない業務、という仕事は撲滅できます。
人に依存する仕事がいつまでも残るというのは企業にとって大きなリスクですから、
そのリスク対策としても抜群の効果を発揮することになるでしょう。
生産性が向上し、各々の労働時間を削減し、またコンプライアンスの強化までを実現できるようになるのです。
災害時でも業務を止めずに済む、という点ではリスク対策としても優れた手法になるのでしょう。

3-3 コスト削減ができる(印刷関連費、郵送費、残業代、時間的コストなど)

紙文化からペーパーレス化を実現することで、例えば毎月郵送で各取引先に送っていた請求書に関わる印刷費用、
郵送費用、また押印や封書などにかかっていた人件費を大幅にカットできるでしょう。
その上、これまでよりも早く請求書が取引先の手元には届くことになるわけですから、
誰かに余計な負担を強いることもありません。企業によっては、今後は紙ベースでの発送を継続希望する場合には
郵送作業費用を請求するという判断を行うところも出てくるのではないかといわれています。

3-4 リモートワークが可能になる

システムを一元化し、請求書への署名・捺印もオンライン上で行うように改善すれば、
いよいよリモートワーク化も実現可能となります。
自宅にいても請求書の発行、管理ができるようになれば、ひとつひとつの作業にかかる手間も大きく削減できるでしょう。

4. 経理・会計業務のデジタル変革(DX)の事例

4-1 証憑類を電子化(ペーパーレス化)

これまでの請求書や納品書、領収書やレシードなどの証憑書類をスキャンしてPDF化していくことで、
管理に要するスペースは大幅に削減、フォルダ分けして保管することで
検索性も一気にアップするため業務効率は大幅に改善します。紙の書類を高速スキャンし、
名前をつけて自動的にフォルダ分を行い保存するという作業全体を、器械に任せてしまうのです。
企業によっては、毎月何百もの膨大な数の伝票を起票し、人手によって多くの時間を割いて
処理せざるを得なかった作業が、一気に効率化できたという事例もあるのです。

4-2 電子署名(印鑑の電子化)の導入する

社内の承認手続きや、取引先との契約に関するやり取りでは、電子契約を利用するとよいでしょう。
証憑書類をいくら電子化しても、捺印業務を撲滅しない限りは、完全なペーパーレス化とは言えません。
電子契約を利用することで、すべての業務を電子化に落とし込むことが可能になるのです。

4-3 クラウドサービスの導入

売上管理や仕入れ管理、経費計算など、経理業務の多くは経理部門単体で完結するものではなく、
購買部や人事部など、他部署との関係性も深く関わってきます。
そこで使うシステムが部署毎にバラバラなものでは、業務効率化は望めません。
クラウド型のサービスを導入して、データを常に共有し自動処理を行えるようにすることで、
同じ作業の重複を減らし、単純なヒューマンエラーもなくすことができるようになります。
特に経理業務は専門性に特化した部署と見られがちで、業務内容もわかりづらく属人化しやすい傾向にあります。
クラウドサービスの導入は、業務をガラス張りにするためにも意義のあることだといえるでしょう。

4-4 会計ソフトのデータ連携でデータ取得を自動化

これまで部署毎、人によって異なるシステムを使ってきた企業でも、会計ソフトを一元化することで、
データを常にアップデートし最新状態にキープしておくことが可能になります。
データ取得を自動化することで、古い数字を誤って拾ってしまうというエラーもなくなるはずです。
会計ソフトと銀行口座をデータ連携させることで、経理担当者がわざわざ銀行に出向く必要がなくなり、業務効率は改善されるでしょう。
会計ソフトの中には、リアルタイムで予実管理など経営資料を確認するための機能がついたものものがあります。
こういった機能のおかげで、経営状況のチェックもオンタイムで行えるようになります。
経理としては、経営資料作成の工数を削減することも可能です。
決算業務などでは、各システムとのデータ連携に多くの人間が関わり、
1つでもエラーがあると決算作業全体が止まるというネックが発生していました。
データ連携を行い、決算業務を自動化すれば、そのような事態にハラハラすることもなくなるでしょう。

4-5 経営状況がいつでも確認できるシステムの導入

新しく一元化されたシステムを導入することで、経理・財務部門が本来担うべき役割だと考えられている、
資金調達やコスト削減のアイディア出し、経営のスリム化・健全化、キャッシュフローの
可視化などがより簡単に、確実にできるようになります。この事は、企業の経営状態をより健全に保ち、
次の打つべき手が見えやすくなることにも繋がるはずです。

地域別や部門別での売上・利益がどう変化しているか、目標に対する実績はどう推移しているのか。
そんな状況把握もスピーディーになるため、営業戦略の見直しもタイムリーに実施することができるようになります。
ボタン1つでリアルタイムの売上・利益・受注状況などのデータをグラフ表示できる状態になり、
経営分析帳票の作成が容易になれば、経営層にとっても経営判断をいち早く行うことができるようになります。
ここまで実現できれば、経理部門は単なる決算処理、経費精算などの労働集約的な業務を離れ、経営戦略にも関わっていくことになるでしょう。

5. まとめ

経理・財務部門において、DX化はまだまだ進んでいるとはいえません。
元来、管理部門への投資はコストとみなされ後回しにされてしまったり、
「現状の仕組みで運用ができているならよし」とされてしまったり、旧態依然とした手法から抜け出せずにいる企業が多く存在します。

しかし、経済産業省が日本経済におけるDX化の遅れに警鐘を鳴らしているように、
世界水準で見ると経理・財務業務にはDX化を進め、経営に生かす取り組みはもはや必須とされています。

このコロナ禍が経理・財務部門におけるDX化を推進するきっかけとなり、
今後の企業にとっては事業変革の生命線となっていくものと思われます。

DX化を取り入れていくことで業務効率の大幅アップと、生産性の向上、
本来行うべきタスクである経営への改善提案などにパワーを割くことができるようになるでしょう。
今後の経理・財務部門のスペシャリスト達はBPA(ビジネス・プロセス・オートメーション)の推進により、
ジャストタイムなデータ提供が可能となることで、財務戦略をベースにおいた企業経営の司令塔役を任されることになっていくはずです。

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電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
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