新型コロナウイルス感染拡大から約3年が経過し、世界中の人々が本来の暮らしを取り戻しつつあります。
アフターコロナの今、日本には多数の訪日旅行者が押し寄せていることをご存じでしょうか。
そこで今回は、インバウンド需要の基礎知識やメリット・デメリット、2023年以降の展望について解説します。
インバウンド需要とは?
「インバウンド需要」は、訪日外国人旅行者の消費活動を意味する言葉です。
同じく、訪日外国人による国内での消費(モノ・コト)そのものを「インバウンド消費」といいます。
こうした需要を効率的に取り込むには、多言語対応や多様決済方法の導入、免税カウンターの設置、フリーWi-Fiの提供、食の配慮といったインバウンド対策が必要です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響
インバウンドという観光用語自体は、2020年夏季五輪の開催地が東京に決まった2013年頃から多用されています。
2020年に向け、訪日観光客の増加が確定的となったことから、あらゆる業種・職種でインバウンド対策が取り組まれました。
しかし、2019年12月、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行します。
東京オリンピックを目前にインバウンド需要は激減し、その経済効果は、想定を遙かに下回る結果となりました。
特に東京や大阪、京都といった主要な観光地は大きなダメージを受け、訪日旅行者による観光需要の喪失が課題となったのです。
それでも、2023年以降のインバウンド需要の回復が期待されており、日本政府も積極的に支援策を検討しています。
【展望】2023年はインバウンド需要が回復?
「JNTO(日本政府観光局)」の報道資料によると、2023年3月時点における訪日外客数は1,817,500 人(2019年同月比65.8%)であることがわかりました。
国内の水際対策が緩和され、個人旅行再開後での最高値を更新しています。
この結果から、訪日旅行者はパンデミックが起こる以前の水準まで回復していると判断できます。
具体的な上昇要因として、日本がアジア地域や欧米豪から人気の国であることが挙げられます。
特にアジア地域の注目度は高く、「日本政策投資銀行」と「公益財団法人日本交通公社」が2022年10月に行った共同調査では、アジア在住者から日本への旅行希望者が最多であることが明らかになりました。
また、「国連世界観光機関(UNWTO)」は2024年を境に、日本の国際線の運航割合がパンデミック以前の水準に戻ると分析しています。
このような現状から、国内企業には新たなインバウンド需要に向けた施策が急務となっています。
適切にインバウンド需要を取り込むことができれば、国内全体で大きな経済効果が期待できるでしょう。
インバウンド需要における「モノ消費」と「コト消費」
近年、訪日外国人は日本独自の体験を重視する傾向にあり、インバウンド需要の調査と、その内容に基づいた嗜好変化への対応が必要です。
これはすなわち、インバウンド需要が「モノ消費」から「コト消費」にシフトしたことを意味します。
モノ消費とは、物品の購入に重きを置く消費形態であり、飲食店での食事やお土産の購入が代表的です。
対するコト消費は、何らかの体験や関係性構築など、非物質的な価値に投資する消費形態を指します。
インバウンド需要においては、日本の伝統文化・食文化・風習・観光地などを「体験」する形で現れます。
具体的には、訪日旅行そのものや歴史的建造物への訪問、着付け体験などがこれにあたります。
日本の観光産業は、さまざまなコト消費のプラン提供に努めています。
インバウンド需要の主なターゲット
インバウンド需要のメインターゲティングは、日本を訪れる外国人旅行者です。
2010年、国土交通省は外国人の訪日旅行促進キャンペーン「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を開始し、旅行者の増加を目指してきました。
2013年には年間訪日外国人数1,000万人を達成し、その後の目標は2020年に2,000万人、2030年には6,000万人と設定しました。
上記の通り、パンデミックの影響で2020年時点の目標達成は叶わなかったものの、数字自体は着実に回復しています。
ターゲットとする訪日外国人の国籍は多岐にわたりますが、中国・韓国・台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシアなどのアジア諸国、欧米やヨーロッパ諸国が中心です。
インバウンド需要のメリット・デメリット
ここでは、インバウンド需要のメリット・デメリットを事業者目線で解説します。
デメリットの中には、社会問題に相当する深刻な内容もあります。
メリット・デメリットを正しく理解し、自社のインバウンド対策に取り入れることが大切です。
メリット
インバウンド需要は、さまざまな業種に数兆円規模の経済効果をもたらすといわれます。
前提として、外国人旅行者の主な消費用途は、交通費・宿泊費・飲食費・娯楽およびサービス費・買い物費の5種類に大別されます。
その内、消費額全体の約4割を買い物が占めるとされます。
買い物は業種を選ばない消費用途であり、小売業を中心に業績向上が期待できるでしょう。
また、インバウンド需要は地方への波及効果が大きく、地域経済の活性化に繋がります。
東京や大阪などの都市部だけでなく、国内全体で経済的恩恵を享受できるのは、インバウンド最大のメリットといえます。
デメリット
インバウンド需要は巨額の経済効果をもたらす一方、解決すべき課題やデメリットが存在します。
円滑なコミュニケーションの実現
まず挙げられるのが、言葉の壁です。
店舗やWEBサイトを多言語対応したり、バイリンガル人材を配置したりして、外国人を迎え入れるための環境を整えます。
外国人旅行者との円滑なコミュニケーションを実現するためには、相応の時間とコストがかかるでしょう。
決済手段の多様化
外国人旅行者が利用しやすいよう、多彩な決済手段を用意する必要があります。
日本は世界随一の「現金大国」と呼ばれており、クレジットカードやQRコード決済が普及した今日においても、現金派の消費者が少なくありません。
それは事業者も例に漏れず、キャッシュフローや決済機器の導入コストを理由に、「支払いは現金のみ」にしている店舗・サービスが多々あります。
しかしながら、訪日旅行者の多くはクレジットカードで代金を支払います。
インバウンド対策の観点でいうと、電子マネー決済に対応しなければ、多額の機会損失を生む可能性があります。
一方で、小規模事業者や中小企業にとって、決済手段を増やすのは容易ではありません。
キャッシュフローの問題、手数料による売上減少をどうリカバリーするか、しっかりと検討する必要があります。
インバウンド需要が社会問題を招く?
デメリットの枠を超え、インバウンド需要が社会問題を招くという声も挙がっています。
まずは、訪日旅行者によるマナー問題です。
店舗や施設の許可を取らず、スマートフォンで写真撮影したり、宿泊施設では大声で騒いだりするトラブルがすでに起こっています。
また、主要な観光地ではゴミのポイ捨てにより、地元住民に迷惑をかけるケースが後を絶ちません。
さらに、「オーバーツーリズム」という現象も指摘されています。
オーバーツーリズムは、訪問客の急増を起因とする交通渋滞の発生、景観破壊、インフラ整備の遅れにより、地域住民の生活の質を低下させることを意味します。
インバウンド需要により観光資源が過剰利用され、地域環境や文化が破壊される可能性があるのです。
これは観光資源の適切な管理により対策可能です。
しかし、客足が想定を遙かに上回った場合、対処しきれない恐れがあります。
インバウンド需要を考慮したビジネス展開のポイント
ここでは、インバウンド需要を見据えたビジネス展開のポイントを解説します。
多言語対応を済ませる
もっとも基本かつ重要なインバウンド対策に、多言語対応があります。
メニューや案内表示、WEBサイトを多言語化したり、多言語接客ツールを導入したりするのが一般的です。
多言語対応で優先すべきは、世界共通語である英語、そして中国語(繁体字・簡体字)です。
多言語対応は中小企業にとっては負担が大きいかもしれませんが、国の補助金。助成金を活用することで、負担を軽減できます。
多言語対応を実施することで、訪日旅行者の利便性や満足度の向上、コミュニケーションの円滑化、そして顧客拡大などの効果が期待できます。
特に、観光客とのコミュニケーション問題の解決に、多言語対応は欠かせません。
多様な情報発信環境を構築する
インバウンド対策の基本として、情報発信の多様化が挙げられます。
とりわけ重要なのは、多彩な情報発信環境の構築です。
たとえば、SNSにはTwitterやInstagram、TikTok、Facebookなどがあります。
漠然の運用するのではなく、SNSごとに最適なコンテンツを発信することが大切です。
たとえば、Instagramではユーザー生成コンテンツのリポストや外国人インフルエンサーの招待が有効とされます。
SNS以外では、Googleマップの積極的な活用をおすすめします。
Googleマップは81カ国をサポートする多言語対応の情報発信ツールであり、ユーザーの口コミも自動翻訳します。
位置情報の発信においては、この上なく優秀で汎用性の高いツールです。
ターゲットの趣味・趣向を把握する
訪日旅行者の趣味・趣向を把握し、事業に取り入れましょう。
これについては、インバウンド関連のトレンド情報や一次ソースを集め、分析するのがおすすめです。
意外性の高い取り組みが集客に繋がることもあるため、多角的な視点でマーケティングを展開しましょう。
まとめ
2023年移行、日本国内のインバウンド需要は、右肩上がりで伸びると予想されます。
基本的なインバウンド対策はもちろん、地域ブランドの構築や関連企業との協力、IoTやVRなどのデジタル技術の有効活用、富裕層旅行者への対応サービスの提供など、新しい視点でもアプローチが重要になるでしょう。
今後、どの業種においてもインバウンド対策は必須になるでしょう。
対策を怠ると多額の機会損失が生じるかもしれません。
行政や専門家、インバウンド関連企業のサポートを受けるなどして、早急に施策を講じましょう。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
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