補助金は国・自治体が管轄する支援制度であり、スタートアップ企業や起業予定者にとって重宝する仕組みです。
一方、その申請書類の多さ、複雑さから利用していない事業者は少なくありません。
そのような実態から、厚生労働省は「jGrants(Jグランツ)」と呼ばれる補助金の電子申請システムを開発しました。
今回は、「jGrants」の特徴や活用するメリット、利用手順、対象の補助金の詳細をご紹介します。
「jGrants」の利用に必要な「gBizIDプライム」についても説明するので、参考にしてください。
jGrants(Jグランツ)とは?
「jGrants」とは、補助金申請の簡易化を図るオンライン電子申請システムで、経済産業省が2020年4月にリリースしました。
2023年6月現在は、デジタル庁が運営しています。
法人・個人問わず誰でも利用できますが、あらかじめ「gBizID」を作成する必要があります。
「gBizID」は、電子申請に必要な法人・個人向け共通認証システムです。
「gBizID」を取得することで、「jGrants」をはじめとするさまざまな電子申請システムを利用できるようになります。
強力な二要素認証により、セキュアな環境下でさまざまな行政手続きが行えます。
補助金の申請手順はシンプルで、「gBizID」を取得したら「jGrants」にログインし、補助金制度を検索します。
その後、申請書類を作成・提出しますが、注意点もあります。
「gBizID」は個人情報保護法にもとづいて管理されていますので、アカウントの紛失・漏洩には十分注意してください。
また、補助金制度によっては申請期限が定められています。
しっかりと期限内に提出するようにしましょう。
補助金と助成金の違い
「jGrants」で電子申請できるのは、補助金のみです。
助成金の電子申請はできないため、注意してください。
補助金と助成金には、明確な違いがあります。
補助金とは、事業者が自己負担で行う事業に対し、一定割合の費用を国・自治体が補助するものです。
受給後、利益が出ても返済の必要はありませんが、補助金自体が税金から支出されるため審査は厳しいとされます。
一方、助成金は一定の条件を満たす事業に対し、支援金が必ず提供されます。
ただし、補助金とは違い、利益が出た場合には返済が必要な場合もあります。
これらの補助金・助成金を活用する際は、申請期限や条件を確認し、必要書類を用意する必要があります。
なお、「給付金」も存在しますが、これは個人を対象とし、国や自治体から直接支給されるものです。
上記と明確な区分はないものの、主に事業者が対象の補助金・助成金とは異なります。
電子申請とは?
電子申請は紙ベースの申請に比べ、書類作成の手間を省いたり、作業そのものを簡略化したりできます。
行政機関まで出向くことなく、24時間いつでも補助金の申請が行えます。
また、「gBizID」を取得すれば、押印なしで書類を提出できます。
紙ベースの申請で必要だった押印などの手間が省けるのは、「gBizID」や「jGrants」などの電子申請システムによるメリットです。
jGrantsを活用した補助金の申請方法
ここではjGrantsを活用した補助金の申請方法・申請手順を解説します。
1. 必要なものを用意する
まずは、「jGrants」での電子申請に必要な以下4つのものを用意します。
- パソコン
- 印鑑証明書
- 登録印
- スマートフォン
個人事業者が申請する場合、3ヶ月以内に取得した印鑑証明書と個人の実印を用意します。
2.申請サイトで「gBizIDプライム」アカウントを作成する
こちらのサイトにアクセスし、「gBizIDプライム」のアカウントを作成します。
「jGrants」には「gBizIDエントリー」「gBizIDプライム」「gBizIDメンバー」といった3種類のアカウントがあります。
上記の通り、補助金の電子申請には「gBizIDプライム」のアカウントが必要なので、あらかじめ作成してください。
サイトにアクセスしたら「gBizIDプライム申請書作成」のページを開き、必要事項を入力します。
最後に表示される規約を読んで「規約に同意する」、そして「申請書作成」をクリックします。
3.申請書をダウンロード・郵送する
公式サイトより申請書をダウンロードし、紙面にある「作成日」に日付を入力します。
そして「実印欄」に印鑑証明書の実印を捺印します。
申請所に記載されている送付先に、本紙と印鑑証明書を郵送します。
書類に不備がなければ、郵送から2週間後にメールが届きます。
4.パスワードを設定する
送られてきたメールのURLをクリックすると、再度メールにワンタイムパスワードが届きます。
公式サイトから自身のメールアドレスに紐付くアカウントに対し、ワンタイムパスワードを使ってログインします。
その後、正規のパスワードを設定すれば「gBizIDプライム」アカウントの作成が完了です。
jGrantsが企業にもたらすメリット
「jGrants」の活用メリットとして、郵送にかかるコスト削減、過去の申請データの再利用、補助金の検索性の向上などが挙げられます。
特に重要な3つのメリットについて、詳しく掘り下げます。
コスト削減
「jGrants」を用いることで、企業はさまざまなコストを抑えることが可能になります。
たとえば、交通費や郵送費など、補助金申請に関する金銭的コストを抑えられます。
一つひとつは大きな額ではないものの、担当者の人数が多かったり、対応回数が多かったりすると無視できません。
さらに書類作成や、申請作業そのものを簡略化させられるのも大きいでしょう。
具体的には、「jGrants」には過去に入力した会社情報などを転記する機能があります。
補助金申請に必要な情報をあらかじめ登録できるため、その都度1から入力しなくて済みます。
さらに24時間365日、いつでも申請できるため、時間的なコスト削減につながります。
情報収集の効率化
「jGrants」にログインすることで、全国の補助金情報をワンストップで確認できます。
補助金情報は自治体ごとに掲載先が異なるため、細かく収集するにはコストがかかるものです。
「jGrants」内で一括収集できれば、事業者や担当者、起業予定者のリサーチ作業が効率化されるでしょう。
なお、補助金の申請情報や処理状況をリアルタイムで確認できます。
「jGrants」には800を超える補助金情報が掲載されており、情報収集・管理をスムーズに行えるので便利です。
ペーパーレス化の推進
「jGrants」を活用すれば、実印を用いた捺印が不要になります。
必要最低限の書類で申請できるため、社内のペーパーレス化促進につながるでしょう。
jGrantsで申請できる補助金とは?
すべての補助金が「jGrants」で電子申請できるわけではありません。
ここでは、「jGrants」で申請できる主な補助金をご紹介します。
なお、申請可能な補助金は毎年変わるため、必ず「jGrants」内で最新情報を確認してください。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスの影響を受け、変化する社会への対応として事業転換を進める中小企業を支援するための制度です。
これは売上の補填を目的とした補助金ではありません。
企業の強みや資源を活かし、新しい分野への進出や業態変更を促すための設備投資の支援となります。
事業再構築補助金には申請資格が定められています。
対象は中小企業や中堅企業で、資本金や従業員数には一定の制限があります。
また、対象事業が過去10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態でなければなりません。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者を対象に販路開拓や業務効率化の取り組みに必要な経費の一部を補助する制度です。
申請には事業支援計画書が必要で、これは各地域の商工会議所・商工会が発行します。
補助率や補助額上限、申請期限は自治体によって異なります。
たとえば、2023年4月時点の東京都では、補助率は2/3、補助額上限は200万円かつ申請受付締切日は同年6月1日です。
商工会議所の管轄地域で事業を営む小規模事業者等が本制度の対象です。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際、その経費の一部を国が補助する制度です。
補助額は5万円から最高450万円までで、補助率は半分以内とされます。
本制度の目的は、ITツールの導入を容易にし、中小企業・小規模事業者の生産性向上を後押しすることです。
具体的な申請方法や詳細な条件については、経済産業省の公式サイトおよび「jGrants」内で確認してください。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業等が生産性を向上させるためのサービス・製品の開発、または生産プロセスの改善に向けた設備投資を支援する補助金です。
補助対象は中小企業等で、設備投資費用の一部が補助されます。
補助率は最大2/3、1件あたりの補助上限は1,000万円です。
申請には事業計画書や見積書等の書類が必要となります。
本制度は応募者が多く、採択率は年度によりますが30~40%となっております。
そのため、申請者は事業計画書を提出する際には、技術面・事業化面・政策面等の審査項目を意識した内容にすることが重要です。
テレワーク促進助成金
「テレワーク促進助成金」は、テレワーク導入の費用を一部補助する制度です。
助成金に分類されますが、こちらは「jGrants」上で電子申請可能です。
助成内容は、テレワーク用通信機器の購入費用や就業規則の変更費用等で、最大助成率は65%、金額は200万円までとなっています。
対象者は中小企業事業主で、具体的な助成の実施は各都道府県や公益財団法人が担当しています。
各都道府県や公益財団法人が公表する募集要項を確認し、応募期間内に申請しなければなりません。
助成金の種類には、常時雇用する労働者を対象とした「一般コース」と、非正規労働者を対象とする「非正規社員拡充コース」があります。
「jGrants」で電子申請できるのは、「一般コース」のみです。
まとめ
「jGrants」の登場により、補助金が一層使いやすい制度になりました。
紙ベースの申請とは違い、多数の資料を揃える必要がありません。
補助金の申請作業が簡略化され、各種コストの削減が期待できます。
個人・法人問わず無料で使えるため、まずはアカウント作成から始めてください。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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