DX推進や働き方改革が加速している近年、多くの企業で「クラウドサービス」の活用が進んでいます。
一方、「結局クラウドってなんだろう?」「どういう仕組み?」と疑問を抱く担当者は少なくありません。
そこで今回は、クラウドの基礎知識を徹底解説します。
クラウドとは?
クラウドは「クラウド・コンピューティング」の略であり、サービスに必要なリソース分の料金を支払って利用できるITシステムの運用形態を指します。
クラウドの普及により、ユーザーはネットワークやサーバーなどのインフラ、ソフトウェアを持たなくても、さまざまなサービスを利用できるようになりました。
クラウドは現代のビジネスシーンにおいても積極的に活用されています。
たとえば、システムの迅速な拡張・縮小、Web画面からのシステム設定、複数ユーザーによるリソースの共有などをオンライン経由で行えるようになったのです。
これにより、企業は自社でインフラ機器を購入し、管理・運用する必要がなくなりました。
クラウドはビジネスシーンだけでなく、PCやスマートフォンを多用する私たちの暮らしにも浸透しています。
たとえば、無料の電子メールサービスのGmailや、オンラインストレージであるGoogle Driveもクラウドサービスの一種です。
クラウドが生まれた背景
クラウドの概念は、1997年に南カリフォルニア大学の「ラムナト・チェラッパ」教授によって提唱されましたが、その時点では一般社会には浸透しませんでした。
2006年にGoogle社のCEOである「エリック・シュミット」氏が「クラウドコンピューティング」という言葉を再提唱し、ここから一気に普及が加速したのです。
クラウドの普及にともない、自社にサーバーやネットワーク機器を設置・運用するITシステムの利用形態を「オンプレミス」と呼ぶようになりました。
また、クラウドの発展には「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」などの大手クラウドサービスプロバイダーが大きく貢献しています。
これらの企業は、自社の大規模なインフラを活用して低コストで高品質なクラウドサービスを提供し、クラウドコンピューティングの普及と発展に貢献してきました。
クラウドと物理サーバーの違い
クラウドと物理サーバーは、それぞれ異なる特徴と利点を持ちます。
物理サーバーとは、社内にサーバー機器を設置し、社内で専用回線網のネットワークを構築する形態のことです。
クラウドに比べると、リソースの専有性やパフォーマンス、セキュリティ面に優れています。
また、自社でサーバーを管理するため、カスタマイズ性が高く、必要な機能を柔軟に実装することが可能です。
一方、クラウドはインターネットを介してベンダーが提供する機能を利用するため、自社におけるサーバー設置やシステム構築が不要です。
インターネット環境さえあれば、場所を選ばずサービスを利用できるので、利便性の高いITシステムの利用形態といえます。
ただ、クラウドはベンダーが提供する機能の中から自社に必要な機能を選ぶことになるため、拡張性やカスタマイズ性は、物理サーバーに劣ります。
したがって、クラウドと物理サーバーは、それぞれの特性と利用目的に応じて選択するべきです。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスは、主にIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3つのカテゴリに分類されます
ここでは、各カテゴリの特徴についてご説明します。
SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)
SaaSは直訳で「サービスとしてのソフトウェア」を意味し、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービス形態のことです。
ユーザーはソフトウェアを自身のPCにインストールする必要がなく、そのアップデートやメンテナンスはベンダー側が行います。
代表的なサービスとして、営業支援システムの「Salesforce」や多彩なプロダクティビティツールを集約させた「Google Workspace」、オフィスワークに欠かせない「Microsoft 365」が挙げられます。
PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)
PaaS(Platform as a Service)は、インターネットを通じてプラットフォームを提供するサービス形態の一種です。
プラットフォームとは、サーバーやOS、データベースなどのシステム基盤を意味しますが、一般的にPaaSは「アプリケーションの開発環境」をクラウド上で提供するサービスを指します。
PaaSの開発環境では。アプリケーション開発に必要なAPIやデータベース、ミドルウエアがあらかじめ用意されています。
エンジニアはゼロベースで開発する必要がなく、開発工数やコストの削減、業務負荷軽減に繋がるのです。
PaaSの代表的なサービスとして、「Microsoft Azure App Service」や「kinton」が挙げられます。
IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)
IaaS(Infrastructure as a Service)は、システム構築に必要なインフラ環境をインターネット上で提供するサービス形態です。
これにより、社内にネットワーク機器などを設置しなくても、インターネット経由で仮想サーバーやファイアウォール、ストレージを利用できるようになります。
「Amazon EC2」や「Azure Virtual Machine」などがIaaSの有名なサービスです。
クラウドシステムのメリット
ここでは、オンプレミスシステムと比べた際のクラウドシステムのメリットを解説します。
イニシャルコストを抑えられる
従来のオンプレミスシステムでは、自社でネットワークスイッチやルータ、ケーブルなどのネットワーク機器を購入する必要がありました。
クラウドサービスにおいては、これらの機器が仮想サーバーやサブネットといったサービスに含まれています。
そのため、クラウド導入の初期費用であるイニシャルコストを大幅に削減できます。
データ共有を効率化できる
クラウドストレージを利用することで、社内データの一元管理やオンライン経由でのデータ共有が可能になります。
ストレージには時間や場所を選ばずアクセスできるほか、複数のユーザーがファイルにアクセスし、同時編集・更新を行えます。
作業進捗をリアルタイムで把握できるため、リモートワークやプロジェクトを円滑に進める上で重宝するでしょう。
また、クラウドストレージによる社内データの一元管理で、情報の整理や検索が容易になります。
スケーラビリティや拡張性が高い
クラウドはオンプレミスに比べ、スケーラビリティや拡張性に優れています。
スケーラビリティとは、必要に応じてITリソースを応じて増減させる能力のことです。
これには垂直方向の拡張(別名:スケールアップ・ダウン)と水平方向の拡張(別名:スケールアウト・イン)という2つのタイプがあり、クラウドシステムにおいては、メモリやストレージの増設、CPUの交換が行われます。
専任人材不要で、社内サーバーなどを容易にアップグレードできるのは大きな魅力です。
クラウドのデメリットや注意点
クラウドにはいくつかのデメリットや注意点があります。
これらを抑えることで、クラウドシステムへの理解が深まるでしょう。
ベンダーロックイン状態のリスク
ベンダーロックインとは、特定のベンダーにシステムの開発・保守を依存していることを意味します。
慢性的な属人化や作業効率の低下、セキュリティリスクが発生しても、ほかのベンダーに切り替えられない深刻な状態です。
ベンダーロックインは、運用中のシステムの仕様がほかのベンダーにはわからない、またはベンダーとの間で交わされた契約期間や保守期間による生じます。
システムやサーバーをインターネット経由で利用するクラウドも例に漏れず、ベンダーロックインに陥りやすいので注意しましょう。
セキュリティ強度がベンダーやサービスに依存する
クラウドのセキュリティ強度はほとんどの場合、ベンダーに依存します。
このため、クラウドサービスを導入する際は、ベンダー側のセキュリティ対策や、サービスに実装されているセキュリティ機能を精査することが大切です。
クラウドサービスのセキュリティ評価における基準として、「ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27001/ISO27017)」があります。
これは、クラウドサービスにおいて適切な情報セキュリティ管理が行われていることを認証するもので、個人・法人が安心してサービスを利用できる「証明」となります。
当該認証を取得しているクラウドサービスは、情報セキュリティ管理において一定の基準を満たしていると判断できます。
従業員教育や運用・保守管理の体制構築が必須
クラウドサービスを利用する側では、組織体制や人材育成、作業規則やマニュアルの整備、システム動作環境の設定管理が重要です。
これらはクラウドの弱点ともいえるセキュリティリスクを抑え、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐために欠かせません。
適切なセキュリティ対策の実施、クラウドサービスにおける従業員のベストプラクティスを確立し、安全な運用を徹底しましょう。
クラウドの実装モデル
クラウドには大きくわけて4つの実装モデルがあります。
それぞれの特徴は次の通りです。
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、自社専用のクラウド環境を構築し、独占的に使用する実装モデルです。
自社のセキュリティポリシーに則った、安全性の高いクラウドサーバーを構築・運用できます。
また、業務プロセスに応じたオーダーメイドシステムの構築も可能です。
個人情報や機密情報の取り扱いにおいて、強固なセキュリティが求められる場合や、特別なカスタマイズが必要なシステム運用に適しています。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、クラウドサービスを提供する事業者が構築した環境をほかのユーザーとともに使用するのが特徴です。
サーバーやストレージ、計算能力、仮想マシンといったリソースが提供され、ユーザーは使用量に応じた料金を支払って利用します。
コミュニティクラウド
コミュニティクラウドは、特定の業界や共通の事業内容を持つ組織間で共有されるクラウドの実装モデルを指します。
パブリッククラウドに比べてセキュリティが高く、コストや柔軟性の面においても優れているため、政府機関や金融機関、教育機関などに採用されています。
プライベートクラウドとパブリッククラウドの中間に位置する実装モデルです。
ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドやプライベートクラウドなど、異なる種類のクラウドサービスを組み合わせる実装モデルです。
たとえば、物理サーバーなどのオンプレミス環境とクラウドを組み合わせることで、リソースの追加やデータの分散保管が容易になります。
コストパフォーマンスが高く、柔軟性とカスタマイズ性に優れた仕組みとして注目されています。
クラウドの導入事例
世界最大級のクラウドサービスの一つである「AWS(Amazon Web Services)」は、国内外の企業や自治体に導入されています。
AWSは初期投資が不要で、必要な時に必要な量のITリソースを調達できるのが特徴です。
たとえば、「イオン株式会社」はAWSの活用によってDX「デジタルトランスフォーメーション」を推進し、企業文化の変革に取り組んでいます。
さらに日本の大手ゲームメーカーである「任天堂株式会社」や「株式会社ディ・エヌ・エー」では、自社タイトルのデータベースにAWSを採用し、優れたパフォーマンスとスケーラビリティの確保に成功しています。
このように、クラウドサービスは先進企業のビジネスモデルの変革やコスト削減、新たなビジネスチャンスの創出など、多岐にわたる面で企業成長を支援していることがわかります。
まとめ
クラウドが登場したことで、私たちの生活や仕事はより一層豊かで、便利になりました。
ビジネスシーンにおいても同様で、システム構築やデータ共有を中心に活用されています。
そんなクラウドの導入は、スターティアにお任せください。
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一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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