「フィードバック」というのはもともと制御工学の用語ですが、ビジネスの世界でもよく使われる言葉です。
普段から使っている、行っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、言葉や方法としてはスタンダードになっているものの、効果的に行うのは意外と難しいです。
顧客等からの意見や反応のこともフィードバックと呼びますが、
今回は教育場面(マネジメント場面)でのフィードバックについて、効果的に行うポイントをご紹介しましょう。
フィードバックとは?
冒頭でご紹介したように、「フィードバック」というのはもともと制御工学の用語であり、
電気回路などの出力を入力側に戻す操作(調整・改善)のことを意味しています。
英語表記では「feedback」となり、直訳すると「帰還」という意味です。
「feed」は「食物を与える」という意味やそこから展じて、
「(機械などに)物を供給する」「(心を)満足させる」といった意味もあります。
「back」は「返す」や「戻す」という意味ですから、
相手に対して「何かしら役立つものを返す」というイメージができるのではないでしょうか。
ここでお伝えするフィードバックとは、「評価を伝えること」です。
フィードバックには顧客から意見などを得ることも含まれますが、
今回は上司が部下へ、先輩が後輩へ、部下や後輩のパフォーマンスやアクションに対して「評価を伝えること」について解説していきます。
フィードバックのメリット
フィードバックとは、何のために行うのでしょうか。
フィードバックを行うと、その受け手は新たなヒントを得ることができます。
フィードバックは、仕事のやり方などのテクニック的な話だけにとどまらず、取り組み姿勢やマインドなども含めて行われます。
そのヒントをもとに次の業務への取り組みやマインドの調整や改善を行い、
自らを成長させたり、会社の生産性を高めたりすることができるでしょう。
また、自分の仕事に対してフィードバックをしてもらうことで、
受け手はモチベーションが上がり、さらなる成長や生産性の向上が見込まれます。
さらに、お互いの信頼関係が深まることも、大きなメリットと言えます。
ただし、これらフィードバックのメリットは、正しく効果的なフィードバックが行われていることが前提です。
フィードバックの方法によっては思ったような効果が得られなかったり、
間違った方法で行ってしまえば、逆にマイナスの効果を与えてしまったりする可能性もあります。
基本的なフィードバックの流れ
①自己評価をよく聞く
まずはフィードバックする対象の取り組みについて、自己評価を聞いてみましょう。
自己評価を話している間は途中で妨げることはせず、最後まで聞きます。
そして、気になるポイントがあればメモを取っておいて、後で伝えるようにしましょう。
自分の意見を聞いてもらった上でフィードバックを受ける方が、相手の言葉を受け入れやすく、また納得しやすくなります。
②ポジティブ(褒める)フィードバックから
まずはポジティブなフィードバックから行います。
人間、ネガティブなメッセージよりも、ポジティブなメッセージの方が素直に受け取れるものです。
はじめに褒めることからスタートすることで、受け手の心を開かせます。
③改善点を伝える
ここが、フィードバックの要となるポイントです。改善点、問題点の指摘をして、
それに気づかせ、考えさせることで、それ以降の仕事のブラッシュアップや、個人のスキルアップにつながります。
間違えてはいけないのは、ここで失敗を責めるわけではないということです。
過ぎたことを責めるのではなく、そこから気づくことができるポイントを伝えるようにしましょう。
④改善点や問題点に関する考えを聞く
時間に限りがある場合は、今後の対応策についてアドバイスをすることになりますが、
できればここで指摘を受けた改善点や問題点について受け手の考えを聞いてみましょう。
自分だったらこの後どうして行くかを考えることは、成長につながります。
⑤今後の対応についてアドバイスする
今後の対応策に対して、アドバイスを行います。
④で聞いた受け手の対応策が効果的なもの、妥当なものである場合は、
より発展的なものになるように導きながら、さらに自分で考えさせるのも良いでしょう。
ある程度経験を積んでいる相手であれば、コーチング(支援する)の要素を強めてサポートをします。
逆に受け手の考えがずれていたり、考えが足りない場合は、別の切り口で対応策を伝えましょう。
こちらはティーチング(教える)の要素が強くなります。
⑥ポジティブな言葉掛けで締める
最後は、改めてよかったポイントを褒めたり、今後の取り組みについて励ましの言葉をかけたり、ポジティブな言葉掛けで締めましょう。
モチベーションを高めた状態でフィードバックの場を終えます。
効果的なフィードバックのポイント
ポイント①信頼関係がある
フィードバックを通して信頼関係は深まりますが、そもそもの信頼関係が無ければ受け手に言葉が届きません。
この人の言うことを聞いても仕方がない、と思われているのでは、何を言っても無駄ですよね。
この人の言うことを聞けば成長できる、一緒に目標を達成したい、この人は自分のことを思って話してくれている、
といった気持ちがあってこそ、相手の言葉を素直に聞き入れてもらえるのです。
そのためには普段からのコミュニケーションが重要です。
チームメンバーには公平な態度で、感情的にならず、真摯に向き合うことが求められます。
ポイント②適切なタイミングで行う
フィードバックのタイミングは様々あります。
業務を行なっている中で伝えることもあれば、振り返りミーティングで伝えることもあるでしょう。
いずれの場合も、できるだけ早いタイミングで行うことをお勧めします。
時間が経ってから行われるフィードバックでは、
受け手にとって何のどこを指して言われているのか、正しく理解できない可能性があるのです。
また、状況が変わってしまうことも考えられます。
ポイント③受け手の能力に合わせる
浮き彫りになった課題や問題点に対して、それが必要なことであったとしても、
受け手の能力では実行できないような対応策や目標伝えるとモチベーションを下げてしまうことにしかなりません。
受け手の能力に合わせて、多少高度な内容でも構いませんが、
「できそうだ」というイメージが持てるような、実現可能な内容で伝えることがポイントです。
また、受け手の能力に合わせて、自分で答えを導き出すタイミングであるのか、
それとも、今は手取り足取り教えるタイミングであるのかも考える必要があります。
経験が浅い、まだスキルが不足している場合は、教える(ティーチング)ことが有効ですし、
ある程度経験を積んでいる場合であれば、自分で考えさせるように導く(コーチング)ほうが、
人材育成の観点で有効な方法であるといえます。
ポイント④具体的に伝える
褒める時も、課題点を挙げる時も、解決策を提示するときも、具体的に伝えるようにしましょう。
特に新人や若手社員の場合、具体的に褒めた方が、学びが多くなり早く成長できます。
「よく頑張っていたね。」「よかったよ。」「もうちょっと頑張ったほうが良いね。」
といわれても、なんとなく褒められてうれしいくらいには思うかもしれませんが、
何が良くて、何を改善したらよいのかわからず、良いフィードバックとは言えません。
「この企画書の分析部分の内容が、誰が見てもすぐわかるように図式化されていてよかった。」
「プレゼンの時、結論から話せていたのでわかりやすかった。」
「顧客の意見を十分に聞かずに、自分ばかり話していた点は改善した方が良い。」
といったように、どこの何が良かったのか、悪かったのか、具体的に伝えるようにしましょう。
ポイント⑤しっかりと褒める
ここまでにもお伝えしてきたように、褒められることで自信を持ち、改善点への言葉が受け入れやすくなります。
モチベーションを高めるためにも本人が納得する部分で、しっかりと褒めることは重要なポイントになります。
結果が伴っていない場合、フィードバックがどうしても批判的になってしまうという人や、
うまく褒めることができないという方は、以下のような観点で考えてみてください。
結果が満足のいくものでなかった場合であっても…
・プロセスの中で良かった部分を見つける
・以前からの進歩が認められる部分、改善された部分を見つける
・本人の努力した部分を見つける
・前回のフィードバックに沿って行動した部分を見つける
ポイント⑥個人に対するフィードバックは1対1で行う
個人に対するフィードバックは、1対1で行うようにしましょう。
褒めるだけであれば、他の人の前で行うことでさらに自信をつけることができるかも知れませんが、
フィードバックでは改善点を伝えることが多いため、人前で言われることで傷ついたり、自信をなくしたりしてしまう可能性があります。
中には、人前で指摘された恥ずかしさや悔しさからより一層頑張れる人もいますが、
プラスに作用しない場合の方が多いので、注意しましょう。
最後に
効果的なフィードバックは、個人を成長させ、生産性を高めることにつながります。
良くないフィードバックを行うことでモチベーションを下げてしまっては、せっかく時間を割いているのにもったいないですよね。
フィードバックは、小言を言ったり聞いたりする時間ではありません。
する方もされる方も、前向きな時間として捉え、社内の活性化に役立ててくださいね。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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