現在あらゆる企業が取り組むべき働き方改革について解説します。
2018年の法案成立以降、政府の主導で推進されてきましたが、今一度その背景や内容についておさらいしておきましょう。
近年、働き方改革に大きな影響を与えることになった新型コロナウイルスによる変化についても解説します。
働き方改革とは
働き方改革とは、労働者がそれぞれのシチュエーションに応じた多様な働き方を実現できる社会を目指す取り組みのことです。
「一億総活躍社会」を目指す取り組みとして、政府主導で推進されています。
働き方改革の計画自体は2016年にスタートしました。
その後、2018年に「働き方改革法案」が成立、2019年に「働き方改革関連法」が施行され、着々と法整備が進んでいます。
こうした政府の動きにともない、企業にも従業員の労働環境を改善していくことが求められています。
働き方改革が推進されている背景
国が働き方改革を推進している背景には、日本が直面している労働人口の減少があります。
前提として、日本では2010年をピークとして、現在まで人口の減少が続いています。
内閣府は、このままの状況が続けば「2105年までに4,500万人まで人口が減少する」という試算を発表しています。
(参照:(1)総人口|選択する未来- 内閣府)
当然ながら、この見込みどおりに人口が減少するとすれば、労働人口の減少は免れません。
国の主な労働力となるのは、15~64歳の「生産年齢人口」と呼ばれる年齢層の労働者です。
国立社会保障・人口問題研究所は、この年齢層の人口についても、「減少の一途をたどる」というデータを公開しています。
(参照:Population Projection for Japan)
2051年には5000万人まで減少すると見込まれており、このままでは日本の国力・生産力低下は免れません。
働き方改革は、この状況を鑑みた政府が日本の労働力を回復させるために打ち出している取り組みと言えます。
労働力不足を解消するための対応策
働き方改革は上記のとおり、日本の労働力不足を解消するための取り組みです。
求められている対応策について、細分化して解説しましょう。
労働力不足を解消するため対応策として、「働き手を増やすこと」と「労働生産性を上げること」が対応策として挙げられています。
「働き手を増やすこと」は、「出生率の向上」と「労働市場に参加する人口の増加促進」に分類可能です。
「労働生産性」は、労働者が生み出せる成果を数値として表現したものであり、国の労働力を図る指標として活用されています。
計算式は以下のとおりです。
「労働生産性=産出(Output)/投入(Input)」
「労働生産性の国際比較 2021」で公表された情報によると、日本の労働者一人当たりの労働生産性は、78,655ドルであり、OECD加盟国中28位です(全38カ国)。
1970年以降、最も順位が落ち込んでいます。
労働力不足を解消するためには、こうした問題に対して取り組まなければなりません。
つまり、働き方改革は
- 出生率の向上
- 労働市場に参加する人口の増加促進
- 労働生産性の向上
という3つの目的に対して多角的に取り組むことと言えます。
日本が抱えている働き方の課題
そもそも、なぜ日本ではここまで労働力が減少しているのでしょうか。
以下のような慢性的な課題は、日本の労働力不足に大きな影響を与えていると考えられています。
雇用形態による賃金格差
日本では、正社員とその他の雇用形態の間に無視できない賃金格差が存在しており、世界的に見ても、雇用形態による賃金格差が激しい国です。
一方、仕事内容には大きな差がないことから、多くの現場では不合理な格差が生じている状況です。
福利厚生や評価制度など、賃金以外の格差も多く見られます。
当然ながら、これは正社員以外の労働者にとって、労働のモチベーションを大きく削ぐ問題です。
労働に見合った対価が得られなければ、労働者は減少します。
このことから、慢性的な人手不足に悩む現場は少なくありません。
長時間労働の常態化
日本は、世界的に見て平均労働時間が長い国です。
有給が消化されないケースも目立っています。
労働時間としてカウントされない、いわゆる「サービス残業」も横行していました。
近年になり、こうした長時間労働は明確な労働問題として話題になっています。
過剰な労働時間の超過により、従業員がメンタルヘルスを害するケースや、過労死に至るケースが相次ぎました。
心身が健康でなければ、当然ながら時間あたりの生産性は大きく低下します。
健康、ストレスの問題から離職する従業員も少なくありません。
このことから、労働力不足を解消するためには、長時間労働も是正すべき問題のひとつと言えます。
働き方改革における“3つの柱”
労働力不足解消のために政府が打ち出している働き方改革。
具体的な方針として発表されている「長時間労働の是正」「不合理な賃金格差の解消」「柔軟な働き方の整備」は、一般的に「働き方改革における“3つの柱”」と呼ばれています。
常態化している長時間労働の是正
柱となる取り組みの1つが、長時間労働の是正です。
特に、従業員に健康被害をもたらしうることが問題されていることから、規定を超える長時間労働を解消することが重要視されています。
労働時間に関するルールは法律が制定されている状況です。
また、労働時間を減らしても生産性を保てるように、業務の効率化も求められています。
多くの企業は政府の方針に従い、以下のような取り組みを進めています。
- 休日出勤の禁止
- 労働時間管理の徹底
- 短時間勤務
- フレックスタイムの導入
- 時間外勤務の上限設定
- 有給休暇の取得促進
雇用形態による不合理な格差の解消
日本が長らく直面していた、雇用形態による不合理な格差についても解消に向けた取り組みが進められています。
具体的には、賃金だけではなく、福利厚生、教育の面など、正社員と非正規社員の差をあらゆる面でなくしています。
雇用形態によって生じる格差が働き方選択の自由度を妨げないように、「パートタイム・有期雇用労働法」「労働者派遣法」が制定されました。
アルバイトやパートの従業員に対して有給を提供する現場が増えてきています。
また、社会に必要不可欠でありながら人手不足が続いている「エッシェンシャルワーカー」が勤務している業界では、非正規雇用職員の労働環境を改善することが求められるようになりました。
さまざまな人が労働に参加できる柔軟な働き方の整備
労働人口を増やすためには、働きたい人・働ける人が労働に参加できる環境の整備が大切です。
特に、高齢者やライフイベントで働くことが困難になってしまいやすい女性が、気軽に労働へ参加できる社会の実現が急がれています。
生活や他の仕事との両立がしやすいテレワーク制度、フレックスタイム制度、副業制度を導入する企業が増えました。
また、子どもがいる女性が仕事に参加しやすいよう、キッズスペースを設置する企業も増加してきています。
コロナ禍で働き方改革はどう変わったか
2020年に始まったコロナ禍は、間違いなく働き方改革に影響を与えたと言えるでしょう。
以下では具体的な影響について解説します。
テレワークの導入率は増加
新型コロナウイルスの感染リスクを防ぐために、多くの企業がテレワークを導入しています。
それまで導入を予定していなかった企業が導入を余儀なくされたケースも少なくありません。
結果的に、働き方改革で推進されている「柔軟な働き方」のひとつが普及することになりました。
一方で、十分に準備をせずに導入したことから、スムーズに移行できていない企業や、とまどいを持ったままテレワークを続けている企業も多いようです。
労働生産性への好影響と悪影響
労働生産性については、好影響と悪影響の両方が見られています。
テレワークを導入した企業では、通勤時間が従業員の時間を圧迫することがなくなりました。
従業員は私生活との両立がしやすくなり、働きやすさが向上しています。
自宅やコワーキングスペース、カフェなど、オフィス外の環境のほうが作業効率が上がると実感している従業員もいます。
また、チャットやビデオ通話がコミュニケーションの中心になったことから、無駄な会議などは少なくなりました。
かねてより、慣例的に行われていた不必要な会議は減少し、勤務時間を必要な作業にフルで使えるようになりました。
一方で、特に自宅で作業をする場合、仕事に気持ちを切り替えるのに苦労している従業員も多いようです。
人によっては、オフィスで仕事をしている場合のような緊張感が持てず、生産性が落ちてしまうこともあります。
また、労務管理については、勤務状況の管理が以前よりも難しくなりました。
管理者に申告している勤務時間と、実際の作業時間が合っていないケースが多く見られています。
自由な働き方が実現されている一方、「中抜け時間」の取り扱いに困るという、新しい問題も生まれています。
以前のサービス残業とは異なる「隠れ残業」という問題もあらわになりました。
オンとオフの境界線があいまいになるため、本来であれば業務が終了している時間帯に作業をしてしまう従業員も多いようです。
まとめ
政府が進めている働き方改革について解説しました。
日本の企業は規模に関わらず、この取り組みをフォローしていくことが求められています。
そのなかでも、テレワークは働き方改革によって一気に普及した制度です。
テレワークは柔軟な働き方を実現できる一方で、労務管理が難しくなる側面もあるため、慎重に導入する必要があります。
スターティアは、「リモートワーク環境の構築」というサービスを提供しています。
働き方改革や新型コロナウイルス対策でテレワーク環境を構築したい企業様は、お気軽にご相談ください。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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