社員にとって、比較的自由に使えるお金と認識されがちなのが「接待交際費」。
確かに得意先、仕入先などと良好な関係を築くためには必要であり、うまく使えば売り上げ拡大に大いに貢献してくれるものです。
しかしその反面、無駄な支出の温床になるリスクも孕んでいます。
このような、削れそうで削れない接待交際費に関する削減アイデアをご紹介します。
接待交際費とは
接待交際費は、得意先・仕入れ先、その他事業に関連する先などを接待・供応(酒や食事を出して人をもてなすこと)、
慰安、贈答などをするために支払う費用のことです。
接待交際費は、うまく活用することで得意先、仕入先などと良好な関係を築くことができ、
その結果、売り上げや事業の拡大につながるため、必要な経費であるといえます。
しかしその一方で、接待や贈り物がどれほど得意先・仕入先などとの信頼関係アップに貢献できたという部分を
明確に数値化することができないため、費用対効果を正確に把握することができないという面があります。
いくら使えばどれくらいのリターンがあるか予測するのが難しいため、大きな無駄が生じている可能性も多々あります。
また、接待交際費は「仕事のため」「取引先のため」という名目があるために、
社員としても、多少使いすぎても「問題はないだろう」「大目に見てもらえるだろう」という心理が働きやすく、
あたかも自由に使って良いお金のように思い、他の経費よりも多く使ってしまうという傾向にあります。
さらに、本来あってはならないことではありますが、公私混同して使っている場合も見受けられます。
このように、得意先との関係性を考えると削れそうで削れない接待交際費ですが、無駄が生じている可能性も十分に考えられます。
接待交際費の削減アイデア
事前承認制を導入する
営業担当者が得意先の接待で既に使ってしまった経費を、後になって経理担当が「払えません。」ということは難しいですよね。
使ってしまったもの勝ちというわけではありませんが、社員が一度負担したものに対しては、支払わなればならないでしょう。
そこで取り入れたいのが、事前承認制です。
接待などをする場合はその目的、先方の名前、場所、出席人数、予算等を記載して申請書を提出してもらいます。
上長や経理担当者から決済を得るようにしておくことで、接待交際費の使い過ぎを防止することができるでしょう。
ここで、所属部門の上長だけの承認にしてしまうと、部の売り上げを上げるためにと、簡単に承認してしまう可能性も考えられます。
そのため、他にも経理担当者や他部署担当者の承認を得るようにするか、上長にも支出権限に対する責任を負ってもらうようにしましょう。
カテゴリーごとに上限を設定する
他の経費については上限を設けていても、接待交際費については上限を設けていないという企業もあるかもしれません。
その場合はまず、上限を設定しましょう。
一律で○円までと設定することもできますが、目的によっては上限が高すぎる場合、低すぎる場合などが出てくる可能性は大いにあります。
食事会の種類によって分ける場合、
例えば一人当たりの金額を、ランチ会食の場合は5000円以内、ディナー会食の場合は2万円以内、
2次会の場合は1万円以内、接待を伴う飲食店の場合は3万円以内…といった形です。
他にも、取引額や、契約状況によって線引きをしても良いかもしれません。
目安の金額を決めるのが難しいと思いますが、参考にできるデータを2つご紹介します。
・国税庁「会社標本調査」
業種別・資本金階級別で見た「交際費等」の平均金額
・中小企業庁「中小企業実態基本調査」
産業別・従業者規模別などで見た「交際費」の平均金額
接待交際費は、業種や規模によってその使用金額に大きな差があるので、
自社の業種や規模と同様の平均額を参考にしてみてください。
ここで、税金対策という面から知っておきたいポイントが一つあります。それは、5000円以下で設定することの意味です。
接待交際費が経費として認められる金額には上限がありますが、会議費には上限がありません。
その会議費として計上できる金額の上限が、一人当たり5000円以下です。
5001円になると、接待交際費に計上しなければなりませんが、5000円以下であれば全額経費で計上できるというメリットがあるのです。
ただし、会議費として計上する場合、参加者数、参加者の名前、金額、店舗名、店舗所在地が記載された書類が必要です。
5000円以下に限らず、接待を行った際にはこうした記録を残すというルールにしておくと良いでしょう。
また注意したいのは贈答品にかかったお金についてです。
贈答品の場合は、5000円以下でも接待交際費になります。会議費にできるのは飲食代のみですので、注意しましょう。
使用した接待交際費を公開する
自分自身がその月に使用した接待交際費は、経費精算の際に目にするのである程度は把握しているでしょう。
しかし、自分のお金ではない上に、仕事のために使ったお金であり、誰かと比較することもありません。
そのため、「今月は使い過ぎてしまった…」といった意識が芽生えることはほとんどないのです。
そこで効果を発揮するのが使用した
接待交際費の公開です。個人ごともしくは部署ごとで公開することで、
単純に自分や部署が使いすぎていると気がついたり、営業成績と比較したときの費用対効果の悪さが露わになったりすることで、
自分の接待交際費の使い方を意識するようになります。
ただし、少し荒療治になりますので、
事前に意見をよく聞いてから進めるようにしましょう。
独断で実行することで、社員の士気を下げてしまったり、会社への反発が起ったりする可能性があります。
全体に公開はせずとも、経理でまとめた数字を課長、部長といった役職者のみに公開して、個人へ働きかけてもらっても良いと思います。
使用した接待交際費の中身を確認する
手間のかかる作業ではありますが、金額だけに注目するのではなく、
個人個人が申請している接待交際費の中身についてもリスト化し、全て確認しましょう。
あまりにも一社に偏りすぎている…公私混同が疑われる…など、解決すべき問題が見えることがあります。
見つかった問題に対処することはもちろんですが、
こうしたチェックが入ることがあるという事実自体が、無駄な使用に対するブレーキとなってくれます。
接待用の店を決めておく
会社として、接待用の店を数店決めておきます。
お店の選定をする時点で、価格帯が高すぎるお店や、コストパフォーマンスが著しく悪いお店などを排除することができます。
さらに、お店側としては一定の頻度でお金を使ってもらうことはメリットとなりますので、
一定の割引を設けてもらったり、特別なコースを設けてもらったりできるように交渉しましょう。
これで、さらなる接待交際費削減が見込めます。
その上で、対象店での請求はその場ではなく、会社に回してもらいます。
こうすることで経費精算の手間も省け、どの店でいくら使ったのかもすぐに把握できます。
できれば、お店側から参加人数についても教えてもらうようにしておくことで、さらに手間が省けるでしょう。
プラチナ法人カードのメリットを活用
プラチナ法人カードの年会費は高額ですが、うまく活用すれば接待交際費を削減することができます。
例えば、有名店で2名以上の予約をした場合には1名分が無料になるサービスが使えたり(年1回)、
利用料金が割引されたりといったサービスがあり、年会費分程度であれば、すぐに取り返せることが多いです。
その上で、法人カードのポイントが貯まります。
さらに、優待は飲食店に限らず、ゴルフ場の利用料金割引や優待運賃での航空機利用などの特典も利用できるので、
総合的にみて経費削減ができるのです。
経費削減ではありませんが、コンシェルジュサービスを提供しているところが多いので、それを利用すれば、
接待に最適で予算に合わせたお店を予約してもらったり、贈答品を提案してもらったりすることも可能です。
店選びにいつも苦労している…気の利いた手土産を用意するのが難しい…と悩んでいる人は多いので、
こうした手間が省ける点で大きなメリットです。
クーポンサイトの活用
プライベートで、各種クーポンサイトを活用している人は多いかもしれません。
自身のお金を使うときには利用するクーポンですが、
会社のお金となると費用はあまり気にせずクーポンサイトは利用していない人は意外と多いです。
クーポンサイトでは、割安でコースを予約できたり、総額から20%割引がされたりと、
大きく経費が削減できるクーポンが多数掲載されています。
高級店を割安で予約できるサイトもありますので、
接待の際にもこうしたクーポンサイトや予約サイトを活用することで、経費削減ができます。
最後に
接待交際費は、効果的に使えば大きな利益を生み出すことにつながります。
しかし、利益につながらない経費になってしまっていたり、
明らかに使い過ぎてしまっていたり…ということも起こり得るのです。
今回ご紹介した接待交際費の削減アイデアでは、一定の制限を設けたり、管理を強めたりするものが多いです。
これまでの自由さに慣れていた人にとっては、初めはやりにくさを感じるでしょう。
しかし、こうした策を講じた結果、使う側一人一人が
「最も効果的な接待交際費の使い方」を意識できるようになったのであれば、
もう制限などは必要なくなり、接待交際費を最大限に活用できるようになるのではないでしょうか。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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