物流コストと聞くと、輸送費用のみをイメージするかもしれませんが、実はそれだけではありません。
物流に関連する作業で発生する全ての費用のことをいいますので、その内訳は多岐にわたっています。
ECサイトの運営をする企業が増えていますので、この物流コストの改善が課題の企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、物流コストとは何か、そして物流コストの効果的な削減ポイントについて解説します。
物流コストの種類
物流コストは、有形・無形を問いません。
供給者から需要者へ至るまで、何かしらのモノの流れがあれば、それに要したコスト全てのことを指します。
物流コストは、実はその実態がわかりにくいものです。
物流コストを改善するには、物流コストとは何を指しているかを知り、
自社においてどのくらいのコストが発生しているのか、無駄はないのかを把握することが重要だといえます。
削減すべき対象を明確にすることで、削減に対するモチベーションも高まるでしょう。
物流コストは、支払形態別・物流プロセス別・機能別の3種類に大別されるのが特徴です。
それぞれの種類・内訳について解説します。
支払形態別
外部に支払う「支払い物流コスト」のみを物流コストであると捉えがちですが、
自社内で発生する社内物流コストも物流コストに含まれるという意識を持ちましょう。
・支払い物流コスト
車両、鉄道、船、飛行機の運賃、倉庫のレンタル費用、事務作業・梱包作業などの外注費など
・社内物流コスト(自家物流コスト)
社内で発生する人件費、システム運用費、所持しているトラックや倉庫の維持費や保管費、減価償却費など
物流プロセス(領域)別
物流プロセス別で物流コストを捉える場合は、以下の3種類です。
視点として、知っておきましょう。
・調達物流費:原材料を調達する時に発生するコスト(調達先から自社まで)
・社内物流費:社内業務で発生するコスト(商品などを自社から輸送するまで)
・販売物流費:製品を販売する時に発生するコスト(自社から販売するまで)
広義には、調達物流費を除く全ての物流費のことを販売物流費とする場合もあります。
機能別
続いては機能別に分けた場合の、内訳について解説します。
1.輸送・運送費
物流コストの中で、最も大きなコストになっているのが、輸送・運送費です。
全体の5〜6割を占めることが多いようです。
・宅配便の費用
宅配業者を利用した際の運賃です。
宅配業者各社が国土交通省に届けた運賃表を基に金額が決められます。
・自社便の費用
自社でトラックなどの輸送機を運用する時の費用です。
車両費用、燃料費、高速料金、駐車場費用、人件費などが含まれます。
・チャーター便の費用
自社の商品のみを輸送する輸送機を利用するときにかかる運賃です。
仕様・最大積載量・輸送距離などによって金額が決められます。
大量の商品を運ぶ場合には、混合便よりチャーター便の方が安くつく場合もあります。
・路線便(混合便)の費用
チャーターとは異なり、他の荷物と混合で輸送してもらう時にかかる運賃です。
宅配便との違いは、鉄道路線のように決められた場所を経由し、決められた場所に届く点にあります。
また、B to Cではなく、B to B輸送サービスを中心としています。
物量に応じた料金体系となっていますが、取り扱う荷物の種類、サイズの制限や料金などは運送会社によって異なります。
共同配送も同じく混載で荷物が運ばれますが、路線便のように複数のターミナルを経由することがないため、
荷物の積み替えによる傷みや紛失のリスクが軽減されます。
・航空便の費用
航空機を使って国内外に輸送する時の運賃です。
・船便の費用
船を使って海外に輸送する時の運賃です。
ドル建てが一般的です。
2.保管費
輸送・運送費に続いて大きなコストになっているのが、製品を倉庫などに保管する時にかかる保管費です。
・賃借料
保管する場所を借りる時にかかる費用です。
坪単位または個建て単位の料金体系が一般的です。
・保管料
保管場所に保管している商品の管理にかかる費用です。
サイズや重量などの計量と保管日数によって決定する寄託保管タイプと、
保管スペースによって費用がきまる坪貸し保管タイプのどちらかが一般的です。
・入出庫料
荷物の出し入れをする時にかかる費用です。
3.荷役費
・入庫費
倉庫や物流センターなどに入庫する時の費用です。
1ケースや1トンあたりの単価に数量をかけることで決定します。
・出庫費
倉庫や物流センターなどに出庫する時の費用です。ピッキング料とも呼ばれます。
1ケースや1トンあたりの単価に数量をかけることで決定します。
・梱包費
梱包をするためにかかる費用です。
・流通加工費
シール貼り・タグ付け・プレス加工、ハンガーアップなどの加工をする時にかかる費用です。
・輸出に関する費用
海外に輸出をしている場合にかかる、通関料・ドレージ料・取扱手数料・港湾施設利用料・関税なども、荷役費にあたります。
4.物流管理費(物流管理人件費)
物流を管理するためにかかる費用です。
社内物流費か調達物流費のどちらかに区別されます。
入出庫や伝票発行業務を行うための人件費が、これにあたります。
物流コストの削減ポイント
冒頭でもお伝えしたように、まずは自社の物流の全体像を把握し、
それぞれにどれくらいの費用がかかっているのかを可視化しましょう。
その上で、問題点を見つけ出し、対策を打っていきます。
ここからは物流コストの削減ポイントをご紹介していきます。
輸送費(配送費)の削減
最も大きな割合を占めているのがこの輸送費です。多くの企業が問題を抱えているのではないでしょうか。
輸送方法には様々あります。ずっと宅配便だけを使っている、自社配送を行っているなど、
現状に合わせているのではなく、同じ方法を継続しているという企業もあるのではないでしょうか。
現在の配送料金や配送ボリューム、配送先を確認することで、
実はより安く輸送できる路線便の利用で問題がない、またはチャーター便の方が安いなど、最適な方法が見つかる可能性があります。
保管費の削減
保管料も金額が大きいため、悩みの種だと思います。
倉庫はその立地条件や広さによっても大きく金額が異なります。
現状に合わせて立地や広さを変更することで、賃借料を削減することができるかもしれません。
倉庫内で作業するにあたって、無駄をなくすことも保管費の削減につながります。
きちんと整理されておらず、ルールもない状態であれば、ミスが発生して後処理に時間と手間がかかったり、
無駄な動きが増えて本来は必要のない人件費まで発生してしまったりすることもあるでしょう。
どのようにルールを作ったらいいか困ったら、製造業における工場改善の基本の考え方である
5S活動「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」を参考にすることをお勧めします。
整理整頓、ルールの作成をし、それを実行することが削減への近道です。
また、拠点が複数ある場合はその拠点を1つにする、もしくは減らすことで、
倉庫の賃借料や保管費などを削減することができます。
それだけでなく、入出荷量の把握や在庫調整の手間も削減できるので、
結果として在庫の無駄が減ったり、人件費が削減できたりといったメリットもあります。
ただし、拠点を減らすことで基本的には輸送費は増えてしまうことになりますので、
そのバランスをよく考えてから実行する必要があります。
人的ミスと手間の削減(物流管理システムの導入)
人的ミスと手間を削減するために、物流管理システムを導入することも、物流コスト削減のポイントの一つです。
輸送や保管、荷役、包装、流通加工などの物流のプロセスを一元管理・見える化することができ、
物流プロセスの一部を自動化することもできるため、そのことによるメリットやコスト削減効果が大きいです。
具体的なメリットとしては、物流管理に関わる人件費の削減、
人的ミスの削減による作業効率のアップ(ミスにより発生するコストの削減)、
人や時間にかかわらず稼働できることによる倉庫回転率のアップ、最適な物流プロセスの分析などが挙げられます。
メリットは大きいですが、当然、システム導入によりコストがかかります。
また物流システムの種類は様々なので、自社の状況を正しく把握し、
最適なシステムを選ぶことができなければ、ムダな出費ばかりが増えてしまうことにもなりかねません。
自社の物流システムにおいて何が必要で何が不必要なのか、正しく把握しておく必要があります。
毎月のコストだけでなく、定期的なメンテナンスにも多くの費用がかかることも念頭において、導入を検討しましょう。
アウトソーシングの活用
自社で物流コストを改善するためには、それ相応の知識と人材が必要となります。
また、マニュアルを作成したり、人材を育成したりするにも多くの時間と費用を費やさなければなりません。
物流システムに関する専門知識を持った人材がいない場合や、他の業務に集中したい場合などには、
業務の一部または全部をアウトソーシングすることでも、物流コスト削減に繋がります。
アウトソーシングをすることで、専門知識がなくても最適な物流フローを導入できるため、
より早く、より正確に目的地まで荷物を届けることができますし、何かしらの物流トラブルがあって時にも、
プロである業者が解決してくれるという大きなメリットがあります。
アウトソーシングサービスの内容も物流システムと同様、会社によってサービスの幅や内容に違いがあります。
業界の得意不得意などもありますので、よく調べて最適な企業を選択する必要があります。
最後に
ムリ・ムダ・ムラをなくし、人的ミスをなくすことで物流コストを削減することができます。
その際、必要なものまで削ってしまうと、一見コストが減少しているように見えても、
他の部分でムダなコストが発生し、全体で見るとコストが増えてしまっているという結果になることがあるので、注意が必要です。
また、全体のコスト削減のためには、一部で新たなコストをかけることも前向きに検討しましょう。
かかるコストだけでなく、コストによって得られる付加価値にも注目してくださいね。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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