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お役立ち記事

2022-03-25 16:44:23

書面契約書から電子契約書に移行するメリット・デメリット

書面契約書から電子契約書に移行するメリット・デメリット

現在は、企業間で電子契約書のやり取りが行われるケースも少なくありません。
書面から電子契約書に移行すると、どういったメリットがあるのでしょうか。
また、デメリットについても知っておかなければなりません。
こちらの記事では、電子契約書の基本常用やメリット・デメリットについてお話しします。

 

電子契約書の基本情報

まずは、定義や一般的な紙の契約書との違いなど、電子契約書の基本情報についてお伝えします。

電子契約書とは

電子契約書とは、電子データとして作成される契約書を指します
作成だけではなく保管も電子データのままで行われることが前提のため、紙で出力されることは基本的にありません。

電子データでの契約では、有効性を懸念する方が多いかもしれません。
しかし、契約自体は紙の契約書のような署名・押印がなくても成立します。
また、電子契約書では電子署名を採用することにより、本人同士の契約であることを証明しています。

電子契約書と書面契約書の比較

電子契約書と書面契約書には多くの違いがあります。

代表的な違いが押印をしない点です。
電子契約書では、押印の代わりに電子署名や電子サインが記載されます。
 
印鑑の場合は印鑑証明書によって本人性が担保されます。
対して、電子署名の本人性を証明しているのが電子証明書です。
電子証明書は、認証された第三者機関が本人性を電子的に証明するためのものであり、電子署名の有効性を担保するために利用されます。
 
紙の契約書では、改ざんが行われていないことを示すために割印を押すのが一般的です。
一方、電子契約書ではタイムスタンプという技術を利用して作成の日時と改ざんされていないことを証明します。
 
さらに、紙の契約書は郵送、もしくは手渡しでのやり取りが基本ですが、電子契約書はインターネット通信を介してやり取りされます。
このことから、送付の方法にも違いがあると言えます。

以下の表は両者の違いをまとめたものです。

書面契約と電子契約の違い

形式 書面契約 電子契約
本人性の確認 印鑑 電子署名/電子サイン
本人性の担保 印鑑証明書 電子証明書
安全性の保障 割印 タイムスタンプ
送付 郵送 or 手渡し インターネット経由
印紙 不要

電子契約書のメリット・デメリット

電子契約書は多くのメリットにより企業間取引で採用されています
しかし、一方でいくつかのデメリットもあります。
電子契約書の利用を検討している場合は、以下のようなメリット・デメリットについて知っておきましょう。

電子契約書のメリット

電子契約書には以下のようなメリットがあります。

 

コスト削減できる

紙で契約書を作成する場合、紙やインク・トナーといった消耗品のコストは避けられません。
また、郵送するコストや持参する手間も発生します。
電子契約書の場合は印刷することがないため、紙代やインク・トナー代を節約できます
また、インターネットの経由で渡せるため送付のコスト負担もありません

 

印紙税を節約できる

紙の契約書には収入印紙の貼り付けが必要な場合があります。
契約の件数が多い場合、印紙税は決して無視できないコストです。一方で、電子契約書の場合、印紙税はかかりません
印紙税の対象は、「紙媒体の文書」に限定されています。
電子データである電子契約書は、印紙税の対象から除外されるのです。

 

スペース化につながる

契約書は税法によって7年間の保管が義務付けられています。
紙の契約書をオフィスで保管する場合、大量の契約書を保管しておくスペースを確保しなければなりません。
一方、電子契約書は自社サーバーやサービス提供元のサーバー、クラウドといった記憶領域に保管するため、物理的な保管スペースは必要ありません。
このことから、オフィスの省スペース化を実現できます

 

業務効率が向上する

紙の契約書を取引先や取引時期に応じて分類しておくのは手間がかかる作業です。
また、探している契約書を保管スペースから見つけるのも時間がかかります。電子契約書はデータで管理するため、非常に効率的です。
テキスト検索で任意の契約書をすぐに見つけ出せます。

 

セキュリティ面で信頼できる

紙の契約書は紛失のリスクが常につきまといます。
また、内部の人間が意図的に盗み出す可能性も否定できません。
オフィスの火災などにより消失してしまうケースもあります。
電子契約書はクラウド上に保管しておくことでこうしたリスクを回避できます
アクセス権限を設けておけば、許可されていない人間がデータを持ち出すことはできません。

社外でデータを管理するため、オフィスに火災などがあってもデータが消失してしまうことはありません。

電子契約書のデメリット

電子契約書には以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。

 

適用できない契約がある

契約によっては紙の契約書を発行しなければ有効にならないケースがあります。以下のような契約が代表例です。
 

  • 定期借地契約
  • 定期借家契約
  • 宅建業者の媒介契約書
  • 不動産売買の重要事項証明書
  •  
    上記の契約内容で電子契約書を作成しても、有効性は認められません。

     

    導入にコストと手間がかかる

    電子契約書を導入するためには、専用のサービスを利用するのが一般的です。
    サービスを利用するためには、料金を支払う必要があります
    月額制や従量課金制の料金プランが一般的です。

    また、電子契約書の導入に際して取引のフローを見直さなければなりません
    担当社員にシステムの操作を教育する必要があります。
    電子契約書が定着するまでは、ある程度の時間がかかるでしょう。
     

    電子署名で業務効率化を目指しましょう

    ※外部サイトへ移動します。

     

    取引先の理解を得る必要がある

    契約相手がいる以上、自社だけの決断で電子契約書に完全移行することはできません
    電子契約書は効率的な取引を実現しますが、取引先によっては紙での契約に固執する場合もあります。
    取引先に電子契約書の利用に応じてもらうことは、簡単ではありません。

    電子契約書の有効性を担保する法案

    電子契約書は以下のような法律によって有効性が担保されています。

    電子帳簿保存法

    電子帳簿保存法は帳簿・国税関係書類の電子データ保存を認め、ルールを定めた法律です。
    1998年に制定されて以降、時代に合わせて繰り返し改正が行われています。契約書の電子化で求められる要件は以下のとおりです。

     

    内容が分かる状態であること

    内容を肉眼で確認できることが求められます。
    画像が粗く、文字が読めないような場合は電子契約書として認められません。

     

    紙出力での保存は不可

    2022年施行の改正電子帳簿保存法では、受け取った電子データの書類を紙に出力することは認められなくなりました
    電子データの書類は、電子データのまま保管しなければなりません。

     

    一定期間の保管義務

    紙の書類と同様、一定の期間保管しなければならない電子書類があります。

     

    タイムスタンプ

    電子契約書の安全性を示すためには、作成された日時とそれ以降改ざんされていないことを示すタイムスタンプの付与が必要です。
    訂正や削除のログを確認できるシステムや、訂正・削除が技術的に困難なシステムを利用する場合は、例外的にタイムスタンプは不要です。

     

    マニュアルの整備

    契約書の電子化にともない、運用規定やマニュアルを整備することが求められています。

     

    検索機能

    電子契約書を保管するシステムは、取引年月日、取引金額、取引先等による基本的な検索機能を搭載したものでなければなりません。
     

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    電子署名法

    電子署名法は、電子署名に関して作成の方法やルールについて定めた法律です。
    この法律があることにより、電子署名が記載された電子契約書は、押印された紙の契約書と同等の法的効力を有していると見なされます。

    e-文書法

    e-文書法は、紙の書類をスキャンし、データとして保管することを認める法律です。
    契約書のスキャンデータ保存についても規定されています。
    契約書のほか、他の国税関連書類や病院のカルテ、設計図面などのデータ化もこの法律によって認められています。
     
    単にスキャンしただけでは法的な効果がないため注意が必要です。
    法的に認められるためには、電子署名やタイムスタンプなどが必要になります。

    電子契約書導入の流れ

    電子契約書を顧客との取引で利用したい場合は、以下のような流れで導入を勧めましょう。

    法務部への説明

    法務部は契約書の管理を担当する部署です。
    担当者のオペレーションに直接関わってくるため、電子契約書導入によるメリット・デメリットについて十分に説明し、理解を得るようにしましょう。
    特に、法的効力がある点については正確に説明しておく必要があります。

    業務フローとのすり合わせ

    既存の業務フローに問題なく電子契約書を導入できるか確認しておきましょう。
    業務によっては、フローの変更が求められる場合もあります。
    電子契約書の導入が難しい業務がある場合は、紙の契約書との併用も検討してください。

    取引先への周知

    関係しているのが自社だけではないため、取引先やパートナー会社への周知は必須です。
    相手によっては、電子契約書を法的な効力を懸念していることも考えられます。
    安全性や信頼性についてはしっかりと情報共有してください。

    システムの選定

    多数の電子契約システムが提供されているため、それぞれの費用や機能を比較したうえで自社に合ったものを選びましょう。
     
    システムの選定にあたっては、契約書のやり取りでどんな課題があるのか把握することが大切です。
    課題が明確になっていない場合、必要な機能が搭載されていないシステムや、オーバースペックで高コストなシステムを導入してしまうことが考えられます。

    まとめ

    メリットとデメリットの双方を理解したうえで適切に電子契約書を利用すれば、取引先や顧客との契約が効率的になります。
    今後は、紙の契約書に代わって電子契約書が普及していく見込みです。

     

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