業務効率化やリモートワーク環境の構築を目的に、「ファイルサーバー」の導入を検討する企業が増えています。
ファイルサーバーにはオンプレミス型やクラウド型、NASなどの種類があり、それぞれ特性が異なります。
今回は、ファイルサーバーの基礎知識を徹底解説します。
ファイルサーバーとは?
ファイルサーバーとは、ネットワークを介して複数人でのデータ管理・共有が可能になるネットワークサーバーのことです。
主にオンプレミス型とクラウド型、NASの3種類があり、それぞれ仕組みや導入メリット・デメリットが異なります。
ユーザーは、Webや社内ネットワークを通じてファイルの保存・閲覧・共有が可能になるため、ビジネスにおいては業務効率化が期待できるでしょう。
ファイルサーバーの仕組み
ファイルサーバーは、WindowsなどのOSのファイル共有機能を活用しています。
具体的な仕組みは、後述するオンプレミス型のファイルサーバー、クラウド型のファイルサーバー、NASごとに異なります。
サーバーの種類や構築方法により、その仕組みが大きく変わるのです。
たとえば、オンプレミス型のファイルサーバーは、社内ネットワークをはじめとするローカル・ネットワーク上に設置するのが一般的です。
一方、クラウド型のファイルサーバーは、クラウドサービス上に設置します。
厳密にはSaaS(Software as a Service)やPaaS (Platform as a Service)、IaaS (Infrastructure as a Service)で構築します。
このように、用途や利用方法が同じであっても、サーバーの種類ごとに仕組みが違います。
ファイルサーバー導入による業務改善効果とは?
ファイルサーバーの導入による業務改善効果は、次の通りです。
- ファイルの一元管理・共有が容易になる
- アクセス権限付与などセキュリティ機能が充実している
- ストレージ容量の拡張が容易
- 自動バックアップ機能を備えている
最大のポイントは、業務に必要なファイルの一元管理・共有が容易になることです。
サーバーを設置することで、ネットワークに接続された複数のデバイスからファイルへのアクセスが可能になります。
その都度、USBメモリなどにファイルを保存して共有するよりも、遙かに効率的です。
さらに、大量のデータをひとつのサーバーに集約することで、ファイルの整理・検索が容易になります。
必要なファイルを欲しいときに取り出せる、データライブラリのような役割を果たすでしょう。
また、業務用途であれば、不正アクセスなどを防ぐセキュリティ対策が欠せません。
ファイルサーバーは原則、ファイルごとにアクセス権限を設定できます。
サーバーで許可されたユーザーのみアクセスできるため、情報そのものの安全性が向上するのです。
さらにセキュリティアップデートやパッチ適用、アクセス権限の見直しを定期的に行うことで、ファイルサーバー上でのセキュアな通信環境を維持できます。
このほか、必要に応じてストレージを拡張できたり、アップロードファイルの自動バックアップ機能を備えていたりと、業務効率化を後押しする
これらの業務改善効果を期待するには、自社に最適なサーバー選びや、専任人材により保守・管理が重要です。
ファイルサーバーの種類とメリット・デメリット
PCサーバーを用いる場合、オンプレミス型とクラウド型、いずれかを選びます。
ここでは、各種類の特徴と導入するメリット・デメリットを解説します。
オンプレミス型のファイルサーバーとは?
オンプレミスとは、ハードウェアや専用回線、その他の関連機器を社内に設置し、サーバーやシステムを管理・運用することをいいます。
社内ネットワーク上に存在する、プライベートなファイルサーバーと考えればわかりやすいでしょう。
オンプレミス型のファイルサーバーの構築には、サーバー機器やネットワーク機器、サーバー用OS、データを保管するバックアップソフトウェアなどが必要です。
社内ファイルサーバーの構築には専門知識が必要であるため、難しい場合は専門業者に依頼するのがおすすめです。
なお、クラウドコンピューティングが普及する2010年頃まで、ファイルサーバーはオンプレミス型しかありませんでした。
当時は「自社運用ファイルサーバー」と呼ばれることが多く、後に登場したクラウド型と区別するため、オンプレミスという用語が使われるようになりました。
メリット
最大のメリットは、社内あるいは拠点間においてセキュアなデータ通信を可能にすることです。
基本的にオンプレミス型のファイルサーバーは、Webと繋がっていない「クローズドネットワーク(閉域網)」に存在します。
そのため、第三者による不正アクセスやマルウェア・スパイウェアの被害を受けにくく、機密情報のやりとりや保管に最適です。
また、オンプレミスは拡張性が高く、社内業務に最適化したサーバーを構築できます。
セキュリティ品質や運用管理の自由度を重視するなら、オンプレミス型のファイルサーバーを構築するのがおすすめです。
デメリット
オンプレミス型のファイルサーバーは、導入コストが高いことで知られます。
サーバー機器・ネットワーク機器・専用回線の設置、セットアップ、社内への周知に加え、サーバーを管理する専任人材も必要です。
デメリットはないものの、コスト面の負担が大きいため、予算や事業規模に応じて選択することが大切です。
クラウド型のファイルサーバーとは?
クラウド型は、クラウド上に構築されたサーバーやシステムの総称です。
ストレージ系のクラウドサービスを利用するのが一般的で、インターネット環境さえあれば場所・端末を問わず、ファイルにアクセスできます。
オンプレミス型とは違い、サーバー管理はクラウドサービスの事業者が行います。
企業側はあくまでもユーザーであり、メンテナンスなどは基本的に不要です。
自社内にサーバー機器や専用回線を設置したり、専任人材によって運用させたりする必要がないのは、クラウド型ファイルサーバーの大きな魅力といえるでしょう。
メリット
クラウド型ファイルサーバーには、導入コストの低さ、利便性の高さ、柔軟な拡張性、BCP対策(事業継続計画)への適性、自動バックアップ機能の活用といったさまざまなメリットがあります。
オンプレミス型に比べ、導入ハードルが低く、費用対効果が高いといえるでしょう。
とりわけ近年は、リモートワークが定着したことで、ファイル共有が容易なクラウド型ファイルサーバーの利用者が増えています。
サービスによるものの、高品質のセキュリティ対策、災害対策が講じられたデータセンターなど、緊急時の備えも充実しています。
デメリット
クラウド型ファイルサーバーには、ネットワーク回線が必須になること、従量課金制による将来的なコスト増加などのデメリットがあります。
また、クラウド型ファイルサーバーのセキュリティ品質は、サービス提供事業者に依存します。
万全のセキュリティ対策および災害対策を講じているものの、自社コントロールできないのは、注意すべきポイントでしょう。
NASとは?
NAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)とは、データの保存・共有が行えるファイルサーバーの一種です。
NASの導入により、複数のユーザーが同時にデータを操作できます。
特徴はクラウド型ファイルサーバーと類似しますが、NASは原則、自社内に設置したハードウェアなどを利用して構築します。
クラウド型ファイルサーバーとは違い、セキュリティ品質を自社でコントロールできたり、より高度な機能を実装できたりするのが特徴です。
NASのメリット
NASの導入メリットは、次の通りです。
- 複数のデバイスで同時に利用可能
- 複数のユーザーでストレージ容量をシェアできる
- ファイルやフォルダ単位でアクセス権限を設定できる
- コスト効率が高い
- 自動バックアップ機能がある
特筆すべきは、クラウド型ファイルサーバーと比較した際のコスト効率です。
クラウドサービスの多くは従量課金制を採用しており、ストレージ容量に応じて月々の使用料金を支払います。
一方のNASは、HDD・SSDを追加するだけでストレージ容量を増やせるため、クラウドサービスのように月額料金が発生しないのです。
このほか、NASにアクセスできるユーザー同士でストレージをシェアできたり、自動バックアップなどのデータ保護機能が充実していたりと、さまざまなメリットがあります。
NASのデメリット
NASには、以下のデメリットがあります。
- 導入ハードルがやや高い
- 出先ではデータの転送速度が遅くなりやすい
- アクセス制限を受けることがある
NASは比較的カスタマイズ性の高いストレージですが、その分だけ導入・設定の難易度が高くなります。
自社に導入する場合、ITエンジニアなどの選任人材を配置するか、専門業者に依頼しましょう。
また、NAS最大のデメリットとして、出先でのデータ転送速度の遅さが挙げられます。
元より社内ネットワークでの使用を想定して作られているため、Web経由でアクセスすると転送速度が落ちやすいのです。
ただし、近年登場したNASはリモートアクセス機能を備えているため、出先からのアクセス時に、極端に転送速度が落ちることはありません。
ファイルサーバーの選び方のポイント
ここでは、ファイルサーバーを導入する際にチェックしたい3つのポイントを解説します。
ポイント1.ストレージ容量
使用頻度やユーザー数に応じて、ストレージ容量が適切か確認します。
たとえば、一部のクラウド型ファイルサーバーは、サブスクリプション形式の料金形態で、ストレージ容量無制限かつ大容量ファイルの高速転送が可能です。
従量課金制のサービスに比べると、費用対効果が高く感じられるでしょう。
しかし、使用頻度が低かったり、ユーザー数が少なかったりすると、結果的に割高となります。
実業務で使用するストレージ容量をシミュレーションし、自社に最適なファイルサーバーを選ぶことが大切です。
ポイント2.カスタマイズ性
サーバーをカスタマイズし、業務に最適化させられるものを選びましょう。
カスタマイズ性重視であれば、オンプレミス型ファイルサーバーやNASがおすすめします。
クラウド型ファイルサーバーも利便性やコストパフォーマンスに優れますが、カスタマイズの自由度は低くなります。
ポイント3.対応OSとセキュリティ機能
ファイルサーバーのOSは、Windows系やLinux系(UNIX)に大別されます。
Windows系はUIがわかりやすく、使い慣れているユーザーも多いため、サーバーの管理・保守が容易です。
非エンジニアをIT担当者にしても任せられる、導入・運用ハードルの低さが魅力といえます。
一方のLinux系は、操作難易度が高い反面、セキュリティ機能が充実しています。
業務用途に最適ですが、ITエンジニアなどの専任人材が欠かせません。
ファイルサーバー導入時は、OSと専任人材の能力を加味して選びましょう。
まとめ
ファイルサーバーには複数の種類があり、事業規模やユーザー数、業務内容に応じて選ぶことが大切です。
業務効率化、そして「働き方改革」にともなうリモートワーク環境の整備に欠かせないため、積極的に検討しましょう。
これからファイルサーバーを設置するなら、「スターティア」にお任せください。
高度かつセキュアなネットワーク環境の構築、ファイルサーバーの設置・運用まで、ノンストップでサポートいたします。
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一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
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労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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