企業のIT化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、ITツールを使いこなすにはパソコンが必要不可欠です。
しかし、中小企業の場合、従業員全員にパソコンを支給するにはまとまった資金が必要となるため、諦めてしまうケースも少なくありません。
その解決策として国が提供しているのが、「IT導入補助金」です。
今回は、IT導入補助金の詳細やパソコン購入への活用方法について詳しく解説します。具体的な申請手順にも触れますので、企業の担当者さまはぜひ参考にしてください。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費の一部を助成する制度です。
経済産業省の中小企業庁が管轄しています。
この制度の目的は、中小企業や小規模事業者におけるIT化やDXの推進をサポートし、業務効率化や売上アップを実現することです。
なお、IT導入補助金の対象となるITツールは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたものに限られます。
パソコンの購入費用は補助対象に含まれる?
従来、IT導入補助金の対象となるのはソフトウェアが中心でした。
しかし、2022年度からは「デジタル化基盤導入類型」という新たな枠が設けられ、パソコンやタブレットなどのハードウェアにかかる購入費用も補助対象となりました。
これにより、コストを抑えてIT化を推進しやすくなっており、中小企業や小規模事業者の事業拡大に貢献しています。
ただし、パソコンの購入だけで補助金を申請できるわけではありません。
ソフトウェアとセットで購入する必要があります。
具体的には、会計ソフトや決済ソフト、顧客管理システムなど、業務効率化や売上アップにつながるソフトウェアの導入が必要です。
IT導入補助金の申請枠とは?
IT導入補助金の申請枠とは、補助金額や適用範囲に応じて制度を区分したものです。
2023年時点では、IT導入補助金には4つの申請枠が設けられています。
こちらでは、それぞれの特徴を解説します。
通常枠(A・B類型)
通常枠は、もっともベーシックな補助金の申請枠です。
さまざまな業種・組織形態に対応しており、自社の課題にあったITツールが導入できます。
通常枠では、労働生産性の向上や売上のアップに資するITツールを導入する際、費用の1/2、最大450万円を補助してもらえます。
具体的には、ソフトウェア購入費やクラウド利用費(最大2年分)、導入関連費などが対象です。
パソコンをはじめとしたハードウェアの購入費用は対象外のため注意しましょう。
セキュリティ対策推進枠
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの利用料(最大2年分)が対象となっています。
具体的には、サービス利用料の1/2以内、最大100万円を補助してもらえます。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは、中小企業のセキュリティ対策をワンパッケージで提供するサービスです。
IT導入補助金とセットで活用することで、効率良く自社のセキュリティを強化できます。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠は、デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型の2つに分かれます。
まず、デジタル化基盤導入類型は、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの購入や利用(最大2年分)にかかる経費の一部を補助してもらえる制度です。
具体的な補助率は、かかった金額に応じて3/4もしくは2/3以内、補助金額は最大350万円となっています。
また、デジタル化基盤導入類型は、パソコンやタブレットなどのハードウェアに関する購入費用も補助対象である点が特徴です。
補助率は1/2以内、補助金額の上限は10万円となっています。
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
複数社連携IT導入類型は、複数の中小企業や小規模事業者が連携してITツールを導入する際にかかる費用の一部を補助する仕組みです。
キャッシュレス決済や電子地域通貨の導入などに活用されており、地域DXの実現や生産性の向上に寄与しています。
複数社連携IT導入類型の対象経費には、ソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)、ハードウェアの購入費などがあります。
補助率や補助金額は、基本的にデジタル化基盤導入類型と同様に設定されています。
「IT導入補助金2023」の概要と申請手順
IT導入補助金を申請する際は、どのような手順で進めると良いのでしょうか。
こちらでは、令和5年度のIT導入補助金を「IT導入補助金2023」として、その概要と申請手順を解説します。
対象者
IT導入補助金2023の対象者は、中小企業や小規模事業者(個人事業主を含む)です。
建設業や卸売業、小売業など、幅広い業種で補助を受けられます。
また、IT導入補助金2023の申請を行うには、業種ごとに定められた資本金もしくは従業員の要件も満たす必要があります。
たとえば、製造業・建設業・運輸業では、「資本金3億円以下」または「従業員300人以下」の要件を満たした場合のみ申請が可能です。
資本金額や従業員数は業種ごとに異なるため、申請前に必ずチェックしておきましょう。
申請方法
実際にIT導入補助金2023の申請を行う場合は、まず事前準備としてIT導入支援事業者とITツールの選定を行いましょう。
IT導入補助金を利用するには、登録を受けたIT導入支援事業者からツールを購入する必要があります。
非登録事業者から購入した場合は、補助金を受け取れないため注意しましょう。
次に、「gBizIDプライムアカウント」の取得と「SECURITY ACTION」の宣言を行います。
gBizIDプライムアカウントは、法人代表者や個人事業主が補助金の申請などを行う際に使用するアカウントです。
アカウントの申請から発行までには2〜3週間かかるため、早めの手続きをおすすめします。
また、SECURITY ACTIONは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組む旨を自ら宣言する制度です。IPAが定めています。
2つの手続きを終えたら、「みらデジ経営チェック」を行いましょう。
こちらは、同業他社と比較することで、自社の経営課題やデジタル化への取り組み状況を可視化するツールです。
利用にはgBizIDプライムアカウントが必要となります。
ここまでの事前準備を完了すると、IT導入補助金2023の交付申請を行えるようになります。
IT導入支援事業者と協力のもと、事業計画を策定し、交付申請を行いましょう。
手続きはすべてインターネット上で行えます。
最後に、事務局から交付決定の通知が届いたら、実際にITツールを発注し、契約・支払いを済ませます。
その旨を事務局へ連絡すると、補助金が交付されるため確認しましょう。
交付決定の通知が届く前に発注を行うと、補助金を受け取れなくなるため注意が必要です。
補助金額と補助率
補助金の上限額や補助率は申請枠によって異なります。
たとえば通常枠の場合、補助上限額は450万円で、補助率は1/2以内です。
IT導入補助金2023の申請を行う際は、事前にどの枠で申し込むかを検討し、補助金額と補助率を確認しましょう。
対象のITツール
IT導入補助金2023では、基本的に会計ソフトや決済ソフトなどのソフトウェアが対象です。
IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールでなくてはなりません。
IT導入補助金でパソコンを購入する際の注意点
先に説明した通り、2022年以降はパソコンの購入でも補助金を受け取れるようになりました。
こちらでは、パソコンの購入にIT導入補助金を活用する際の注意点を解説します。
パソコンのみの購入は不可
IT導入補助金は、パソコンの購入だけでは申請できません。
会計ソフトや決済ソフトなどのソフトウェアと一緒に購入する必要があります。
これは、IT導入補助金の目的が、業務効率化や売上アップに必要なITツールの導入支援にあるためです。
「デジタル化基盤導入枠」への申請が必要
パソコンの購入でIT導入補助金を利用するには、デジタル化基盤導入枠への申請が必要です。
通常枠やセキュリティ対策推進枠では、ハードウェアの購入費用を対象経費としていないため注意しましょう。
補助上限額と補助率の確認
IT導入補助金を使ってパソコンを購入する場合、補助上限額は10万円で、補助率は1/2以内と定められています。
ただし、補助上限額や補助率はあくまで最大値であるため、申請内容や審査結果によっては満額が交付されない可能性もあります。
補助金だけに頼らず、自己負担額もある程度考慮に入れたうえで購入計画を立てることが大切です。
なお、パソコン購入以外には、タブレットやスキャナーなどの購入費用も補助対象となっています。
ほかにパソコン購入費用が補助される制度はある?
IT導入補助金以外にも、パソコン購入費用を補助してもらえる制度はあります。
たとえば、東京都が実施している「テレワーク促進助成金(令和5年度)」は、在宅勤務に必要な機器やソフトウェアの整備にかかる経費が対象の助成金制度です。
事業所の規模に応じて助成限度額や助成率が変動するものの、パソコン購入費にも活用できます。
パソコンのセットアップはスターティアにご依頼ください
補助金で購入したパソコンのセットアップにお困りの場合は、スターティアの「パソコンセットアップ ビジ助プラン」をご利用ください。
こちらは、パソコンの購入時に発生するさまざまな作業を、プロの担当者に一括でお任せいただけるプランです。
具体的には、アプリケーションの設定や旧端末からのデータ移行、メールの初期設定などが対象となっています。
煩雑な作業をすべてスターティアに任せることで、新しいパソコンを速やかに業務に投入でき、業務効率の低下を防止できます。
ビジ助会員さまであれば、IT導入補助金を使って購入したパソコンのセットアップにも対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、IT導入補助金の概要やパソコン購入に活用する方法などについてお伝えしました。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がデジタル化を進めるうえで重要な支援制度です。
申請枠は限定されるものの、パソコン購入にも利用できるため、今回の記事を参考に正しい申請方法を理解し、業務効率化や売上アップを実現しましょう。
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【著者・監修者企業】
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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