オフィス用の電話にはさまざまな種類があります。
ビジネスフォン、PBX、クラウドPBX、IP-PBXといった種類やそれぞれの仕組みについてご存知でしょうか。
自社のオフィスに最適な電話環境を構築するため、これらの違いについて知っておきましょう。
PBXとは
PBXは「Private Branch eXchanger」の略であり、日本語では「電話交換機」と訳されます。
ビジネスフォンの主要機能は、すべてPBXによって実現されています。
PBXの仕組み
PBXは固定電話回線網を利用しています。
このことから、導入の際には配線のための工事が不可欠です。
限られた施設内で小規模な通話網を作り、通常の電話網との接続や同じ拠点内での無料の内線通話を可能にします。
PBXのメリット
PBXがある場合、同じフロアの電話機間の通話であれば電話局を介する必要がありません。
このことから、通話料を削減することができます。
社内で頻繁に電話でのコミュニケーションをとる場合は大きなメリットです。
また、PBXがあれば限られた回線数を複数の従業員で使い回すことができます。
例として、電話を使う社員が10人いるからといって、10回線契約する必要はありません。
PBXは同時接続する回線数を契約することで使い回せるため、基本料金のコスト削減が可能になります。
従来のビジネスフォンとの違い
PBXが普及する前にオフィス用の電話設備として普及していたのが、主装置を利用するビジネスフォンです。
従来のビジネスフォンは、内線で接続できる範囲が限られており、基本的には同一拠点内の同じフロアでしか利用できませんでした。
一方で、PBXは別のフロアでも内線通話ができるほか、別の拠点も内線でつなぐことができます。
また、接続できる電話機の台数も、以前のビジネスフォンは数百台までだったのに対し、PBXは数千台接続可能です。
システムの安定性にも違いがあります。
主装置は通常1つのCPUで稼働しているため、負荷やトラブルによってダウンしてしまうケースは少なくありません。
一方、PBXは主装置よりも高性能なCPUを2重化で実装しており、稼働が安定しています。
このことから、主装置を使用したビジネスフォンはレガシーになりつつあります。
現在、「ビジネスフォン」といえば、PBXを採用したシステムを指すことが一般的です。
クラウドPBXとは
クラウドPBXは従来のPBXとは異なり、インターネット回線を利用するPBXです。
PBXの機能をそのままクラウド上のサーバーに移行した形態と言えます。
クラウドPBXの仕組み
クラウドPBXでは、インターネットを介して通信を行い、クラウド上のサーバーで内線・外線を管理します。
一般的な据え置きのビジネスフォンとは異なり、無線でも利用可能です。
スマホやPCからでも外線・内線での通話が行うことができます。
導入は、一般的にアプリのインストール、アダプターの設置という2ステップで完了します。
クラウドとは
クラウドとは、インターネット経由で外部にあるサーバーやシステムを利用することです。
従来は、自社の施設内で物理的にハードウェアやソフトウェアを管理するしかありませんでした。
しかし、現在はインターネット回線の速度・安定性の向上により、外部にあるサーバーやシステムをストレスなく利用できるようになっています。
こうした運用方法の進化により、以前の施設内に機器を設置する運用方法は「オンプレミス」として区別されるようになりました。
高額な費用をかけて機器を導入する必要がないため、初期コストを大幅に軽減できるのがクラウドのメリットです。
また、外部事業者のサーバー・システムをインターネット経由で利用するため、ユーザー側が運用・管理を行う必要がありません。
このことから、導入後の手間もオンプレミスに対して大幅に削減されます。
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXには以下のようなメリットがあります。
- 外出先から内線を利用しても料金がかからない
- オフィス外から会社の番号で発着信できる
- 会社にかかってきた電話をオフィス外にいる担当者に転送できる
- 自社に設置するPBXと比較して導入コスト・通話料を大幅に削減できる
- 自社にPBXを設置しないため、メンテナンスや修理の費用を負担する必要がない
- クラウドサービス上で回線数・端末数の設定変更が可能
モバイル端末から利用できる点は、ビジネスでもスマホが普及している現在、大きなメリットと言えるでしょう。
また、近年はテレワークが一般的になっている影響により、オフィス外でスマホからクラウドPBXを利用するケースが増えています。
クラウドPBXのデメリット
クラウドPBXには以下のようなデメリットがあるため、導入の際は注意が必要です。
- 事業者によっては音質が悪い
- 利用できる電話番号に制限がある
- 事業者によってはサポートが充実していない
- サービスによってはクラウドPBX移行前の電話番号を引き継げない
- ランニングコストがかかる
IP-PBXとは
IP-PBXは、クラウドPBXと同じようにインターネット経由で利用するPBXです。
クラウドPBXとの違いは、PBXの主装置を自社内に設置・管理する点にあります。「IP」は、「Internet Protocol」の略であり、インターネットを利用するうえでの決まりごとのことです。
IP-PBXでは、VoIPという、音声のやり取りが可能な技術が活用されます。
IP-PBXの仕組み
IP-PBXは、ハードウェア型とソフトウェア型の2種に分類されます。
ハードウェア型は、専用の主装置を設置する形態のことです。
自社で機器とネットワークを管理するため、セキュリティや運用の面で安定感があります。
ソフトウェア型は、自社に設置しているサーバーにIP-PBX用のソフトウェアをインストールする形態のことです。
オフィス移転の際にも柔軟に対応できる点がメリットです。
また機能の拡張にも柔軟に対応できます。
どちらも、機能面ではクラウドPBXとほとんど変わらず、同様の使用感でビジネスフォンを利用することが可能です。
IP-PBXのメリット
IP-PBXには、以下のようなメリットがあります。
- スマホやPCなど、電話機以外の端末で利用できる
- 自社でPBXを運用していくため、クラウドPBXのような月額費用がかからない
- PCで簡単に設定変更ができる
上記のとおり使用感は、クラウドPBXとほとんど変わりません。
一方で、ランニングコストとして月額費用がかからない点は、クラウドPBXに対する大きな利点と言えるでしょう。
IP-PBXのデメリット
IP-PBXには以下のようなデメリットもあります。
- インターネット接続によっては通話音質が悪くなる
- 自社でサーバー・機器の運用を行わなければならない
- メンテナンスや修理費を自社で負担しなければならない
- 導入コストが高額になりやすい
多くのデメリットは、自社で機器の管理・運用を行わなければならない点に起因しています。
安定して稼働させるためには、専門の人材が必要になるケースもあるでしょう。
初期コストも大きさも導入のハードルとなっています。
IP電話をオフィス用に活用するケースもある
IP電話とは、インターネット回線による通信で音声をやり取りする電話のことです。
一般的には050から始まる電話番号で知られています。
IP電話の特徴は、加入電話と比較して通話料が安く設定されている点です。
このことから、電話で頻繁にやり取りするオフィスであれば、コスト削減につながるでしょう。
クラウドPBXは、サービスによってはIP電話の番号をそのまま利用することも可能です。
通話料の削減とPBXの利便性を両立できるサービスとして、今後はオフィスにおける電話の主流となっていくと考えられます。
ビジネスフォン・PBX・クラウドPBX・IP-PBXの違い
ビジネスフォン・PBX・クラウドPBX・IP-PBXの違いについておさらいしておきましょう。
ビジネスフォンとは、主装置によって1つの電話回線を複数の電話機で共有する仕組みのことです。
設置されているすべての電話機で内線・外線を利用できます。
同じ電話網で接続されている電話機間の内線通話は通話料が発生しません。
家庭用の電話機は1台に1回戦しか接続できないため、必要な電話機の台数分回線を契約する必要があり、コストが大きくなります。
ビジネスフォンを導入すれば、回線を共有することによりコストダウンが可能です。
PBXは内線・外線を管理するためのハードウェアのことです。
ビジネスフォンの主装置と同じ機能を持っていますが、主装置と比較して接続できる電話機の数が多い点が特徴です。
また、PCと接続できる点や拠点間を内線で接続できる点など、主装置にはない機能もあります。
クラウドPBXとIP-PBXはどちらも、インターネット経由でPBXを利用する仕組みです。
IP-PBXは自社に設置したPBXを利用し、クラウドPBXは専門事業者が提供するPBXのサービスをインターネットで利用します。
現在は、ビジネスフォンはPBXを利用したものが主流です。
また、自社に設置したPBXを社内ネットワークのみで利用する従来のPBXは少しずつ姿を消しており、多くの企業がIP-PBXやクラウドPBXに移行しています。
まとめ
PBX、およびクラウドPBX、IP-PBXは、電話のやり取りが多いオフィスでは欠かせないシステムです。
加入電話と比較すると、通話料が大幅に削減できるほか、スマホからの利用など利便性も向上します。
スターティアでは、長年の実績から様々な種類のビジネスフォンの導入サポートを実施しています。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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