ビジネスメールでは、読みやすく、わかりやすく書くことが求められます。
読みやすくする工夫にはさまざまなものが挙げられますが、代表的な例と言えるのが漢字とひらがなの使い分けです。
もし、これまで意識したことがない場合は、漢字とひらがなの使い分けについて考えてみてください。
この記事では、ビジネスメールにおける漢字とひらがなの使い分けについて解説します。
漢字の「開き」とは
漢字の開きとは、漢字がある言葉に対してあえて漢字を使わず、ひらがなで書くことを意味します。
漢字が多く使われた文章は知的に見えるかもしれません。
特に、ビジネスメールはフォーマルにしようとするあまり、漢字を多用しがちです。
しかし、漢字を使えば必ずしも読みやすくなるというわけではありません。
言葉によっては、漢字を使うことで逆に読みにくくなり、読み手にストレスを与えてしまうことがあります。
漢字の「開き」は、適宜漢字をひらがなで書くことで、文章を読みやすくするための工夫です。
ビジネスメールにおいても、適度に漢字を開くことが重要です。
ひらがなで書く漢字
漢字の開きは、すべての漢字をひらがなにすることではありません。
開く対象はある程度決まっています。以下の、「形式名詞」「副詞」「複合動詞」「補助動詞」については、ひらがなで書くことを意識してください。
形式名詞
修飾成分を伴って用いられ、実質的な意味を失っている名詞のことを「形式名詞」と呼びます。以下が代表例です。
- こと
- もの
- わけ
- はず
- うち
- ところ
- つもり
- ため
- ひと
- ほう
- とおり
副詞
副詞とは、動詞、形容詞といった名詞以外の品詞の語句を修飾する言葉のことです。
動詞や形容詞などは一般的に漢字で書かれることが多いため、副詞は開くことでバランスをとります。
以下は、開く副詞の代表例です。
- いっそう
- きわめて
- さらに
- しばらく
- ずいぶん
- すでに
- ぜひ
- たいへん
- たとえ
- たまに
- ときどき
副助詞
副助詞とは、語に添えることでさまざまな意味を追加する助詞のことです。
一部の副助詞には漢字がありますが、一般的にはひらがなが用いられます。
- ~くらい
- ~など
- ~ほど
- ~まで
複合動詞
複合動詞とは、2つ以上の動詞が複合してできた動詞です。
一般的に、2つの動詞が複合して1つの動詞を成します。
通常、どちらか一方の動詞は開きます。
- 走りだす
- とり入れる
補助動詞
補助動詞とは、動詞の後に続くことで補助的な意味を加える動詞のことです。
複合動詞との違いがわかりづらい動詞ですが、開きを意識するうえでは違いについて明確に理解する必要はありません。
- 来てください
- 考えてみる
- 続けていく
漢字を開くメリット
漢字を開くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的には、開きによって以下のようなメリットがあると言われています。
読みやすくなる
読みやすくなることは、開きによる代表的なメリットです。
漢字が多く使用された文章は、全体的に読みづらい印象を与えます。
もちろん、漢字で書くのが好ましい語句もありますが、すべての語句を漢字で表記するのが正しいというわけではありません。
文章を書き終えた後は、過度に漢字を使用して読みづらくなっていないか、確認してみてください。
やわらかい印象を与える
漢字とひらがなの割合によって文章の印象は大きく変わります。
ひらがなを意識して使うと、文章が全体的にカジュアルなテイストになるでしょう。
そのため、状況や読み手によって使い分けることが大切です。
例として、若年層や女性向けのメディアでは、やわらかい文体が求められます。
これは、読み手に親近感を持ってもらうためです。
意識してひらがなを使うようにすると、ユーザーの反応が良くなるケースがあります。
ビジネスメールは決してカジュアルな文体が正しいわけではありませんが、ある程度コミュニケーションをとってきた相手であれば、フランクにやり取りをしたい場合があるでしょう。
親近感を持ってもらいたい場合は、意識してひらがなを使ってみてはいかがでしょうか。
内閣が発表している漢字使用のガイドライン
漢字の使い分けや読みやすい文章作成を行ううえで参考になるのが、公用文です。
公用文における考え方や、内閣が発表しているガイドラインについて解説します。
公用文の考え方
公用文とは、国や公共団体から発表される文書や法令のことです。
企業や銀行が発行する文書を含むこともあります。どの公用文も「複数の人に向けて発信している」という点で共通しています。
公用文は重要な内容を通達する目的で発行されるため、誰にとってもわかりやすく書く必要があります。
1952年に「公用文作成の要領」が通達され、長い間公用文作成のガイドラインとして機能してきました。
しかし、現状にそぐわない点が目立つようになったため、2022年に最新の実態を反映した「公用文作成の考え方」が取りまとめられることになりました。
文化庁のホームページでは、「公用文作成の考え方」について以下のような内容が記載されています。
- 公用文と呼ばれる文書の範囲を整理・分類(法令は直接の対象としない。)
・公用文を「告示・通知等」「記録・公開資料等」「解説・広報等」に分類。
・国民に直接向けた広報などを中心に、読み手に合わせたわかりやすく親しみやすい書き表し方を積極的に認める。
- 社会状況及び言語環境の変化に対応
・横書きの読点は、「、(テン)」を用いることを原則とする。
・専門用語や外来語の扱いに関する考え方を提示。
(参照:文化審議会建議「公用文作成の考え方」について | 文化庁)
内閣が発表している「公⽤⽂における漢字使⽤等について」
上記のような公用文の考え方はあくまでフォーマルなものであり、すべてのシーンにおいてビジネス文書にそのまま応用できるとは限りません。
ただし、2010年に発表されている「公用文における漢字使用等について」という資料は、開きの判断にそのまま活用できます。
ビジネスメールなどを書く際は、参考資料としてぜひお役立てください。
(参照:公用文における漢字使用等について)
次のビジネスメールから意識したい代表的な使い分けの例
漢字で書く場合とひらがなで書く場合では意味合いが変わってくることも多く、無条件にひらがな表記が正しいとは言い切れません。
これは、日本語が難しいと言われる理由のひとつです。
しかし、特定の語句に対して使い分けを意識するだけでも、自分が意図する表現ができるようになっていくでしょう。
以下では、ビジネスメールで意識していただきたい代表的な漢字・ひらがなの使い分けの例を紹介します。
下さい・ください
ひらがなの「~ください」は、お願いの意味で使われるのが一般的です。
漢字の「~下さい」は、物やファイルなど、何かががほしいときに使われます。
行く・いく
ひらがなの「~いく」は、「成長していく」など動作・状態が継続するニュアンスを含みます。
対しては漢字の「行く」は、移動や到達の意味を含みます。
言う・いう
「言う」は、実際に言動として口にするニュアンスが含まれます。
対して、ひらがなの「いう」は「桜という花」など、説明のニュアンスが含まれる点に違いがあります。
使い分けが難しく、人によっても認識が異なりますが、判断に困る場合はひらがなにしておくと無難です。
見る・みる
漢字の「見る」には、漢字の意味のとおり目で視認するニュアンスが含まれます。
ひらがな「みる」には、結果がわからないけど実施する、英語でいうところの「try」のニュアンスが含まれます。
そのため、「作って見る」などとは記載しません。
事・こと
漢字の「事」には、「明確な事態」という意味が含まれます。
対して、ひらがなの「こと」は形容名詞として分類され、言葉そのものには意味がありません。
使い分けに迷った場合は、事態を指しているのかどうかに注目しましょう。
ビジネスメールにおける漢字とひらがなの使い分け
ここまでの内容を踏まえたうえで、ビジネスメールではどのような基準で漢字とひらがなを使い分けるべきなのでしょうか。
相手に与えたい印象によって意識を変える
相手に与えたい印象によってひらがな・漢字を使い分けることは、ビジネスメールを作成するうえでの常套手段と言えます。
例として、目上の方や年配の方にビジネスメールを送る場合は、少し漢字を多めにすることを意識すべきかもしれません。
対して、すでにたくさんコミュニケーションをとっている方や対面したことがある方に対して漢字ばかりのメールを送ると、他人行儀な印象を与えてしまうケースがあるでしょう。
ビジネスメールを書き終えた後は、読み返して相手にどんな印象を与えるのか検討してみてください。
相手に与えたい印象になっていない場合は、漢字の開きで調節しましょう。
読みやすい漢字とひらがなの比率とは
読みやすさを判断するうえで、漢字とひらがなの比率に注目してみることも重要です。
出版業界では、一般的に漢字:ひらがなの割合が3:7にすると好ましいと考えられています。
ビジネスメールのほか、ビジネス上においてテキストでやり取りする場合は、まずこの比率を意識してみてはいかがでしょうか。
もちろん、正確な割合を調べるのは時間がかかるため、読み返してみた際の印象で判断して問題ありません。
3割よりも漢字が多ければ少し堅い印象になり、反対に少なければカジュアルな印象になると考えましょう。
まとめ
読みやすいビジネスメールを書くうえで、漢字とひらがなの比率に気を配ることは大切です。
まずは、特定の語句の開きについて意識してみましょう。
開ける語句については積極的にひらがなで表記し、読みやすくするように工夫してください。
また、ひらがなで書くことだけではなく、相手に与えたい印象によって漢字も盛り込みましょう。
作成した後は必ず読み返し、どんな印象の文章になっているか確認する習慣をつけることが大切です。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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