「社会人基礎力」という言葉をご存知でしょうか?
その名のとおり、「社会人として求められる基本的な能力」といった意味の言葉です。
近年はさらに「長い人生を送っていくために必要な能力」として改められています。
企業でマネージメントを行っている場合は、社員の社会人基礎力を見直してみてはいかがでしょうか。
この記事では、社会人基礎力の概要、鍛え方などについて解説します。
社会人基礎力とは
社会人基礎力とは、現在のビジネスパーソンにとって重要視されている能力のひとつです。
経済産業者は社会人基礎力を「多様な人々と仕事をしていくうえで必要な基礎的な力」と定義しています。
元来は、企業と新卒の学生の間で「必要な能力」の認識に大きなギャップがあったことから、定義された概念です。
近年は、「人生100年時代」ともいわれ、人生のなかで個人が社会と関わっていく時間がさらに長くなっていく見込みです。
そうした流れのなか、経済産業者は新たに「人生100年時代の社会人基礎力」を打ち出しています。
かつては、社会人になろうとしている学生に必要な概念でしたが、現在は幅広い年齢層の社会人が知っておくべきコンセプトとして重要視されています。
社会人基礎力につながる能力
社会人基礎力は、以下の3要素から構成されると考えられています。
各要素から、さらに複数の能力に細分化可能です。
それぞれの要素について解説します。
アクション
アクションは「前に踏み出す力」として定義されている要素です。
社会人として活動していると、正解のない問題に直面することがあります。
また、失敗してしまうことも少なくありません。
こうした状況のなかでも、社会人には恐れずに挑戦していく姿勢が求められます。
アクションはさらに以下の3つの能力に細分化できます。
- 主体性:物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
- 実行力:目的を設定し確実に行動する力
シンキング
シンキングは、「疑問を持ち、考え抜く力」として定義されている要素です。
同じ作業をただ繰り返しているだけでは、個人や企業の成長は期待できません。
常に向上心を持って仕事に取り組み、問題点や改善点を見つけていくことが大切です。
シンキングに含まれる能力として、以下の3点が挙げられます。
- 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
- 創造力:新しい価値を生み出す力
- 計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
チームワーク
チームワークは「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」として定義されています。
1人のビジネスパーソンが実現できることには限界があります。
さまざまな人と幅広く協調・協働していくことが重要です。
一方で、仕事で関わる人が多くなるほど、求められるスキルも増えていきます。
チームワークの実現のためには、以下の能力を高めることが大切です。
- 発信力:自分の意見を分かりやすく伝える力
- 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
社会人基礎力の3つの視点
社会人基礎力の重要性は昨今にさらに増しています。
2018年に経済産業省によって打ち出された「人生100年時代の社会人基礎力」では、現在のビジネスニーズに対応するために、新しい3つの視点が追加されました。
ひと昔前は、まずたくさんのことを学び、学んだことを生かして働き、引退するというキャリア形成の流れが一般的でした。
視点1:学ぶ
しかし、現在は引退までに複数のキャリアを流動的に移動することも当たり前になっています。
働きながら次のキャリアに向けて学ぶ、という姿勢が大切です。
また、「何を学ぶか」ということを常に考え続けるために、「考え抜く力」が求められます。
そのため、「学ぶ」は社会人基礎力に必要なひとつの視点として位置づけられています。
視点2:統合
キャリアアップしていくためには、学んだこととこれまで得た能力や知識を組み合わせていくことが大切です。
また、1人では実現できないことを、さまざまな人の能力と自分の能力の組合せで達成していくことが求められます。
そのため、「統合」も重要な視点のひとつです。
視点3:目的
何をどのように学ぶかを決めるためには、目的を設定しておくことが大切です。
そのため、「目的」の視点は行動を決めていくために重要といえます。
また、目的を設定したうえで実際に行動することが重要なため、「前に踏み出す力」とも関連しているといえます。
社会人基礎力が求められている背景
現在は、ひとつのキャリアで安定した将来が約束される時代ではありません。
常にスキルを更新し、次のキャリアを見据えることが重要です。
一方で、限定的なスキルは変遷が激しい近年のビジネスにおいてレガシーになってしまいやすいことも事実です。
そんななか、社会人基礎力は「どんな時代も役立つ普遍的なスキル」として定義されました。
特定業務のノウハウや知識は時代によって使えなくなってしまうこともありますが、社会人基礎力があれば環境が変化しても活躍しやすくなります。
社会人基礎力を培う方法
社会人基礎力を培うための方法として、以下のようなものが挙げられます。
従業員の社会人基礎力を育成する方法として検討してください。
自己分析させる
効率的に社会人基礎力を高めるためには、その時点でビジネスパーソンとして足りていることと、不足していることを把握するのが大切です。
正確に自分を評価できてこそ、具体的に何を鍛えるべきなのかが見えてきます。
そのため、自己分析は社会人基礎力を高めるうえでの第一歩といえるでしょう。
自己分析の方法として、社会人基礎力診断があります。
就職支援サービス会社や研修のサービスを提供している会社の多くが、社会人基礎力を解析するサービスを実施しています。
Webのアンケートを入力する簡単なものから、レポートの提出を求める本格的なものまでさまざまです。
自社従業員の社会人基礎力の現状を把握したい場合は、利用を検討してください。
日常的に意識させる
従業員の社会人基礎力の現状を正確に把握した後は、長所を伸ばすことと、短所の改善に取り組むことになります。
基本的には、日常業務のなかで意識して行動するように指示します。
マネージャーは従業員の行動の様子を見ながら、適宜フィードバックしていくことが大切です。
「行動を考えること」も社会人基礎力のため、具体的な行動については従業員に任せることになります。
ただし、意識だけで具体的な行動が見られない場合は、「何をすべきなのか」明確に示すことも検討しましょう。
従業員の取り組みをサポートする
従業員の意識面だけでは、実際に社会人基礎力を向上させるのは難しい場合があります。
企業は、従業員が社会人基礎力を高めるためのサポートを徹底しなければなりません。
従業員が成長するための環境を整備する必要があります。
従業員の個性に応じた人事施策や、個々がコミュニケーションを取りやすい環境整備などが代表例です。
定期的に振り返りさせる
現状の能力に満足させないよう、定期的に振り返りさせることも求められます。
単にマネージャー層から学ぶべきことやキャリアプランを示すのではなく、従業員が自分で気づきを得られるように誘導することが大切です。
振り返りの際は、どんな能力を開発できているのか、だけではなく、十分に開発できていない能力についても気づかせるように意識しましょう。
また、単純になるべく多く振り返りの機会を設けることも重要です。
厚生労働省が提供している社会人基礎力のチェックシート
厚生労働省は「エンプロイアビリティチェックシート」という資料を提供しています。
「エンプロイアビリティチェックシート」は、回答者の就職基礎能力と社会人基礎力という2要素を確認できるチェックシートです。
客観的に従業員の能力を測れるため、人材評価ではぜひ活用していただきたいチェックシートです。
もともとは求職者が自身の能力を見直すために提供されているチェックシートですが、在職者の人材評価にも活用できます。
社会人基礎力は人生100年時代に身につけるべきことのひとつ
日本の長寿命化は著しく、2人に1人が100歳に到達する未来が現実的に訪れると考えられています。
これが、厚生労働省が提唱している「人生100年時代」の概要です。
特に日本は健康寿命が世界一であり、どのように活力を持っていくか、豊かに老後を生活していくためには何が必要なのか、考えることが急務となっています。
2006年に提唱されはじめた社会人基礎力は、あくまで「社会人になるうえで最低限これはないと困る」という要素でした。
しかし、2018年に見直された「人生100年時代の社会人基礎力」は、「長い社会と関わる期間のなかで活躍し続けるための能力」としてアップデートされています。
つまり、社会人基礎力は求職者だけではなく、在職者にも例外なく求められる能力といえます。
社内のあらゆるレイヤーの従業員に対し、社会人基礎力の見直し・向上を意識してもらうべきです。
(参考:WHO「Life expectancy and Healthy life expectancy Data by country」 ※2019年男女平均の数値)
まとめ
社会人基礎力の概要や、高め方について解説しました。
社会人としての人生で長く活躍するための能力であることから、「社員が自発的に学べばいい」と考える方が多いかもしれません。
しかし、現代において活躍するのは、ひとつのキャリアに執着する人材ではなく、貪欲にキャリアを求める人材です。
企業が成長していくためにも、社員の社会人基礎力の向上は不可欠です。
社会人基礎力の醸成をサポートすることで、社員との間にエンゲージが生まれることも期待できます。
いまいちど、社員の社会人基礎力を見直してみてはいかがでしょうか。
おすすめ資料ランキング
【著者・監修者企業】
弊社はパソコン周り、オフィス環境、法律の改正、コスト削減など、ビジネスに関わるお困りごとの解決策を提供する当サイト「ビジ助channel」を運営しています。
資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
関連SNS
- トータルサポート
-
-
- オフィス環境
-
-
- 目的別で探す
- ネットワーク環境
-
-
- 環境サービス
-
-
- 目的別で探す
- Webプロモーション
-
-
- 3Dソリューション
-
-