働き方の多様化が進むなか、より柔軟な業務遂行を実現するためにBYODの導入が求められています。
BYODによって企業全体の生産性向上につなげることも可能です。
今回は、BYODの基礎知識やメリット・デメリット、導入に際しての注意点など、さまざまな情報をご紹介します。
BYODの基礎知識
BYODとは「Bring Your Own Device」の略称です。
日本語では、「自分のデバイスを持ち込む」と訳されます。
一般的に、BYODは従業員が個人で所有するパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末を業務に活用することを指します。
在宅勤務やテレワークなどが普及するなかでは、会社所有の端末を社員へ貸与するよりも、BYODを導入したほうが、利便性が高くなるケースも見られます。
日本におけるBYODの導入・普及状況
2018年、総務省が行った「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」の「ICTの導入状況」によると、「BYODの許可」を行っている企業の割合は以下の結果となりました。
- 日本:10.5%
- アメリカ:23.3%
- イギリス:27.8%
- ドイツ:27.9%
上記のように、日本と諸外国のBYOD普及状況には差が見られます。日本のBYOD普及率は、決して高いものとはいえないでしょう。
【出典】総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(2.2.1 企業のICT導入状況)
BYODのメリット・デメリットとは?
BYODの導入には多くのメリットがあります。
一方、セキュリティリスクをはじめとするデメリットにも注意が必要です。
ここでは、BYODのメリット・デメリットを解説します。
メリット
生産性向上
社内で支給された端末を使用する場合、従業員によっては操作方法に慣れないことがあります。
BYODによって従業員が使い慣れたデバイスを活用できると、スムーズな操作が実現します。
これによって業務効率が高まることで、生産性向上につながると期待できるでしょう。
さらに、BYODでは、従業員が社用のデバイスを使用する場合に比べて、問題が発生した際に解決にかかる時間が短縮される点もメリットです。
社用端末でトラブルが生じた場合、従業員自身では解決方法がわからず、ヘルプデスクに頼ることもあるでしょう。
使い慣れたデバイスであれば、従業員自身が自己解決できる可能性が高まります。
コスト削減
BYODの導入は、企業にとってはコスト削減の手段となります。
社員のデバイスを企業が提供する場合、購入に費用がかかります。
BYODを導入する場合、多額のデバイス購入コストを削減し、デバイスの配布までにかかる初期投資を抑えられるでしょう。
また、社用端末を支給する場合は企業側でメンテナンスやサポートを実施する必要があります。
BYODを導入した場合、従業員が自らデバイスを管理します。企業側は、管理や保守に関連するコストを削減できるでしょう。
従業員満足度向上
BYODによって、従業員は自分の好みやニーズに合わせてデバイスを選択することができます。
このことは、働きやすさや仕事へのモチベーション向上につながることがあります。
結果として、従業員満足度向上が期待できる点もBYODのメリットです。
たとえば、BYODを導入することで、従業員は持ち運びやすいデバイスを選んで業務を行うことができます。
テレワークや在宅勤務などの柔軟な働き方にも対応しやすくなるでしょう。
場所や時間にとらわれず、より快適な環境で業務に取り組みやすくなれば、ワークライフバランスの向上につながります。
従業員それぞれの満足度が向上することは、企業全体の生産性向上にも寄与するでしょう。
デメリット
セキュリティリスク
BYODの導入には、セキュリティリスクがつきものです。
私物デバイスの使用により、情報漏洩やウイルス感染のリスクが高まります。
たとえば、個人のデバイスを業務に使用する際、従業員が不注意な操作を行ってしまうことで機密情報の漏洩が起こる可能性があります。
端末自体の紛失や盗難により、データが流出してしまうこともあるでしょう。
加えて、セキュリティ対策が不十分な個人のデバイスは、不正アクセスのターゲットになりやすくなります。
これにより、企業の業務データや個人情報などが漏洩する危険性があります。
また、従業員が自身のデバイスに不正なアプリケーションをインストールしてしまうと、企業のシステムにも深刻な脅威をもたらす可能性があります。
このようなセキュリティリスクがあることを考慮したうえで、しっかりとした対策を講じることが求められます。
管理負担
BYODの導入には、企業側のデバイス管理に関する負担が増加するという側面もあります。
たとえば、BYOD環境では従業員がさまざまなデバイスを持ち込むため、デバイスの種類やバージョンが多様化します。
多彩なデバイスに対応するための技術的な知識やリソースが必要となり、管理の複雑化が生じることもあるでしょう。
また、個人のデバイスを業務に使用する場合、セキュリティポリシーの統一が難しくなります。
異なるデバイスを使用する従業員に対して、統一されたセキュリティ対策を適用することが課題となります。
さらに、BYOD環境では従業員が自身のデバイスを持ち込むため、デバイスの紛失や盗難が発生する可能性が増加します。
企業側は、紛失や盗難に備えてデバイスの保護策を検討し、適切な対応を行う必要があります。
ただし、企業が従業員の個人的なデバイスを管理する際は、プライバシーに配慮することも重要です。
企業側のセキュリティ対策と従業員の個人情報保護との両立が求められます。
BYOD導入時のポイントとは?
BYOD導入を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
ここでは、BYOD導入時に気をつけたい注意点をご紹介します。
運用ルールの策定
BYODの導入時には、従業員がデバイスを適切に活用できるような運用ルールの策定が重要です。
運用ルールを明確に定めることでセキュリティリスクや混乱を最小限に抑えることも可能となります。
たとえば、BYOD環境では従業員が時間や場所にとらわれずに仕事しやすいのがメリットです。
ただし、これによって業務時間外労働が起こりやすい状況になっているといえます。
私用の端末を利用できる時間など、ルールを事前に定めておくことがおすすめです。
また、セキュリティリスクの観点から、私用デバイスで扱える業務範囲を制限しておく方法もあります。
社員への周知
BYODの導入に際しては、従業員への十分な周知と教育が欠かせません。
BYOD導入前に、メリットや注意点をわかりやすく説明しておきましょう。
従業員が自身のデバイスを使用することで得られる利点や、セキュリティ対策が必要な理由などを具体的に示すことで、理解を得やすくなります。
従業員に対してデバイスのセキュリティに関する重要性を強調し、個人情報や企業データの保護に対する意識を高めることも重要です。
業務で扱うデバイスには、適切なセキュリティ対策が必要であることを理解してもらいましょう。
また、従業員がBYODに対して疑問や不安を抱えている場合もあります。
定期的な説明会や個別相談の場を設けるなどの工夫で従業員の不安を解消し、円滑な導入を実現しましょう。
セキュリティ対策
BYODの導入時には、セキュリティ対策を徹底しましょう。
主な方法として、ウイルス対策ソフトの導入や悪質なWebサイトへのアクセス制限、業務データの保管や持ち出しルールの設定などが挙げられます。
また、MDMやCASBを活用したセキュリティ対策も重要です。
MDMやCASBとは?
MDMは「Mobile Device Management」のことで、「モバイルデバイス管理」とも訳されます。
スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスを管理するシステムのことを意味します。
MDMの活用により、デバイスの監視や制御、セキュリティポリシーに即した運用などが実現します。
たとえば、遠隔でデバイスをロックしたり、データをリモートワイプしたりすることで、デバイスの紛失や盗難に対応できます。
デバイスのセキュリティ設定を一元管理することで、セキュリティを強化することも可能です。
CASBは「Cloud Access Security Broker」の略称で、クラウドアプリケーションのセキュリティを強化するためのソリューションです。
BYOD環境ではクラウドサービスを利用することも増えるため、これらのサービスに対するセキュリティ対策が必要となります。
CASBは、クラウドサービスの利用を監視し、不正なアクセスやデータ漏洩の検知などを行えることが特徴です。
さらに、企業のデータがクラウドに保存される際には、データの暗号化やアクセス制御を行うことで安全性を確保します。
MDMとCASBの組み合わせにより、BYOD環境におけるセキュリティ対策を総合的に強化できるでしょう。
BYODの導入事例とは?
これまで、日本においてもさまざまな企業や団体がBYOD導入を実現してきました。こちらでは一部の導入事例をご紹介します。
大分県庁の事例
大分県庁のBYOD導入の背景には、働き方改革の促進を目指すとともに、業務の効率化を図るという狙いがありました。
導入に際しては、個人のデバイスを利用することに伴うセキュリティリスクに対処するため、MDMによって端末に適切な設定を行いました。
こうして導入開始したBYODによって、希望者の多かったリモートワークを実現できたそうです。
Intelの事例
Intelは、先進的なテクノロジー企業として、BYOD導入に積極的に取り組んでいます。
BYOD導入の主な目的は、従業員の生産性向上でした。
この事例の特徴は、従業員が自身のデバイスを選択できるようにしたことです。
業務効率がアップしたほか、時間を有効活用にできるようになり、生産性向上につなげることができました。
デンソーの事例
自動車部品メーカーであるデンソーは、BYOD導入による効果的なテレワークスタイルの実現を目指しました。
スマートフォンやタブレットの活用でテレワークの効率化はもちろん、オフィスにおけるフリーアドレスの実現や、ペーパーレス化につなげることもできました。
BYODの導入はスターティアがサポートします
BYODの導入および実践の相談などは、ぜひスターティアにお任せください。
たとえば、スターティアの「ビジ助 かんたんリモート」では、専用アプリケーションをインストールすることでリモートデスクトップが行えるようになります。
個人の端末から会社のネットワークにアクセスし、操作することが可能です。
また、強固なセキュリティ対策も実施しているため、安心してBYOD導入を推進することができます。
サポート体制も充実しているため、万が一のトラブル時にもすぐに対応します。
ほかにもさまざまなプランをご用意しているため、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
日本においてBYODの普及率はそれほど高くありませんが、今後も導入する企業や団体が増えていくことが予想されます。
生産性向上をはじめとするメリットを得られるよう、ぜひ導入を検討してみることがおすすめです。
その際は、セキュリティ面の対策などに気を配りましょう。
社内のBYOD導入を進めたいときは、ぜひスターティアの「ビジ助 かんたんリモート」をご利用ください。
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資格
一般建設業 東京都知事許可(電気通信工事業):(般-4)第148417号
古物商 東京都公安委員会許可(事務機器商):第304361804342号
労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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