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2024-03-01 18:32:03

2024年にサービス終了?ISDN回線廃止が企業に与える影響

2024年にサービス終了?ISDN回線廃止が企業に与える影響

インターネット黎明期と呼ばれる1990年代、NTTグループは世界で初めての総合デジタル通信網である「ISDN(別名:INSネット)」を実用化しました。
ADSL回線や光回線が存在しなかった当時、ISDNを社内で利用したり、基幹システムに取り入れたりする企業が多数あったのです。
およそ30年近くにわたって利用されたISDN回線ですが、2024年1月にデジタルモードが使えなくなりました。
今回は、ISDN回線の基礎知識やサービス終了を迎えた理由、その詳細について徹底解説します。

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ISDN回線とは?

ISDN回線とは?

ISDN(Integrated Services Digital Network)回線は、通話音声などをデジタル信号で伝送する通信方式の一種で、総合デジタル通信網と呼ばれます。
電話とFAXを同時に使用できることから、1990年代に急速に普及した通信方式です。
1つの回線で2つ以上の電話回線を使用できるため、企業においては23回線使用可能なサービスも使われていました。
ISDN回線は、音声信号をデジタル化して伝送するため、アナログ回線に比べて音声品質がよく、会話が聴き取りやすいのが特徴です。

また、音声をデジタル化して伝送するため、伝送路から電気信号を拾っても会話内容が分からず、ノイズとして聴こえます。
そのために、会話内容が漏れにくく、盗聴されにくいというメリットがあるのです。

一方、ISDN回線の通信速度は64kbpsと遅く、料金も高いため、近年は1~10Gbpsの高速通信が可能な光回線への移行が進んでいます。
なお、2024年1月にデータ通信向けの「デジタル通信モード」がサービス終了を迎えました。

ISD回線の種類と特徴

ISND回線は「INS64回線」と「INS1500回線」の2種類に大別されます。
それぞれの特徴や違いは、以下の通りです。

INS64回線

INS64回線は、NTTが提供するISDN回線の一種で、1回線で2つのBチャンネルを使用し、通話やFAX通信を同時に行えるサービスです。

INS64には「INSネット64」と「INSネット64・ライト」という2つのプランがあります。
INSネット64は施設設置負担金が必要なサービスで、INSネット64・ライトは施設設置負担金が不要です。
どちらのプランも通話モードとデジタル通信モードの2種類を利用できますが、デジタル通信モードは2024年1月から地域ごとに段階的に終了が予定されています。

また、INS64回線は企業で使われることが多いものの、二世帯住宅や店舗併用住宅において、1回線で複数の電話番号を利用する場合にも最適です。

INS1500回線

INS1500回線は、大容量のデータ通信に最適化されたISDN回線の一種です。
回線1本で加入電話23回線分に相当し、PBX(Private Branch Exchange)と組み合わせて使用されます。
自然災害などでネットワーク障害が発生した際も、電話業務を独立して続けられるため、現代においてもコールセンターシステムなどに活用されています。

INS1500回線は、銅線ではなく光ファイバーを使用したデジタル回線です。
INS64回線とは、使用する端末や同時可能通話数に違いがあり、INS64は2通話、INS1500は23通話が可能です。
そのため、多くの回線が必要なオフィスや病院、コールセンターなどで使われています。

ISDNとADSLとの違い

ISDN回線とADSL回線は、いずれもインターネット接続に使われる通信技術で、それぞれ特性や仕組みに違いがあります。

ISDNは電話線を利用したデジタル回線の通信技術で、1回線あたりの通信速度は最大64kbpsです。
企業間のデータ通信にも利用され、秘匿性の高い分野で重宝されてきました。

一方のADSLはアナログ回線を使用し、上り・下りの通信速度が異なります。
最大で下り50Mbps、上り5Mbpsのサービスがあるものの、実際の平均速度は下り約10Mbps程度とされています。
いずれにしても、ISDN回線は上り・下りの通信速度が対象、ADSL回線は非対称なのが大きな違いです。

また、ADSL回線では、電話回線の高周波数帯を利用してデータ通信を行います。
電話とインターネットの同時利用が可能ですが、通信速度はNTT基地局からの距離に応じて変化し、遠方になるほど速度が低下する傾向にあります。

ISDN とFTTHとの違い

FTTHは「Fiber To The Home」の略で、石英ガラスやプラスチック製の光ファイバーを用いた通信サービスのことです。
ビルやオフィスに直接光ファイバーケーブルが引き込まれているため、光回線配線方式の中で最も通信速度が速く、安定します。
その通信速度は最大1~10Gbpsに達し、大容量のデータを高速で通信できるのが特徴です。

また、ISDN回線に比べると、FTTHはコストが低く、通信品質も安定しています。
FTTHは通信速度・通信品質、コスト面でISDNよりも優れており、現代の高速通信ニーズに応えた技術といえます。

ISDN回線のメリットとは?

ここでは、ISDN回線を利用するメリットについてご紹介します。

電話番号1つで2つの回線を利用できる

ISDN回線最大のメリットは、1本の回線で電話とインターネットを同時に利用できることです。
従来のアナログ回線では、電話を使用しているとインターネット接続ができない、またはその逆という制限がありました。
しかし、ISDN回線ではこのような制限がなく、1つの回線で2つの異なるサービスを同時に利用できるのです。

ISDN回線は、ビジネスシーンでの利便性を大きく向上させました。
たとえば、オフィスでインターネットを利用しながら電話対応ができるため、当時は業務効率化のためにISDN回線を導入する企業が多かったといいます。

さらに、ISDN回線は世界共通の規格として定められ、国際的な通信においても互換性を確立していました。
1990年から2000年初頭にかけて、国際ビジネスにおける通信の利便性を大きく向上させた通信方式といえるでしょう。

アナログ回線でありながら音声品質が高い

従来のアナログ回線では、音声信号をそのまま電気信号として伝送します。
そのため、ISDN回線に比べて通信速度が遅く、音質も劣るとされます。

これに対し、ISDN回線はアナログ信号に比べてノイズに強いため、信号の劣化が少なく、遠距離でもクリアな音声を伝送できます。
デジタル信号では情報を0と1のビットで表現するため、情報の損失や変化が少なく、音声の品質を維持できるためです。

以上のことから、ISDN回線は音声通話のクリアさ、ノイズへの強さが大幅に向上しています。

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2024年にISDNサービス終了決定!企業への影響は?

2024年にISDNサービス終了決定!企業への影響は?

ISDN回線は2024年1月から地域ごとに、デジタル通信モードのサービスが終了しています。
ここでは、2024年に控えるISDN回線サービス終了の理由やスケジュール、代替サービスを検討すべき企業の特徴について徹底解説します。

なぜISDN回線がサービス終了となるのか?

ISDN回線のデジタルモードがサービス終了する理由は、以下が有力です。

  • 設備の老朽化
  • 利用者数の減少
  • IP通信の普及
  • 固定電話回線の減少

まず、ISDN回線に使用されている交換機などの設備が老朽化しており、2025年頃にはその機能の維持が困難になると予測されています。
1990年代に登場した旧式の通信方式であるため、設備などの経年劣化は避けられないでしょう。

また、光回線などの高速で安価な通信サービスが普及した今、ISDN回線の利用者は減少しています。
特に個人利用者は光通信回線への移行が進んでおり、そもそもISDN回線を契約するメリットがありません。
さらにスマートフォンの普及にともない、固定電話やFAXの使用率が大幅に減少し、ISDN利用者のさらなる減少を招きました。

以上のことから、ISDN回線のデジタルモードはサービス終了に至ったと考えられています。

ISDN回線廃止までのスケジュール

ISDN回線は、2024年1月から地域ごとに通信モードがサービス終了します。
具体的には、2024年1月2日に山形県と鳥取県で終了し、その月末までに全国でサービスが終了しました。

サービス終了の補完策として、メタルIP電話でのデータ通信が2027年まで提供されます。
2027年には補完策の提供も終了し、ISDN回線の実質的な廃止を迎えます。

IDSN回線を利用するシステムの一例

ISDN回線を利用する主なシステムは、次の通りです。

  • EB(エレクトロニック・バンキング):企業や銀行間で金融取引を行うシステム
  • POS(販売時点情報管理システム):店舗のレジと企業本部間で売上管理を行うシステム
  • CCT/CAT(信用照会端末):店舗とクレジットカード会社間の決済情報通信を行うシステム
  • EDI(企業間電子商取引):企業間の受発注書や納品書、請求書などの通信を行うシステム
  • 企業内WAN(広域通信網):企業内の複数の拠点を接続するネットワーク
  • レセプトオンライン請求:医療分野での診療報酬などのデータ送信を行うシステム

ISDN回線は、企業のEBシステム、POSシステム、CCT/CATシステム、EDIシステム、企業内WAN、レセプトオンライン請求などに利用されています。

これらのシステムは金融取引、販売データの管理、信用情報の照会、企業間文書の交換、広域ネットワークの構築、医療費のオンライン請求など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。

ISDN回線終了後に切り替えられるサービス

ISDN回線終了が問題視されるのは、企業が現行システムの中でISDN回線を利用していることを認識していないケースがあるためです。
ここでは、ISDNの代替サービスをいくつかご紹介します。

メタルIP電話(データ通信)

メタルIP電話は、2024年1月からNTTによって提供されるサービスで、主にデータ通信機能を活用します。

このサービスは、ISDN対応端末の更新が間に合わないユーザーに向けた暫定的な補完策という位置付けで、2027年頃までの提供が予定されています。
メタルIP電話のデータ通信の仕組みは、ユーザーが電話番号をダイヤルすると、その呼制御信号がNTT局のメタル収容装置に送られます。
そこからIP網へ接続するための変換装置に転送されるのです。
回線速度や安定性は2024年1月時点、NTTから具体的な情報の発信はありません。

ただ、メタルIP電話のデータ通信は、従来のISDNデジタル通信モードと比べて伝送遅延が生じやすいと指摘されています。
メタルIP電話によるデータ通信は必ずしも、高速な通信を保証するものではないのでしょう。
メタルIP電話はあくまでも、ISDNサービス終了の影響を受けるユーザーを対象とした、一時的な補完策に過ぎません。
長期的な観点から、できるだけ早く新しい通信手段への移行を進めるべきです。

光回線(FTTH)

光回線は、ISDN回線のもっともメジャーな代替サービスです。
FTTHと同義で扱われますが、あくまでもFTTHは光回線における配線方式の一種であり、厳密には別物となります。

光回線への切り替えには、相応の時間とコストがかかります。
特に切り替えの依頼が集中する2024年初頭は、工事のアポイントが取りにくくなると予想されるため、早めに問い合わせることをおすすめします。

光回線の契約に際しては、プロバイダの選択が重要です。
たとえば、NTT東日本・西日本の「フレッツ光」、KDDIの「auひかり」、So-netの「NURO 光」などがあり、それぞれ料金形態やサービス内容が異なります。

おすすめはNTTの光回線を卸し受けて販売し、サポートや料金支払いの窓口が一本化している「光コラボレーション」です。
スターティアでは、速度安定とコスト削減を同時に実現し、法人向けのサービスが豊富な光回線・プロバイダサービスを提供しています。
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まとめ

ISDN回線のサービス終了が企業に与える影響は大きく、当然ながら看過できません。
それは内線・外線で使われるビジネスフォンも例に漏れないのです。

2024年1月にサービスを終了するのはISDN回線のデジタルモードであり、通話モードは引き続き利用できます。
仮に自社がISDN回線を利用していても、現時点での影響はほとんどありません。

ただし、デジタル通信を行う電話機やFAXを利用している場合、光回線などに移行する必要があります。
これを機に、自社の電話環境を見直すのもいいでしょう。

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