「Windows10にウイルス対策はいらない」という意見を聞いたことがある方も多いでしょう。
この意見には、どういった根拠があるのでしょうか。
本記事では、Windows10のセキュリティ環境やセキュリティソフトを導入する必要性についてお話しします。
テレワーク環境を狙ったサイバー攻撃が増加
Windows環境でのセキュリティについて解説する前に知っておいていただきたいのが、サイバー攻撃に関する近況です。
キャノンマーケティングジャパン株式会社による調査結果では、2020年下半期のマルウェア検出数が2018年上半期と比較して約2倍に増加したことがわかっています。
(参照:2020年 年間のマルウェアレポートを公開 | サイバーセキュリティ情報局)
この状況の背景にあると考えられているのは、コロナ禍によるテレワークの普及です。
多くの企業が感染リスクを回避するため、通勤を廃止し、テレワークの採用を余儀なくされました。
テレワークでは、企業の管理外で仕事をすることになるほか、セキュリティ対策が十分ではない社員の仕様端末で作業を行うことも少なくありません。
このことから、テレワークで作業を行うユーザーを狙ったサイバー攻撃が増加していると考えられます。
そして、現在の日本において多くのユーザーに利用されている、メインストリームといえるOSがWindows10です。
現在、テレワークを採用している企業のセキュリティ担当者は、Windows10自体のセキュリティ性能について知っておく必要があると言えます。
「Windows10にウイルス対策はいらない」と言われている理由
「Windows10にウイルス対策はいらない」という意見もあります。
これは、Windowos10に「Microsoft Defender」というウイルス対策ソフトが標準搭載されているためです。
「Microsoft Defender」は無料で最初からWindows10に備わっています。
Windows10のユーザーは、特に別途ウイルス対策ソフトを用意しなくても、「Microsoft Defender」を利用できるということです。
この「Microsoft Defender」の存在や、ウイルス対策ソフトとしての信頼性から、「Windows10ではセキュリティソフトを別に用意する必要がない」と考えているユーザーがいます。
確かに、OSにウイルス対策ソフトが最初から用意されているという点では安心です。
Windows10標準搭載のセキュリティソフト「Microsoft Defender」
Window10標準搭載のセキュリティソフト「Microsoft Defender」は、どのようなセキュリティソフトなのでしょうか。
上記のとおり、「Microsoft Defender」の存在により、他のセキュリティソフトは必要ないと考えているユーザーもいます。
しかし、自社のテレワークで利用するうえで本当に十分な性能を備えているのか、慎重な判断が必要です。
以下では、「Microsoft Defender」の概要や主な機能について解説します。
Microsoft Defenderとは
「Microsoft Defender」は、Microsoft社が開発・提供しているセキュリティソフトです。
Windows Vistaの頃から存在していており、以前は「Windows Defender Antivirus」「Windows Defender」という名称で呼ばれていました。
「Windows10 May 2020 update」により、現在の「Microsoft Defender」に改称されています。
世界的に見ると、サイバー攻撃の主なターゲットになっているのは、セキュリティ対策をしていないWindowsユーザーです。
そして、この状況を鑑みたMicrosoft社が少しでもWindowsユーザーのセキュリティ被害を減らす目的で提供しているのが、「Microsoft Defender」ということになります。
「Microsoft Defender」の大きなメリットは、Windows10に最初から組み込まれているという点です。
特にこだわりや不足を感じる点がなければ、新しいセキュリティソフトを購入する必要はありません。
この点は、セキュリティソフトの選び方がわからないユーザーや、パソコンに関して不慣れなユーザーにとって安心といえます。
また、Microsoft純正のセキュリティソフトであることから、Windowsとの相性が良い点もメリットです。このことから、アップデート時のトラブルがほとんどありません。
さらに、動作が軽く、機能が最小限であることから、CPU、メモリのリソースの消費を抑えられます。
Microsoft Defenderの主な機能
「Microsoft Defender」はセキュリティソフトとして必要最低限な基本機能を搭載しています。
以下では、「Microsoft Defender」の主な機能を紹介します。
リアルタイム保護
ダウンロードファイルをリアルタイムでチェックし、不正なプログラムが含まれていないかチェックする機能です。
チェックの結果、不正なプログラムが検知されると、ユーザーに通知します。
ダウンロードファイルからのマルウェア感染を防止できる機能です。
コンテンツスキャン
ファイルをスキャンし、不正の有無をチェックする機能の総称です。
「クイックスキャン」では、システム内の使用頻度が高い部分を自動的にチェックできます。
システムの全体をチェックする「フルスキャン」、チェック部分をユーザーが指定できる「カスタムスキャン」も任意のタイミングで実施可能です。
ファイアウォール
ネットワークに侵入してくる不正アクセスを遮断する機能です。
インターネットの利用中、不審なアクセスを検知すると、即座にネットワークを遮断します。
不正アクセスから社内ネットワークを守るほか、ネットワーク内で管理しているデータの流出を防ぐ防護策としても有効です。
SmartScreen
悪意のあるWebサイトへアクセスしようとしているユーザーに対し、「本当にアクセスしますか?」といった、注意喚起のメッセージを表示する機能です。
あらかじめ登録されている危険サイトのリストに該当するサイトへのアクセス時に起動します。
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Microsoft Defenderと有償のセキュリティソフトの違いは?
Windows Defenderは基本的なウイルス対策機能やファイアウォールを備えていますが、あくまで最低限のセキュリティ対策を提供するものであることは認識しておきましょう。
一方で市販されているセキュリティ対策ソフトは、より包括的なセキュリティ対策を提供することができます。
Microsoft Defenderは無料で使えるソフトであるがゆえに、機能やサポートで若干「痒い所に手が届かない」面があるということは知っておいたほうが良いでしょう。
Microsoft Defenderの注意点
「Microsoft Defender」を利用する場合は、具体的には以下のような注意点について知っておく必要があります。
新しいウイルスに対応するまで時間がかかる
ウイルスをはじめとしたマルウェアは常に新しいものが開発されています。
セキュリティソフトの多くはすで発見されたウイルスし検知することができません。
「Microsoft Defender」も、新しいウイルスに対する更新プログラムが配布されるまでには、時間がかかることがあります。
ネットバンキング利用時の保護ができない
近年は、ネットバンキング・オンライン決済を狙ったサイバー攻撃が多発しています。
決済情報を盗み取るサイバー攻撃に対応するためには、有償の多機能なセキュリティソフトが必要です。
「Microsoft Defender」だけでは対応できません。
迷惑メール対策・パスワード管理ができない
メールはサイバー攻撃の代表的な手段です。
巧妙化する迷惑メールからパソコンを強固に守るためには、不審なメールを自動的にフィルタリングする有償のセキュリティソフトが求められます。
また、アカウント情報の使い回しによる不正アクセスを防止するためには、パスワード管理ソフトを別途用意するのが好ましいでしょう。
サポート体制がQ&Aチャットのみ
セキュリティソフトを利用していると、トラブルや疑問点に遭遇することも予想されます。
有償のセキュリティソフトの場合、電話やメールで手厚いサポートを受けることも可能です。
「Microsoft Defender」の場合、サポートはQ&Aとチャットがメインとなるため、問題の解決には時間がかかってしまうかもしれません。
有償のセキュリティソフトが必要なケース、不要なケース
「Microsoft Defender」は、「使えないセキュリティソフト」というわけではありません。
標準搭載されている点や無料で使える点は大きなメリットです。
個人での利用に限定すれば、あえて有料のセキュリティソフトを導入する必要はないと言っていいかもしれません。
(もちろん、「Microsoft Defender」をインストールしていても、違法アップロードのデータをダウンロードしたりスパムメールを誤ってクリックしてしまうなどの行動が原因でウイルス感染につながる可能性はゼロではありません)
ビジネスでのPC利用には有料のセキュリティソフトがおすすめ
サイバー攻撃の対象となるのは多くの場合、個人ではなく企業や公官庁などです。ビジネスで利用している社用端末や社内ネットワークを守る場合、「Microsoft Defender」だけでは、不安に感じる部分が多いかもしれません。
「Microsoft Defender」の搭載機能で不足を感じる場合や、さらにセキュリティ体制を強固にしたい場合は、有償のセキュリティソフトでカバーしましょう。
多くの有償セキュリティソフトは、無償のソフトにはない機能を搭載しています。
新しいマルウェアへの対応も迅速です。
企業PCを守るための「多層防御」とは
また現代では、多様化したサイバー攻撃から情報や資産を守るため、「多層防御」によるセキュリティ対策が必要と言われています。
多層防御とは、複数のセキュリティ対策を講じて脅威から身を守ることです。
例えば、下記のイメージ図では各パソコンのセキュリティソフトだけでなく、UTMやセキュリティスイッチによってネットワークの入り口や内部に複数のセキュリティ対策を施しており、さらに堅牢な対策を実施しています。
UTMとは
UTMは、複数のセキュリティ機能を統合し、あらゆるサイバー攻撃から社内ネットワークを防衛する「統合脅威管理」です。
インターネットの出入口の通信チェック。社内のネットワークに不正アクセス・侵入されないように、ネットワークの玄関口でブロックします。
セキュリティスイッチとは
マルウェア、ランサムウェア等の脅威にさらされた端末のみを即座にネットワークから隔離し、拡散を防止することができます。
万が一、社内に持ち帰った端末や、すでに感染してしまった端末からウイルス感染を防ぐための「二次感染対策」としてセキュリティスイッチを導入することで感染拡大を防ぎます。
まとめ
「Windows10にセキュリティソフトがいらない」という意見の根拠は、標準搭載されている「Microsoft Defender」の存在です。
基本的なセキュリティ機能が網羅されている「Microsoft Defender」は、Windows10を利用し始めたばかりのユーザーにとって心強いセキュリティソフトとなるでしょう。
しかし、それだけで「他のセキュリティソフトはいらない」と判断するのは少々危険です。
特に、テレワークのセキュリティ体制を堅牢にするためには、有償セキュリティソフトやUTMの導入を積極的に検討しましょう。
スターティアでは、ビジ助サービス内でセキュリティソフトを提供しています。
また、さらに堅牢な対策として、UTMやリモートワーク環境の構築のサービスをご用意しております。
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労働者派遣事業 厚生労働省許可:派13-316331
小売電気事業者 経済産業省登録:A0689
電気通信事業者 総務省届出:A-29-16266
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