
ビジネスフォンを導入する場合、一般的には主装置という機器が必要になります。
主装置のタイプによってビジネスフォンの使い勝手が大きく変わるため、主装置を選ぶ際には慎重な判断が必要です。
また、ビジネスフォンの導入コストのなかでも、主装置の購入費用は大部分を占めます。
この記事では、この主装置の概要やコスト、耐用年数などについてお話します。
主装置が必要なこれまでのビジネスフォンに代替するオフィス用電話の種類として普及しているクラウドPBXについても解説します。
オフィスに導入する電話について検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
主装置とは
主装置とは、複数の外線と複数の電話機を接続するための機器のことで、施設内の電話機を内線でつなぐ役割も担っています。
一般家庭の電話機では、一度に1つの受電にしか対応できませんが、オフィスには一度に複数の電話がかかってくることがあります。
この「同一の電話番号で、複数の外線電話を受電する」というオフィスで必須の機能は主装置によって実現されています。
また、主装置には以下のようなオフィスの電話で役立つ機能も搭載されています。
- 留守番電話機能
- 転送電話機能
- 自動音声
- 保留応答機能
- モニター機能
- 共通電話帳機能
一般的なオフィスに導入されている「ビジネスフォン」という設備は、正確には「電話機+主装置」という構成の総称です。
主装置の種類に応じた3タイプのビジネスフォン
一口に「主装置」と言ってもその形態はさまざまで、電話機とは別にハードウェアの主装置を用意するタイプや電話機と主装置が一体になっているタイプがあります。
また、近年はクラウド上に存在するサービスを主装置として利用するタイプも一般的です。
以下では、これら主装置の種類に応じた3タイプのビジネスフォンについて、それぞれの特徴を解説します。
別途主装置を用意するタイプ
電話機とは別に主装置を用意するタイプのビジネスフォンです。
ビジネスフォンのメーカーが、機種に応じた主装置を展開しています。
サイズによって接続できる電話機の数が異なるため、オフィスの規模に応じて選ぶ必要があります。
また、通常はサイズが大きくなるほど機能も豊富になるため、オフィスで求められる機能に応じて慎重に選ばなければなりません。
主装置を電話機とは別に用意する場合は、設置に大掛かりな工事が必要になる点にも注意が必要です。
工事が終わるまでは電話を利用できません。
特に、サイズが大きい主装置は構成が複雑になるため、工事に長い期間を要します。
主装置と一体になったタイプ
電話機本体と主装置が一体になったタイプもあります。
主装置の機能は電話機に内蔵されているため、別途主装置を用意する必要はありません。
複雑な配線工事が必要ないほか、導入コストが低い点もメリットであり、小規模なオフィスでは一般的に利用されています。
ただし、機能が限定されている場合があるため、幅広い機能を利用したい場合には向きません。
例として、転送機能などが搭載されていない場合があります。
また、最大接続数が少ない点もデメリットとして挙げられます。
増設に対応できないケースも多いため、将来的に電話機を増やす予定がある場合には適していません。
クラウドの主装置を利用するタイプ
近年は主装置の機能をクラウドサービスとして提供する事業者も増えてきています。
「クラウドPBX」と呼ばれるサービス形態です。
一般的なクラウドサービスと同様に月額料金で利用できます。
そのため、ハードウェアを購入する負担がありません。
契約すれば工事なしですぐに利用できる点もメリットとして挙げられます。
スマホやPCなどの端末をビジネスフォンとして利用できる点も特徴です。
近年のビジネスニーズと合致していることから、急速に導入が進んでいます。
くわしくは後述します。
主装置は機能により異なる
ビジネスフォンシステム全体のなかでも、主装置は特に価格が高いハードウェアです。
小規模オフィス用で、機能が最小限に限定されたSサイズの主装置でも下限は20万円程度となっています。
中古で主装置を購入するという選択肢もあります。
中古の場合、チャンネル数や型式、状態によって価格が大きく異なるため、一概に相場を述べることはできません。
また、主装置とビジネスフォンの対応状況にも注意する必要があります。
古い主装置を中古で購入すると、対応する電話機を見つけられないことも考えられます。
リースの場合は新品のビジネスフォンシステムの代金を月々の分割で支払っていくことになるため、初期費用の負担を軽減できます。
主装置の耐用年数
上記のとおり、主装置の導入には大きなコストが発生します。
一方で、主装置の寿命はどの程度なのでしょうか。
以下では、主装置の耐用年数について解説します。
主装置の一般的な寿命
主装置の一般的な寿命は10~15年だと言われています。
実際の寿命は使用環境や使用状況によって異なりますが、丁寧に扱えば長期間使用可能だと考えられています。
20年以上同じ主装置を使い続けているオフィスも少なくありません。
中古の場合、購入した時点で経年劣化が生じているため寿命は短くなります。
一般的な中古主装置の寿命は4~6年です。
また、個体差があるため、中古の主装置を購入する際は慎重に選ぶことをおすすめします。
主装置の経年劣化によって、不具合が起きてくるケースがあります。
以下では、ビジネスフォンの代表的な故障例をご紹介します。
よくある故障例
ビジネスフォンが寿命を迎えると、以下のような故障が目立つようになってきます。
- 着信音が鳴らない
- 通話音声に雑音が入る
- 液晶モニターが表示されない
着信音は設定で音量を変えられるため、聞こえない場合は人為的に調整されている可能性があります。
設定を変えても聞こえない場合は、ビジネスフォンのスピーカーが故障している可能性があります。
通音音声の雑音は、多くの場合はモジュラーケーブルやカールコードの接触不良が原因です。
ケーブルを交換しても改善されていない場合は、主装置の故障が考えられます。
電話機の液晶モニターが表示されない場合は、電話機本体の問題なのか主装置起因の問題なのか判別が必要です。
オフィスに設置しているすべての電話機の液晶に不具合が起きている場合は、主装置が原因だと考えられます。
主装置を再起動しても改善されない場合は、主装置の修理、あるいは交換が必要です。
主装置の法定耐用年数
主装置の法定耐用年数は、6年と定められています。
上記のとおり、主装置の一般的な寿命は10~15年です。
実際の寿命と法定耐用年数は分けて考える必要がありますが、目安として導入から6年程度で何らかの不具合が出てくることを想定しておいたほうがいいでしょう。
なお、6年は新品の主装置の法定耐用年数であり、中古の場合はそもそも法定耐用年数が定められていません。
中古の場合、購入した段階で製造から6年以上経過している商品も多いため、導入した時点で故障リスクが高いことを念頭においておく必要があります。
主装置の保証
新品でビジネスフォンおよび主装置を購入した場合、一般的には1年間のメーカー保証がつきます。
また、別途、1~5年の販売店保証がつくことも一般的です。
販売店保証は有料オプションとして提供されていることもあります。
中古の場合は、通常は保証がありません。
保証の期間内の故障であれば、使用者起因の問題ではないかぎり無料で修理や交換の対応を受けることが可能です。
ビジネスフォンを購入した場合は、必ず保証の期間を確認しておきましょう。
耐用年数・コストの問題をクリアできるクラウドPBXが主流
上記のとおり、ビジネスフォンを導入する場合は主装置のコストが問題になります。
また、寿命を迎えると、再度費用をかけてリプレイスしなければなりません。
現在は、主装置に関するコストと耐用年数の問題をクリアできることから、クラウドPBXが主流になってきています。
まず、クラウドPBXのメリットとして導入コストの低さが挙げられます。
クラウドPBXでも初期費用は発生しますが、ハードウェアの主装置を導入する場合と比較するとはるかに安価です。
社員に貸与しているスマートフォンを連携させれば、電話機を購入する必要もありません。
主装置となるシステムの管理はベンダーが担っているため、利用者側で主装置の耐用年数を気にする必要はありません。
トラブル時の対応も、すべてベンダーが行います。
さらに、近年になりクラウドPBXの需要を高めている理由のひとつが、テレワークの一般化です。
個人のスマートフォンを社用電話として利用できるため、テレワーカーとのコミュニケーションが容易になります。
営業マンが自宅からテレマーケティングを行うことも可能です。
まとめ
ビジネスフォンの主装置の価格と耐用年数について解説しました。
ビジネスフォンのシステムは大きなコストが導入のハードルになります。
特に、主装置に発生するコストが大きな負担となります。
中古で購入する選択肢もありますが、導入した時点で経年劣化が進んでいることから、すぐにリプレイスすることになる可能性は否定できません。
こうしたコストと耐用年数の問題をクリアできるほか、近年のビジネスニーズに合っていることから、ハードウェアの主装置を利用するビジネスフォンと比較してクラウドPBXの普及が進んでいます。
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