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2022-10-28 11:35:06

2023年4月から中小企業も対象!割増賃金率の引き上げについて

2023年4月から中小企業も対象!割増賃金率の引き上げについて

労働基準法では、法定労働時間を超えて労働した従業員に対して、割増で賃金を支払うことが義務付けられています。

大企業は月60時間を越える時間外労働に対して、50%の割増で賃金を支払う必要があります。

2023年4月からは、中小企業もこの割増賃金率に準じることになります。

この記事では、割増賃金率の概要や2023年4月からの変更について解説します。

 

割増賃金率の引き上げについておさらい

まずは、割増賃金率の引き上げについておさらいしておきましょう。

割増賃金率の概要、2010年の改正内容、2023年4月以降の変更についてお話します。

割増賃金率とは

法定労働時間を越える労働は、時間外労働として区分されます。

事業者は、時間外労働に対して通常よりも多い賃金を支払わなければなりません。

時間外労働に対して支払われる賃金の割増率を、「割増賃金率」といいます。

時間外労働とは、いわゆる「残業」や「休日出勤」「深夜勤務」のことです。

これらの労働に対して賃金を割増で支払わなければならないことは、労働基準法37条で定められています。

2010年の労働基準法改正による割増賃金率の引き上げ

2010年の労働基準法改正では、割増賃金率の引き上げが行われています。

それまで、時間外労働が月60時間を超えた場合の割増賃金率は25%でした。

2010年の改正によって、月60時間を越える時間外労働に対する割増賃金率が50%に引き上げられています。

ただし、この改正は大企業にのみ適用され、中小企業における月60時間超の時間外労働の割増賃金率は25%のまま据え置きになっていました。

これは、一律で変更すると国内企業の事業に与えるインパクトが大きすぎると判断されたためです。

2023年4月からの改正内容

2010年の労働基準法改正以降も据え置きとなっていた中小企業の割増賃金率が大企業と同じ50%に引き上げられることになりました。

これは2019年4月より順次施行されている「働き方改革関連法」の影響です。

具体的には、以下のような業種・規模の企業に今回の変更が適用されます。

業種 資本金額(出資額) 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

これらの企業は、2023年4月以降、大企業と同じように月60時間をおける時間外労働に対して50%の割増賃金率を上乗せした賃金を支払わなければなりません。
 

「常時使用する労働者数」とは

今回の変更が適用される中小企業の判断基準のひとつが「常時使用する労働者数」です。

さまざまな法律で同様の表現が登場するため、労働基準法における定義について明確にしておきましょう。

労働基準法における「常時使用する労働者」とは、原則としてすべての労働者です。

正規雇用の労働者はもちろん、1年以上の継続雇用が見込まれるパートやアルバイトの労働者も含まれます。

雇用保険や社会保険の加入とは無関係に、すべての労働者をカウントする必要があります。

一方で、派遣社員については派遣元が雇用している労働者という扱いになるため、「常時使用する労働者」には含まれません。

派遣社員を使用している場合は、派遣社員を除外して労働者数をカウントしましょう。

3種の時間外労働とそれぞれの割増賃金率

時間外労働には「時間外」「休日」「深夜」という区分があります。

「時間外」については、時間数に応じてさらに細かく区分されます。

それぞれ賃金割増率が違うため、確認が必要です。

区分に応じた割増賃金率は以下のようになっています。

種類 要件 割増賃金率
時間外 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき 25%以上
時間外労働が限度時間(1カ月45時間、1年360時間など)を超えたとき 25%以上
時間外労働が1カ月60時間を超えたとき 50%以上
休日 法定休日(週1日)に勤務させたとき 35%以上
深夜 22時から5時までの間に勤務させたとき 25%以上

2023年4月以降、変更となるのは中小企業を対象とした「時間外」の「時間外労働が1カ月60時間を超えたとき」の割増賃金率です。

割増賃金の計算方法

割増賃金は以下のような手順で計算します。
 

  1. 時給の算出
  2.  
    割増賃金の額は、割増賃金率と時給から算出されます。

    まず、当該労働者の時給を算出する必要があります。

    時給は以下の方法で算出可能です。

    月の平均所定労働時間=(365日-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12カ月

    時給=月給÷月の平均所定労働時間

    なお、月給からは手当・賞与を除外します。
     

  3. 割増賃金率の計算
  4.  
    実施した時間外労働から、当該労働者に適用する割増賃金率を計算します。
     

  5. 割増賃金の計算
  6.  

割増賃金は以下の計算式で算出します。

50銭以上1円未満の端数については切り上げられます。

割増賃金=時給×時間外労働時間×割増賃金率

例として、所定労働時間160時間、月収25万円の労働者が1日に9時間労働(時間外労働1時間)した場合、割増賃金は以下のように算出されます。

時給=25万円÷160時間=1,562.5円

割増率=25%

1562.5円×1時間×1.25=1,953.125=1,953円

現在は、給与計算ツールなどを利用して計算を自動化するのが一般的です。

 

代替休暇制度について

事業者は、時間外労働をした労働者に割増賃金を支払う代わりに、「代替休暇制度」で有給休暇を付与することも可能です。

「代替休暇制度」とは、1カ月60時間を越える時間外労働を行った労働者の健康に配慮し、有給休暇を割増賃金の代わりに与える制度のことです。

事業者側にとっては残業代の負担を抑えることにつながり、労働者にとっては健康を維持しやすくなるメリットがあります。

本制度を導入するためには、労使協定を締結しなければなりません。

また、労使協定によって制度が導入されていたとしても、実際に代替休暇を取得するかどうかの判断は労働者本人に委ねられます。

代替休暇制度を導入する際の労使協定では、以下の内容について規定することが求められます。

 

  • 代替休暇として付与できる時間数の算定方法
  • 代替休暇の単位
  • 代替休暇を付与できる期間
  • 代替休暇の取得日の決定方法
  • 割増賃金の支払日

代替休暇の取得単位は1日、あるいは半日と定められています。

また、代替休暇は時間外労働を実施した日から2カ月以内に取得しなければなりません。

2023年4月の割増賃金率の引き上げに向けて中小企業がとるべき対応

中小企業は2023年4月に以降、60時間以上の時間外労働を実施した労働者への割増賃金率が引き上げになります。

中小企業はこの変更に向けてどのように対応すべきなのでしょうか。

以下では、具体的な対応の内容について解説します。

労働時間管理方法の見直し

そもそも労働時間が適切に管理されていなければ、正しい割増賃金を算出することはできません。

そのため、現状の労働時間管理方法に不備がないか見直しておく必要があります。

厚生労働省が発表しているガイドライン上では、「使用者が自ら視認すること」と「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間などを客観的な記録を適切に管理すること」が「原則的な方法」として提示されています。

近年は特に、テレワークの普及から以前よりも労働時間管理が難しくなっている状況です。

「テレワークでの長時間労働」という新たな問題も明らかになっています。

テレワークであっても例外なく、時間外労働に対して割増賃金を支払う必要があります。

勤怠管理システムを導入すると、正確な労働時間を把握しやすいほか、集計の作業も効率化できます。

近年では特に、テレワークでも利用しやすいクラウド型の勤怠管理システムが一般的です。

給与計算システムと連携できるツールであれば、給与計算の作業も自動化できます。

業務効率化への取り組み

長時間残業による給与支払いの負担はさらに大きくなります。

また、労働者の健康被害につながるリスクがあることからも、無駄な残業は可能な限り是正すべきでしょう。

現状のオペレーションを見直し、無駄な残業が発生していないか確認する必要があります。

また、自動化・効率化できる部分を積極的に見つけていくことも重要です。

多くの企業は、各業務に対応したツールを導入することで業務効率化を実現しています。

従業員間のコミュニケーションをサポートするチャットツールやビデオ通話ツール、顧客管理や営業を支援するCRM/SFAなどが代表例です。

「働き方改革」においても積極的なツールの使用が推奨されています。

月額課金サービスのツールであれば、大きな初期コストをかけずに導入可能です。

代替休暇制度導入の検討

上記のとおり、代替休暇制度は残業代を抑えられることから、事業者にとってもメリットがある制度です。

従業員にとっても、時間外労働の対価をどのような形で受け取るか、選択肢が広がることになります。

一方で、導入には入念な準備が必要です。

そもそも、代替休暇の対象となる長時間労働が発生している中小企業では、リソースの問題から労働者に代替休暇を付与することが現実的ではないケースがあります。

2023年4月までは猶予があるため、まず代替休暇制度が社内でどの程度需要があるか把握しておきましょう。

制度を求める声が多いようであれば、長時間労働をした労働者が実際に代替休暇を取得できるように、リソースを最適化する必要があります。

労使協定に向けた順便も必要です。

まとめ

2023年4月の割増賃金率の引き上げによって中小企業が受ける影響について解説しました。

そもそも、この引き上げは労働者のワーク・ライフ・バランスを良好に保つための措置です。

そのため、事業者はこの引き上げを単に「残業代の負担増」として認識するのではなく、無駄な残業をなくすことに取り組む必要があります。

雇用している従業員の長時間労働が常態化している場合は、今回の賃金割増率引き上げについて自社で必要な対応を検討してください。

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