「050」番号とは、050で始まる11ケタの電話番号のことで、インターネット回線を利用した「IP電話」の一種です。
大手企業も導入している電話番号であり、一昔前に比べて目にする機会が増えました。
そこで今回は、「050」番号の特徴や仕組み、導入メリットについて詳しくお話します。
「050」電話番号の基礎知識|IP電話とは?
「050」番号を詳しく知るには、IP電話の特徴や仕組みの理解が欠かせません。
IP電話は、インターネットプロトコル(IP)を利用して音声をデジタルデータに変換し、ネットワーク回線を通じて送受信する電話サービスです。
メールや画像の送受信と同じ仕組みを採用しており、高速かつ効率的な音声網の構築を実現します。
IP電話のメカニズムは、VoIPゲートウェイを使用して音声をIPパケットに変換し、これをインターネット上で転送するものです。
以下にIP電話の仕組みをまとめたので、ご覧ください。
- 発信者はVoIP(Voice over IP)技術を使用し、音声情報を電気信号に変換する
- VoIPゲートウェイがこの電気信号をIPパケットに変換する
- インターネット回線を通じてIPパケットが相手に送信される
- 受信側のVoIPゲートウェイがIPパケットを再び電気信号に変換する
- 受信者が電気信号を音声情報に変換し、通話が成立する
VoIPゲートウェイとは、電話回線とインターネット回線を接続する機器で、これにより、異なる回線上でも音声通話が可能になります。
IP電話と固定電話の違い
IP電話と固定電話は、通信技術や使用回線において異なる特徴があります。
まず、IP電話はインターネット回線を利用することから、固定電話に比べて導入コストや通話料金が安く、契約も容易です。
PCやスマートフォンで通話できるほか、ビデオ通話やテレビ会議も利用でます。
ただ、通話品質がインターネット回線に依存するため、混雑時は音声・映像が乱れる可能性があります。
音声だけでなく、映像の送受信も可能であるため、IP電話は現代に最適な情報伝達手段といえるでしょう。
一方の固定電話は、専用の電話回線を使用するため、IP電話に比べて音声品質が安定します。
さらに電話線から電力を供給するタイプの電話機もあり、自然災害などで停電した際も電話を使えるのがメリットです。
電話番号の違いにおいては、固定電話の番号は市外局番から始まる10桁の形式を取ります。
対して、IP電話の番号は「050」から始まる11桁や、「0」から始まる10桁(0ABJ番号)などが存在します。
さらに「050」から始まる番号のIP電話は、位置情報を提供できないため、緊急通報への発信ができません。
IP電話とひかり電話の違い
IP電話とひかり電話は、どちらもインターネット回線を利用した通信サービスです。
しかし、厳密には使用回線と伝送方法、サービスを提供する事業者に違いがあります。
IP電話はADSL回線を利用し、IPパケット信号でデータを送信するサービスで、主に「ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)」が提供します。
一方のひかり電話は、「ONU(光回線終端装置)」を介した電話回線サービスであり、NTT東日本および西日本が提供しています。
光信号でデータの送受信を行うため、その通話品質は固定電話に匹敵します。
「050」電話番号の基礎知識|IP電話の種類
IP電話は「050型」と「0ABJ型」の2種類があり、それぞれ性質が異なります。
各番号の特徴と違いは、次の通りです。
050型
050型は、IP電話に割り当てられる電話番号の一形式であり、通常は「050」で始まる11桁の番号となります。
「050」の部分は、その電話がIP回線を使用していることを意味します。
050型には、利用者が加入しているプロバイダーなどの識別番号が含まれており、異なる事業者のサービスに乗り換える場合、同じ番号を継続して使うことはできません。
また、050型をはじめとするIP電話には、接続品質や安定品質に厳格な基準がなく、その通話品質はインターネット回線の環境に大きく依存します
つまり、快適な音声通話を実現するには、インターネット回線において、一定レベル以上の通信速度が必要です。
0ABJ型
0ABJ型IPは、従来の固定電話と同じく、市外局番から始まる電話番号を採用したIP電話の一形式です。
この形式の番号は「市外局番-市内局番-加入者番号」の順序で構成されます。
たとえば、東京23区内で番号を取得する場合、「03-□△○□-□△○□」のような形になります。
さらに050型とは違い、プロバイダーを変更しても電話番号を引き継いで使えます。
このような性質から、0AB-J型は法人利用者が多く、ビジネスシーンにおいても一般的となっています。
電話番号がないタイプもある?
IP電話には、VoIP技術を使用した「電話番号がないタイプ」も存在します。
これにはLINEやFacebookメッセンジャー、Skypeなどのチャットアプリケーションが該当します。
上記サービスは、従来の電話網ではなく、インターネット上で音声情報をデータパケットとして送受信するのが特徴です。
そのため、基本的に電話番号が要らないほか、同じアプリケーションを使用するユーザー間では、基本的に通話料金がかかりません。
「050」電話番号の取得方法とは?
「050」番号は、IP電話サービスやクラウドPBXのウェブサイトおよびアプリケーション上で取得可能です
取得プロセスは簡単で、各サービスのウェブサイトなどにアクセスし、契約者情報を入力するだけです。
また、申請時に運転免許証やマイナンバーカードなど、本人確認書類が求められます。
申し込みが完了すると、直ちに050番号を利用できるようになります。
【法人向け】「050」電話番号を取得するメリット
ここでは、050番号を取得する法人向けのメリットについて解説します。
開通工事が不要
「050」番号の取得において、アナログ回線の開通工事などは発生しません。
固定電話の場合、アナログ回線の引き込みや開通工事が必要で、相応の時間やコストが発生します。
050番号の場合はそのような工事が不要なため、迅速に電話サービスを利用できるのがメリットです。
通信コストを大幅に削減できる
050番号はインターネット回線を利用することから、固定電話に比べて通話料金が安く設定されています。
050番号同士の場合、通話料金が無料になるサービスも多いため、通信コストの大幅な削減が期待できます。
また、固定電話の開設工事では、数千円の初期費用がかかることが一般的ですが、「050」番号の場合、初期費用が無料または低額で済むことがほとんどです。
これから事業用の電話番号を取得する新規事業者、自社の通信コスト削減を図りたい企業にとって、「050」番号は魅力的な選択肢になるでしょう。
オフィスを移転しても電話番号は変わらない
オフィスを移転しても電話番号が変わらないことは、ビジネスシーンにおいて非常に大きなメリットです。
従来の市外局番つきの電話番号は、地域ごとに番号が割り当てられていました。
そのため、オフィスの移転にともなって、電話番号を変更せざるを得なかったのです。
電話番号の変更は、取引先に通知したり、名刺や自社サイトの情報を更新したりと、多くの手間とコストを発生させていました。
上記の通り、050番号は地域情報と関連しないので、オフィスを移転しても電話番号を変更する必要がありません。
【法人向け】「050」電話番号を取得する注意点
ここでは、「050」番号を取得する注意点を解説します。
音声品質がインターネット回線に依存する
繰り返すように「050」番号は、インターネットプロトコル(IP)を活用した電話サービスです。
そのため、インターネットの接続状況やプロバイダーのネットワークサーバーの稼働状況に通話品質が左右されます。
特に接続ユーザー数が増加する夜間や、サーバー負荷によりネットワークが不安定なときは、音声が途切れたり遅延したりするでしょう。
このことから、自社に「050」番号を導入する際には、ネットワークインフラの信頼性や技術力について調査し、適切な事業者を選択することが望ましいです。
特定の電話番号に発信できない
「050」番号は発信者の位置情報を含まないため、110番や119番などの緊急通報用電話番号には発信できません。
これは緊急通報をする際、発信者の電話番号から位置情報を割り出す仕組みであるためです。
さらに「050」番号から、フリーダイヤルである0120番への発信も基本的には行えません。
この制限は「050」番号の特性上避けられないものであり、発信が必要な場合は、他の通信手段を用意してください。
0ABJ型に比べて社会的信用度は下がる
「050」番号は、さまざまな電話番号の中でも社会的信用度が低いとされます。
これは電話番号に地域情報が含まれておらず、特定の企業に属した番号であることがわかりにくいことに起因します。
加えて「050」番号は手軽に取得できるため、迷惑電話やしつこい営業電話などに多用されてきました。
詳しくは後述しますが、「050」番号は「怪しい」「危ない」といったイメージがあるのです。
一方で、「03」などの市外局番つきの電話番号には地域情報が含まれており、特定の地域や企業に所属していることがわかります。
同じIP電話であっても、「050」番号と0ABJ型の番号では、社会的信用度は後者の方が高いといえるでしょう。
ただ、近年は「050」番号を使う大企業や公的機関が増えており、徐々に浸透している印象です。
そのため、必ずしも「050」電話番号が社会的信用度を下げるとは限りませんが、そのリスクは把握しておくべきでしょう。
050番号が怪しいと思われるのはなぜ?
そもそもなぜ「050」番号が「怪しい」といわれるのでしょうか。
その理由を3のポイントにわけてご説明します。
番号自体の知名度が低い
050番号は、市外局番つきの電話番号に比べて認知度が低く、見慣れないために「怪しい」「得体が知れない」と感じる人がいます。
たとえば、携帯電話の090や080、070で始まる番号は知名度が高く、仮に知らない番号であっても「携帯からかかってきた」と判断できるでしょう。
対してIP電話の「050」番号は、一部の人々には馴染みが薄く、警戒されるのは必然です。
このように、「050」番号の利用においては、一般層への認識や扱いに注意を払いましょう。
営業電話や迷惑電話と勘違いされやすい
「050」番号は法人営業や勧誘電話に利用されることがあり、それが「迷惑」「怪しい」というイメージに繋がっています。
前提として、IP電話を利用するメリットは、導入コストと月々の通話料金の安さにあります。
固定電話に比べて通信コストがかからないため、営業電話・勧誘電話に使われるのです。
見慣れない番号であることも影響し、「営業電話だろう」という固定観念を持つ人が少なくありません。
特殊詐欺グループが悪用した事例
近年、「050」で始まる電話番号を特殊詐欺グループが悪用した事例が報告されました。
これは「050」番号に法的な本人確認義務がなく、詐欺グループが身元を隠して取得・運用しているためです。
たとえば、2021年に81歳の女性が「050」番号を使った「ニセ電話詐欺」の被害に遭い、100万円をだまし取られました。
また、大分県内では、2023年1〜6月までの半年間において、電話詐欺に使われた番号の7割以上が「050」番号であることがわかっています。
このような状況を受け、総務省は2024年4月頃に、IP電話の契約時に本人確認を義務づける省令を施行する予定です。
「050」電話番号の取得|IP電話の選び方とは?
ここでは、「050」番号取得に向けて知っておきたいIP電話の選び方をご紹介します。
料金形態
IP電話の料金形態は、サービスによって異なります。
多くの場合、同じプロバイダー間や提携しているプロバイダー間の通話は無料で行えますが、携帯電話や固定電話への通話には料金が発生します
料金プランを選ぶ際には、通話頻度や用途、予算に合わせて選ぶことが重要です。
自社の利用状況に適したプランを選ぶことで、コストを抑えつつ効率的にIP電話を利用することができます。
また、IP電話サービスは様々な機能を提供していますが、サービスごとに異なるため、導入前に必要な機能を確認することも大切です。
通話品質
IP電話の通話品質は、総務省によって3段階に分類されています。
もっとも通話品質に優れる「クラスA」は固定電話並み、「クラスB」は携帯電話並み、「クラスC」は一般的なIP電話並みのです。
0AB-J型の番号は、総務省が定めた接続品質・ネットワーク品質・安定品質をクリアしており、同基準においては固定電話と同等のクラスAに相当します。
050型の番号はクラスC以上ですが、0AB-J型のIP電話に比べると通話品質は劣るでしょう。
機能やサービス
IP電話の主要機能は、以下の通りです。
- 発信・着信:通話を受発信する機能
- 留守番電話:不在時にメッセージを受け取る機能
- パーク保留:保留後、ほかの担当者に通話を繋ぐ機能
- Web電話帳:連絡先を管理する機能
- 通話録音:通話内容を録音する機能
- 転送:ほかの電話への通話転送機能
- 自動音声案内:時間外対応の音声案内機能
- ワンタッチコール:よく使う番号へのワンタッチダイヤル機能
IP電話サービスによっては、さまざまな社内システムとの連携に対応しています。
たとえば、「CRM(顧客関係管理システム)」とIP電話を連携させることで、顧客データを同期し、着信時に発信者情報を表示できます。
また、PCとの連携により、受発信履歴の管理や確認が容易になるでしょう。
電話業務の効率化を検討する場合、システム連携が可能なサービスを選んでください。
法人向けのサポート体制
IP電話サービスを比較検討するときは、サービス事業者のサポート体制をチェックすることが大切です。
特に法人向けのサポートが充実しているサービスがいいでしょう。
通信障害や各種トラブルが発生した際、プロによる迅速なサポートが受けられます。
おすすめは、24時間体制で法人向けのサポートを提供するサービスです。
夜間や早朝のトラブルにも対応してくれるため、ビジネスの継続性を確保できます。
その上で、トラブルシューティングや、設定変更のアドバイスなどもサポート範囲に含まれるかを確認してください。
「050」電話番号がもっと便利になる「PBX」とは?
PBX(Private Branch eXchange)は、企業や組織内で使用される電話交換機のことです。
内外線の発着信を制御する役割があり、オフィスやコールセンターにおける音声網の構築に欠かせません。
PBXには、「レガシーPBX」「IP-PBX」「クラウドPBX」といった3つの種類があります。
IP-PBXは文字通り、インターネットプロトコルを活用するのが特徴で、PCやスマートフォンなどの任意の端末で利用可能です。
PBXは「050」番号のIP電話においても利用でき、一定以上の事業規模を誇る企業に導入されています。
まとめ
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これにより、拠点間の内線化、社用スマホの内線化など、電話業務の効率化を実現します。
また、クラウドPBXには、オフィス移転時に電話番号が変わらないメリットがあります。
各種操作をリモートで行えるため、トラブル発生時も迅速なサポートを受けられるのが魅力です。
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媒介等業務受託者 総務省届出:C1905391
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