
私が考える幹部育成の王道を紹介します。
『①前提クリア→②ゴール設定→③実践』
当たり前すぎるのでは?と思われた社長が多いと思います。
12000人以上の社長にお会いしていますが、意外と①前提クリアと②ゴール設定ができていない社長が多いです。
『前提クリア』
第1ステップである『前提クリア』は、育成対象である幹部が次の4つの前提条件をクリアしているかということです。
- 社長のゆずれないおもいと考え方に賛同している
- 幹部として最高の熱意がある
- 部門で成果を出した実績がある
- 部下から信頼を失う言動をしていない
4つの前提条件をクリアしていない幹部は、どんなに育成しても社長の期待通りの幹部にはなりません。
社長のストレスがたまるだけです。
もう1つの前提は社長に対してです。恐れ入りますが次の質問にお答えください。
質問1 社長自身、誰よりも強く成長を願い続けていますか?
質問2 社長自身、誰よりも成長のための努力を続けていますか?
質問3 社長自身、誰よりも成長し続けていますか?
質問4 社長の右腕になるような幹部がどうしてもほしいと心からおもっていますか?
質問5 深い愛情を持って幹部に接し、幹部の成長を見守っていますか?
質問6 幹部がなかなか思うように育たなくても、じっと待っていますか?
いかがでしたでしょうか?幹部が前提条件をクリアしていることも大事ですが、社長のおもいや行動はそれ以上に重要です。
『ゴール設定』
『前提クリア』の次のステップは『ゴール設定』です。
幹部育成のゴール、すなわち将来幹部にどうなってもらいたいかを明確にすることです。
私は『幹部への期待』と呼んでいます。将来どういう幹部になってもらいたいかを設定し、それを実現するために現時点で社長が幹部に期待することを3つにまとめ『幹部への3つの期待』を作成し幹部に渡し説明します。これで、ゴール設定は完成です。
『実践』
前提条件をクリアし幹部育成のゴールが設定できれば、ゴール目指してあとは最終ステップ『実践』あるのみです。
実践では、『修羅場の経験』が極めて重要です。困難に立ち向かい、努力を重ね苦労を積まなければ幹部は育ちません。
修羅場の経験以外は社長の判断基準、言い換えれば『社長の経営哲学』の伝承が必須です。
私は『社長のゆずれないおもいと考え方』と言っています。
京セラの稲盛名誉会長は、著書『人を生かす』の中で『それでも、どうしても頼りになる部下がほしいと思った私は、「私に経営ができるのは、経営をする上で判断基準となるフィロソフィーを持っているからだ。共同経営者になってほしいと思う人にこのフィロソフィーを教えよう」と考え、話をし始めたのです。』と言っています。
『社長のゆずれないおもいと考え方』を伝承しながら修羅場を経験させる。
これらの活動を通じて社長が当初設定した幹部への期待が、どこまで実現できているかを社長と幹部が定期的に『幹部への3つの期待』でチェックする。
これで、幹部育成の王道『①前提クリア→②ゴール設定→③実践』は完成です。現在、社長が実践している幹部育成と比べていただきギャップがあれば改善されてはいかがでしょうか。

トーマツイノベーション株式会社 前社長
11万を突破した【上司のすごいしかけ】著者
プロフィール
1964年神奈川生まれ。埼玉大学経済学部経営学科を卒業し、IT会社を経て1990年に監査法人トーマツのマネジメント・コンサルティング部門に入社。経営、戦略、業務、IPOのコンサルティングを経験。
1998年からISOコンサルティング会社・審査会社を立上げ3,000社以上を支援。
2006年にトーマツ・イノベーションを設立、代表取締役社長に就任し、7,800社のお客様に入会頂いた定額制研修イノベーションクラブにて中小企業の人材育成にイノベーションをおこした。
2014年に独立し現在に至る。
コンサルティング実績
26年間、製造・建設・サービス・商社・小売・外食・IT業界にて、攻め(売上アップ)・守り(コストダウン)・組織の活性化・経営管理のコンサルティングを1万社以上経験。
セミナー・研修講師実績
23年間、5万人以上の社長・幹部・管理職に対してリーダーシップ・マネジメント研修等を実施。
著書
「上司のすごいしかけ(11万部)」、「デキる上司(6万部)」、「仕事の5力(12万部)」をはじめ、43冊の著書を出版、累計で94万部を突破している。
「経営百科事典」
http://www.ssoken.co.jp/m_cart_top.php
オフィシャルサイト
http://www.ssoken.co.jp/index.html
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