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お役立ち記事

2021-04-09 10:00:39

SDGsウォッシュの意味とリスク回避のための注意点について解説!

SDGsウォッシュの意味とリスク回避のための注意点について解説!

日本国内でもSDGsの取り組みが進んでいますが、その中でSDGsウォッシュが問題となっているのをご存知でしょうか。
SDGsウォッシュとは、SDGsとごまかしや粉飾を意味するホワイトウォッシュ(Whitewash)を組み合わせた造語です。
このSDGsウォッシュが広がることはSDGsの価値を下げることになるので、当然企業としては避けるべきことですが、
意図せずにSDGsウォッシュになってしまうことがあります。
そこで今回は、SDGsウォッシュとは何か、またSDGsウォッシュに陥らないために知っておきたいポイントをご紹介します。

SDGsウォッシュとは

SDGs(エスディージーズ)とはSustainable Development Goalsの略称で、
2015年9月に国連で定められた持続可能でよりよい世界を目指す17の国際目標(ゴール)の総称です。
SDGsウォッシュとは、この目標に取り組んでいるように見せているにもかかわらず、実態が伴っていないことをいいます。
いわば、SDGsへ取り組んでいる企業に向けたメリットだけを享受しようとしている状態です。

イメージがつきにくいかもしれませんので、もう少し具体的ご紹介すると、以下のような状態が挙げられます。

・明確な目標を設定して真剣にSDGsに取り組むつもりがないのに既存の取り組みとSDGsを無理に関連づけて、
SDGsに取り組んでいるとPRすること。

・既存の取り組みを誇張することでSDGsと関連付け、SDGsに取り組んでいるとPRすること。

・一つの事業ではSDGsの取り組みを行っているといえるが、別の事業ではそれに反する取り組みを行っていること。
(不都合な面を隠して、良い面だけをPRしている。)

・一つの事業の一側面ではSDGsへの取り組みとなっているが、別の側面では別の社会課題を引き起こす要因になってしまっている。

なんとかSDGsの取り組みをしようと考え、悪気なく関連性のありそうな既存事業をSDGsの取り組みとしてPRしただけだったとしても、
実際にやっていることに乖離している状態であれば、SDGsウォッシュだと揶揄される可能性があります。

グリーンウォッシュとは

SDGsウォッシュに似た言葉として、グリーンウォッシュがあります。
これは、SDGsウォッシュの元になった言葉であるといえます。
グリーンウォッシュという言葉の歴史は古く、1980年代には欧米で使われています。
グリーンウォッシュはとエコを象徴する言葉であるグリーンと、
ごまかしや粉飾を意味するホワイトウォッシュ(Whitewash)を組み合わせた造語です。

SDGsウォッシュが見せかけのSDGsであるのと同様に、
実際には環境に配慮した事業や商品ではないにもかかわらず、
広告やパッケージなどによって環境に良いように見せかけることを意味します。

具体的な例には、以下のようなものがあります。

・環境への配慮を連想させる緑色や、森や山など自然の写真を使ったパッケージを使っていながら、
実際には環境を破壊するような事業を行っている。

・環境への配慮を連想させる商品名がついているが、会社としては多くのプラスチックゴミを排出している。

・事業全体では多くのCO2を排出しているにもかかわらず、リサイクル素材で作られている一部の商品だけを強調している。

・根拠なく「エコ」「省エネ」といったワードを使って、商品をPRしている。

企業や商品がエコでサステナブルなイメージであることは、消費者や投資家を惹き付ける大きな要素になっています。
しかしそれと同時に、本当に環境保全に貢献している企業なのか、商品なのかという世間の目も厳しいものになっていますから、
グリーンウォッシュであると判断された場合、企業価値を下げることにもなりかねないのです。

SDGsウォッシュと言われることのデメリットとは

SDGsウォッシュだと言われてしまうと、どんなデメリットがあるのでしょうか。
答えはシンプルで、信頼を失ってしまうことです。
信頼を失うことで、どのようなことが起こるのか、その例をご紹介します。

不買運動が起こる可能性がある

近年よく聞くようになったエシカルという言葉。
エシカルというのは、「倫理的な」という意味を持つ形容詞です。
エシカル消費という言葉で使われることが多く、
環境、社会、地域などに配慮したうえでの消費行動やライフスタイルと捉えられています。
こうした消費活動を行う人が増えているからこそ、SDGsの取り組みについて企業はPRしたいわけですね。

しかし、PRに実体が伴っていない時、こうした消費者がどうするのか。
その商品を買わない、サービスを利用しないという判断を下す場合も少なくありません。
それだけではなく、不買運動にまで発展してしまう可能性もあります。
SDGsウォッシュであると判断された企業の商品に対し、アメリカでは実際に不買運動が起こり
その年の売り上げが7割減少してしまったという例もあります。

消費者に対して良い印象を与えられるであろうと考えて行ったSDGsに関する取り組みやPRが、
SDGsウォッシュと判断されることで、逆にマイナスの印象になり、
それが利益や売り上げにまでに悪影響を与えてしまうかもしれないのです。

株価が下がる・資金調達が難しくなる可能性がある

昨今、ESG投資を行う投資家が増えています。
ESG投資とは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)など非財務情報にも考慮し、収益を追求する投資手法のこと。
これ自体はSDGs以前からあるものですが、SDGsと関連性が高い投資方法であると言えます。
こうした投資を行う投資家は、企業のSDGsの取り組み内容にも当然注目しているわけです。
そして、こうした投資家からの投資してもらえる可能性が高まることがSDGsのメリットだからこそ、
SDGsに力を入れている企業も多いといえます。

ESG投資といってもその手法は様々ですが、中でもよく使われる手法にネガティブスクリーニングがあります。
ネガティブスクリーニングは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に関する
好ましくない活動をしている企業への投資を排除するという方法です。

ここで排除されないためにもSDGsの取り組みをアピールしているというのに、
SDGsウォッシュであると捉えられてしまったら、どうなるでしょうか。
当然、排除されてしまうことになるのでしょう。

メリットを得るために取り組んだことであっても、中身が伴っていなければメリットを享受できないどころか、
身を滅ぼすことにもなりかねません。
信頼を得ることは非常に難しいですが、信頼を失うことはとても簡単です。
SDGsウォッシュと揶揄されない、嘘偽りない取り組みが必要です。

SDGsウォッシュといわれないためのポイント

知らない間に陥ってしまう可能性があるSDGsウォッシュ。
そうならないためにはどうしたら良いでしょうか?
現時点で、SDGsウォッシュの明確な判断基準は無く、国や地域、社会の風潮などによってその捉え方は変わると考えられます。
だからこそ、リスクの回避が難しいとも言えますが、まず「ここだけは」というポイントから抑えておきましょう。

SDGsウォッシュを回避するためのポイント

2018年6月に、株式会社電通が経営層や広告宣伝担当者、広告会社向けに公表した
「SDGsコミュニケーションガイド」では、SDGsウォッシュを回避するためのポイントが紹介されています。

今回はその内容について、ご紹介します。
 

①根拠がない、情報源が不明な情報を避ける
・根拠となる情報の信頼性が希薄な場合、あるいは検証材料がない場合

②事実よりも誇張した表現を避ける
・それほどでもないSDGsへの取り組みを大きく強調して訴求したり、
小さな取り組みを大げさに取り上げるケース
・法律で規制されている事項を、自主的に配慮しているように表現するケース

③言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける
・言葉の意味が規定しにくく、SDSsへの対応の具体性に欠けるコピーワークなど

④事実と関係性の低いビジュアルを用いない
・SDGsへの配慮の事実がないにもかかわらず、
「貧困」「教育」等の写真でSDGsイメージの付与・増幅を狙うことなど

※株式会社電通「SDGsコミュニケーションガイド」から引用

まずはこれらのポイントに照らし合わせて、自社の状況を確認してみましょう。

SDGsウォッシュを回避するための方法

SDGsウォッシュに陥らないためには、SDGsに対して正しくアプローチしていくことが重要です。
そのために注目されているのがアウトサイド・イン・アプローチという手法です。
アウトサイド・イン・アプローチは、企業外部(社会)の視点から、長期的に将来どうあるべきか、
どう取り組むべきかを検討して目標を設定する方法です。
これは、『SDG Compass:SDGsの企業行動指針 – SDGsを企業はどう活用するか?』の中で提唱された概念です。
従来の方法はインサイド・アウト・アプローチといわれます。
こちらは企業視点で、自社の過去や競合企業と現在の自社を比較し、比較的短期的な未来に対して目標を設定する方法だといえます。

従来の短期的思考のアプローチではSDGsウォッシュに陥ってしまうリスクが高まります。
アウトサイド・イン・アプローチに切り替えて考えることは、SDGsウォッシュを介することにつながるでしょう。

SDGsウォッシュといわれてしまった事例

実際にSDGsウォッシュと揶揄されてしまった事例についてご紹介します。
 

F社・R社・N社などアパレルメーカー

環境に優しい素材を使っていること、衣料品をリサイクルしていることなどをアピールしている反面、
海外で過酷な労働を強いている。
 

M社などの銀行

脱炭素社会を目指すと謳っているにもかかわらず、CO2を大量に発生させる石炭火力発電事業に多額の融資を行っている。
 

H社 旅行会社

旅行会社が行っている、クリーンなエネルギーを作り出すという電力事業。
電力発電に使用するパーム油の生産地では、広範囲にわたる熱帯林および泥炭地の破壊により、
野生生物の生息地が失われ、大量のCO2が発生する恐れがある。

最後に

SDGsウォッシュといわれないためには、まずSDGsについて正しく理解することが必要です。
そうすれば、何となくSDGsに関連している既存事業にSDGsのアイコンをはってPRしても意味がないことがわかるでしょう。

何に取り組むかを決めた後も、その事業にだけ着目して進めていくこともリスクがあります。
会社全体の事業を見渡した時に、本当の意味でSDGsに向かって進めているのか、
負の影響を与えている事業はないのか、改めて確認してみる必要があるのではないでしょうか。
 

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