現在は、新規顧客の開拓だけではなく、休眠顧客の掘り起こしにも注力することが大切です。
この記事では、休眠顧客の概要や掘り起こしの重要性、実際に休眠顧客の掘り起こしを実施する際に意識していただきたいコツについて解説します。
休眠顧客とは
休眠顧客とは、過去に企業と取引があり、現在は放置されている状態の顧客を指します。
商材の購入のために問い合わせをしたが何らかの理由から購入することなく、長らくやり取りが途絶えてしまっている見込み顧客も休眠顧客に該当します。
休眠顧客の掘り起こしを行う重要性
休眠顧客との関係性を見直し、あらためてアプローチしていくことを一般的に「掘り起こし」と言います。
現在は、休眠顧客の掘り起こしが以前に増して重要と言える状況です。
その背景には、2020年以降、大きく世の中を変えることになった新型コロナウイルスの影響があります。
感染リスクが懸念されるようになり、セミナーや展示会などオフラインの活動は相次いで中止になりました。
新規顧客開拓の手法として多くの企業がオンラインのアプローチを採用しています。
オンラインのアプローチはオフラインのアプローチと比較して、リーチできる顧客の数が多いことが魅力です。
一方で、オンラインのアプローチは顧客にとっても気軽なため、そこまで関心が高くない見込み顧客の割合が増えてしまいます。
リーチしている顧客から確度の高い顧客を厳選してアプローチしなければ、営業効率が下がってしまうことも少なくありません。
こうした状況から、現在は新規顧客開拓に注力するのが難しい状況になっています。
相対的に重要性が増しているのが、休眠顧客の掘り起こしなのです。
休眠顧客が生まれる原因とは
休眠顧客が生まれる原因をBtoCとBtoBに分けて解説します。
BtoC
購入した商品やサービスへの満足度が低い
期待していたイメージと、購入後実際に感じた商品やサービスの満足とのギャップは、顧客が休眠する代表的な理由です。
「期待外れ」というレッテルを貼られると2回目以降の購入につながらず、休眠化してしまいます。
スタッフの対応やアフターフォローが原因で休眠顧客になってしまうこともあります。
提供している商材だけではなく、顧客との接し方についても見直さなければなりません。
商品やサービスが必要なくなった
顧客側の状況が変化し、商材を購入する必要がなくなったことから休眠化するケースも見受けられます。
特定の年齢をターゲットにした商材はこうした理由から顧客が休眠化しがちです。
また、出産、進学、転勤など、ライフステージの変化から必要な商材が変わることも考えられます。
商品やサービスを購入したことを忘れている
購入した商材のことを単純に忘れているケースも少なくありません。
商材に好印象を抱いていたとしても、忙しかったり購入から期間が空いてしまったりすると、忘れてしまうことがあります。
BtoB
検討期間が長い
BtoBの場合、担当部署内で協議を行い、決裁者の承認を得て商材の購入を決定するため、購入までの検討期間が長くなりがちです。
検討期間内では競合との比較も行われ、その結果として導入が見送られることも少なくありません。
このように、自社商材が一度候補としてあがったとしても、休眠顧客になってしまうケースがあります。
取引金額が大きいため購入に慎重になる
BoB向けの商材はBtoC向け商材と比較して取引金額が高額になりやすいです。
そのため、多くの企業が購入に際して慎重になります。
検討期間に営業担当から決め手となるアプローチがなければ、多くの顧客が休眠してしまいます。
休眠顧客を掘り起こすためのコツ
以下では、休眠顧客を掘り起こすための代表的なコツをご紹介します。
休眠顧客を速やかに発見して行動する
休眠顧客は、一度は商材に関する興味を抱いた顧客です。
しかし、その興味は時間とともに薄れてしまうため、休眠顧客を速やかに発見して、行動することが重要になります。
まずは、「休眠顧客」の定義について明確にしておく必要があります。
その定義に該当する顧客がいないか、常にチェックを行いましょう。
確度の高い休眠顧客を見極める
すべての休眠顧客に対してアプローチを行うのは効率的とは言えません。
休眠顧客ごとの確度を把握し、優先度に応じてアプローチしていくことが重要です。
確度が低い休眠顧客に関しては、積極的に切り捨てていく決断が求められます。
通常は、休眠期間が長ければ長いほど確度が低くなります。
休眠顧客の心理を把握する
顧客が休眠に至った心理について調査を行いましょう。
休眠顧客の心理によって適切なアプローチが変わってきます。
特別な理由なく休眠している顧客を判別することも重要です。
そうした顧客は、顧客側の都合で休眠しているケースが多く、企業からのアプローチで掘り起こしを行うことは困難です。
掘り起こし対象から除外することで、営業効率を高めることができます。
休眠顧客に応じて適切なアプローチを実施する
それぞれの休眠顧客に対して適切なアプローチを検討してください。
属性や休眠に至った理由から、実施するアプローチを判断します。
メール、FAX、電話、DMなどが代表的なアプローチです。
顧客情報の管理を徹底する
前提として、休眠理由の分析や適切なアプローチの判断を行うためには、顧客情報を正確に管理しておく必要があります。
顧客情報の管理体制が甘い場合、掘り起こしは困難です。まずは、顧客情報の管理を徹底することから意識しましょう。
具体的には、以下のような点を意識して顧客情報管理を行う必要があります。
- 顧客の情報を最新の状態に保つ
- 顧客との対応履歴を記録する
- 顧客情報のフォーマットを統一しておく
休眠顧客を分類する基準
それぞれに適切なアプローチを判断するためには、休眠顧客を分類することが大切です。
また、確度を判別するためにも、休眠顧客を分類する必要があります。以下では、休眠顧客を分類する代表的な基準を解説します。
休眠状態に入るまでの商品・サービスの購入履歴
基準のひとつとなるのが、休眠状態に入るまでの利用・購入履歴です。
具体的には、以下のような要素から分類します。
- 購入(利用)回数
- 購入(利用)頻度
- 購入(利用)額
休眠前に何度も自社の商材を購入している顧客であれば確度は高いと考えられます。
再アプローチの際も、優先的にターゲットとして設定すべきと言えるでしょう。
反対に、こうした基準からスコアが低いと判断された場合は、優先度は低くなります。
休眠期間の長さ
休眠期間の長さも、重要な分類基準です。
BtoCの場合、休眠期間が半年~1年以上の長期に及んでいる場合は、再び商材に興味を持つことは期待できないと考えられます。
BtoBの場合も平均購入頻度から考えて長期間購入が途絶えている場合は、確度が低いと言えます。
こうした顧客を積極的に掘り起こしの対象とすることはおすすめできません。
どの程度の休眠期間で休眠顧客とみなすのか、また、どの程度の休眠期間から再アプローチの対象外とするのか、明確にしておきましょう。
商材に応じてこうした基準を設定することも大切です。
休眠状態に入ったきっかけ
顧客が休眠状態に入ったきっかけを理解しておくことも重要です。
上記のとおり、適切な再アプローチの方法を選定するための判断材料となります。
また、きっかけによっては企業側からのアプローチで掘り起こすことは困難なため、掘り起こしの除外対象を決めるためにも休眠のきっかけを知っておく必要があります。
休眠顧客を掘り起こすための具体的な方法
メール配信
メール配信は、代表的なオンラインマーケティングの手法です。
多くの顧客に低コストでアプローチできる方法として評価されています。
休眠顧客へのアプローチ方法としては、ステップメールが一般的です。
ステップメールとは、あらかじめ用意しておいたメールをスケジュールに合わせて送信する施策のことで、最後の接点から一定期間が経過した顧客に対して、再購入を促すメールを送信します。
DMの送付
DMは、パンフレットやチラシを郵送で送るアプローチです。上記のメールは開封されないことも少なくありません。
一方で、DMは形に残る書面を送るため触れてもらいやすく、開封されやすい点が特徴です。
しかし、費用はメールよりも高額になるため、効果的な顧客を見定めて実施する必要があります。
電話
電話も休眠顧客の掘り起こしには有効な方法です。
休眠顧客と直接会話できるため、商材に対して抱いていた興味・関心を想起させやすい方法と言えます。
再購入にいたらなかったとしても、休眠していた顧客からのフィードバックが得られるのは大きな利点です。
ただし、人件費やリソースが必要な点には注意しなければなりません。
休眠顧客の掘り起こしはツールを活用すると効率的
休眠顧客の掘り起こしを行うためには、顧客の情報を詳細に管理しなければなりません。
しかし、対応してきた顧客が多い場合、情報の管理は煩雑を極めます。
このことから、多くの企業ではSFA、CRM、MAなどのツールが顧客情報の管理に活用されています。
こうしたツール上では、会社名、担当者名、連絡先などの基本情報のほか、対応履歴、購入商品などの顧客情報を記録できます。
最後の接点からの経過期間から、休眠顧客をリストアップすることも可能です。
一定期間反応がない顧客に対して、ステップメールを自動的に送信することもできます。
ツールの導入によって休眠顧客の掘り起こしが大幅に効率化されるため、ぜひ導入を検討してください。
まとめ
しばらく購入・利用が途絶えているとはいえ、一度接点を持った顧客との関係性と情報は、企業にとって大切な資産です。
新規顧客の獲得が難しい今だからこそ、過去の取引があった顧客の情報を見直してみましょう。
確度が高いと思われる休眠顧客に対しては、積極的にアプローチしていくことをおすすめします。
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