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2023-04-24 09:00:36

2023年4月の労働基準法改正で中小企業が受ける影響とは

2023年4月の労働基準法改正で中小企業が受ける影響とは

2023年4月1日に労働基準法の新しい改正内容が施行されます。
今回の改正は、中小企業に関連した内容です。
割増賃金率が変わるため、労働時間について見直す必要があります。

こちらの記事では、この労働基準法の改正内容について詳しく解説していきます。
経営層・総務・人事・経理の方は、参考資料としてお読みください。

 

労働基準法改正の背景にある働き方改革

2023年の労働基準法改正は、働き方改革関連法案を受けての改正です。

働き方改革関連法案は2018年7月6日に公布され、2019年4月1日から順次施行されてきました。
働き方改革とは、個人がそれぞれの事情に応じて最適な働き方ができる社会を実現するための取り組みのことです。
労働関連の法律に、次々と改正が加えられています。
労働基準法も対象となる法律のひとつです。

当初、労働基準法の改正は大企業を対象としたものが中心でした。
近年は、中小企業を対象とした改正も徐々に施行されはじめています。

2023年の改正労働基準法施行によって中小企業が受ける影響

2023年4月1日の労働基準法改正によって変わるのは、中小企業の割増賃金率です。

2010年の労働基準法改正では、1カ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%に変更されました。
ただし、この改正は大企業を対象としており、中小企業の割増賃金率は25%となる猶予措置がとられました。

2023年4月の労働基準法改正ではこの猶予措置が撤廃され、中小企業に対しても50%の割増賃金率が適用されます。
つまり、2023年4月以降は企業の規模に関係なく、割増賃金率が以下のようになります。

 

  • 60時間以下:25%
  • 60時間超:50%

たとえば、所定労働時間が9:00~17:00(うち休憩1時間)のケースでは、割増賃金率の変更によって時間外労働でどのように対応するのか確認してみましょう。

17:00~18:00の1時間は法廷時間内残業です。
18:00~22:00の4時間は法定時間外残業となり、25%以上の割増率となります。
さらに、22:00~翌5:00の7時間は法定時間外残業と深夜の加算により、50%以上の割増率となるのです。

なお、本記事でご紹介する労働基準法の改正については、お役立ち資料「労働施策総合推進法(パワハラ防止法)改正」で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。

労働基準法における「中小企業」の定義

労働基準法における「中小企業」の定義についておさらいしておきましょう。

働き方改革法案における中小企業の判断基準は「資本金または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」です。
また、業種によって条件が異なります。
以下の表をご確認ください。

業種 資本金または出資の総額 常時使用する労働者の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

資本・出資の条件、労働者の条件のいずれかに該当する場合、中小企業として分類されます。
当てはまらない場合は大企業として扱われます。

労働基準法改正後の割増賃金シミュレーション

2023年4月1日の労働基準法改正後、割増賃金がどのように計算されるかシミュレーションしてみましょう。

月80時間の時間外労働をさせた場合

月80時間の時間外労働をさせた場合、割増賃金率25%の労働時間が60時間、割増賃金率50%の労働時間が20時間となります。

そのため、割増賃金は以下の式で計算します。

割増賃金=時間あたり賃金×60時間×1.25+時間あたり賃金×20時間×1.50

月60時間を超え、さらに深夜労働をさせた場合

労働者に深夜労働をさせた場合、深夜割増賃金率を加算して計算する必要があります。
そのため、月60時間を超えた労働時間分に関しては、25+50=75%の割増賃金率を適用します。

労働基準法の改正に向けて中小企業に求められる取り組み

2023年4月の労働基準法改正に向け、中小企業には以下のような取り組みが求められています。

労働時間の把握

本改正により、60時間を超える時間外労働が発生した場合の人件費が増加します。
無駄な人件費を発生させないため、不要な時間外労働を是正することが大切です。

まずは、労働時間を正確に把握し、無駄な時間外労働がないか把握する必要があります。
可視化された労働時間をもとに、人員配置や勤務制度を見直していくことになります。

代替休暇制度の導入

割増賃金を支払う代わりに、有給休暇を付与することも可能です。
こちらの「代替休暇制度」を導入するためには、労使協定において以下のような内容を定める必要があります。

 

  • 代替休暇の算定方法
  • 代替休暇の単位
  • 代替休暇を与えることができる期間
  • 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

なお、制度を導入したとしても取得するかどうかは基本的に労働者の任意です。

業務効率の向上

時間外労働の削減対策として、業務効率の向上に取り組むことが大切です。
特に近年は、業務に活用できるツールが多数登場しています。
ツールによる自動化、効率化を検討してください。

また、「ノー残業デー」を設ける取り組みも一般的です。
残業できない日を設けることで、従業員の「効率的に仕事を終わらせよう」という気持ちが醸成されます。

まとめ

2023年以降は中小企業の割増賃金率が変わります。
これまでのような25%の割増賃金率は適用されなくなるため注意しましょう。
また、人件費の増大を避けるため、不要な時間外労働の削減にも取り組んでください。

スターティアでは、本記事でご紹介した労働基準法の改正について、お役立ち資料「労働施策総合推進法(パワハラ防止法)改正」で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。

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